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神同人作家は陸くんを溺愛する
サイン入り名刺
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デートのような街歩きはここで終わり、僕らはゆりかもめに乗って移動したのちにホテルにチェックインした。そこからは一気に腐男子全開モードになる。
僕は明日の戦いに向けての準備、高西先生は新刊と一緒に購入者に渡す直筆のサイン入り名刺をせっせと作っていた。お互い無言で黙々と作業していて、さっきまでの時間が嘘のようだ。しばらくすると僕は手持ち無沙汰になってきたので、先生に手伝えることがないか聞いてみたけど『偽サイン書いてもらうくらいしか』と苦笑いしていた。
その言葉からすると、僕に作業手伝いさせるために泊まろうと誘ってきたわけではないようで……。不思議だなあ。話があったからといって見ず知らずの、しかも半年に一度しか会わないような読者と一緒に泊まろうなんて、高西先生は、どうして思ったんだろう。
結局僕はかばんから本を取り出して読むことにした。当然、高西先生の作品。先生の前で他の作品を読むなんて、あり得ないからね!
それを読みながらチラッと作業をする高西先生の横顔を見る。新刊と一緒に渡されるサイン入り名刺はきっと多くの人の手に渡るんだ。だけど僕だけがサインを書いている先生の横顔を見ている。これってもう天国に行ってもいいレベルだ。
ポカンと顔を見続けていたら、手を止めずに高西先生が呟く。
「そんなに見つめないでよ、緊張しちゃう」
僕は慌てて本に視線を戻した。
一時間後ようやく先生が手をとめた頃、二人ともお腹ぺこぺこだったからホテルのレストランで食事をして、明日に向けて寝ることにした。とはいえもう日が変わるような時間。電気を消しておやすみなさい、と言った後、寝れるかなと不安だったけどあっという間に眠りに入ってしまった。
今日のオフ会は行けなかったから、きっと姫野さん達にどうしたのって聞かれてしまうかもしれない。高西先生とデートだったなんて、言えないな……
僕は明日の戦いに向けての準備、高西先生は新刊と一緒に購入者に渡す直筆のサイン入り名刺をせっせと作っていた。お互い無言で黙々と作業していて、さっきまでの時間が嘘のようだ。しばらくすると僕は手持ち無沙汰になってきたので、先生に手伝えることがないか聞いてみたけど『偽サイン書いてもらうくらいしか』と苦笑いしていた。
その言葉からすると、僕に作業手伝いさせるために泊まろうと誘ってきたわけではないようで……。不思議だなあ。話があったからといって見ず知らずの、しかも半年に一度しか会わないような読者と一緒に泊まろうなんて、高西先生は、どうして思ったんだろう。
結局僕はかばんから本を取り出して読むことにした。当然、高西先生の作品。先生の前で他の作品を読むなんて、あり得ないからね!
それを読みながらチラッと作業をする高西先生の横顔を見る。新刊と一緒に渡されるサイン入り名刺はきっと多くの人の手に渡るんだ。だけど僕だけがサインを書いている先生の横顔を見ている。これってもう天国に行ってもいいレベルだ。
ポカンと顔を見続けていたら、手を止めずに高西先生が呟く。
「そんなに見つめないでよ、緊張しちゃう」
僕は慌てて本に視線を戻した。
一時間後ようやく先生が手をとめた頃、二人ともお腹ぺこぺこだったからホテルのレストランで食事をして、明日に向けて寝ることにした。とはいえもう日が変わるような時間。電気を消しておやすみなさい、と言った後、寝れるかなと不安だったけどあっという間に眠りに入ってしまった。
今日のオフ会は行けなかったから、きっと姫野さん達にどうしたのって聞かれてしまうかもしれない。高西先生とデートだったなんて、言えないな……
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