触手召喚士

柏木あきら

文字の大きさ
上 下
12 / 14

12.想い

しおりを挟む
しばらくして二人は湯で体を清めたのちにシーツを替えて一緒に寝床に入った。全身の気だるさでもう瞼が閉じてしまいそうだとコオがあくびをすると、ワスカは頭を撫でてきた。
「明日……どうする?」
 あのあと二人は二回、体を重ねた。ワスカはまだ余裕がありそうだが、コオはもうヘトヘトだ。
「もう動けない。明日は休もう」
 コオが呟くと、笑いながらワスカはコオの頭を何度も撫でている。まるで恋人のようなまったりとした甘い時間に、コオはだんだんと恥ずかしくなってきた。
(こういう状態になったけど、ワスカは俺のことを本当はどう思っているんだろう)
 自分の想いはもう痛いほど分かっている。ワスカに惹かれているし体を重ねてさらにその想いは強くなった。コオのために叱ったり優しくしたり、ティカを召喚してくれたり。雇い主だから? それだけでワスカはティカに嫉妬などするわけない。コオは思い切って口を開く。
「ワスカは……俺のこと、どう思ってるの」
 単刀直入な質問の回答はこれまた直球だった。
「好きに決まってるだろう。じゃなきゃ、こんなことしない。いつも明るくて、こんな俺にも笑顔を見せてくれて。まえも可愛いって言ってたよな? それに薬草に対する熱意は尊敬する」
 ドクンとコオの胸が高鳴り、ワスカの笑顔が眩しくて思わず目を背けた。
「だけど自分でも気がついたのは最近だ。言いにくいんだけど、コオのためだけにティカを召喚したわけじゃないんだ」
「……?」
「俺も……体が疼いていたんだよ。初めてティカに触れられて、乱れてるコオの姿が、目に焼き付いていて。もう一度見たくて、召喚したんだ」
 唖然とするコオ。そしてティカ目当てで禁足地に入った時、ワスカは軽蔑しないと言っていたことに気がついた。似たような思いをしていたからだろう。
「キスした時に、見るだけじゃなくて触れたい、コオの体を抱きしめたいって思うようになっていた」
 ワスカの手がコオの頬を撫でる。
「今日はもう我慢できなくて……軽蔑されるべきは俺の方なんだ」
 召喚士という立場を利用しティカを呼び出し、雇い主のコオを乱れさせた。そしてなによりコオをそんな目で見てしまったことにワスカは戸惑いながらも自分の欲望を止められなかったのだ。コオは思っても見なかったワスカの告白に戸惑っていたが、やがてワスカの手を取る。
 禁足地に踏み入れたとき、ワスカに抱きしめられ胸が高鳴ったのも、キスを自分からしたときも惹かれていた。あの時は分からなかったけれど。
「……いいんだよ、今こうして想いが通じたんだ。俺はワスカが好き。お前は俺が好き。それでいい!」
 うじうじと考えるのは、性に合わない。コオは大きな笑顔を見せて、ワスカの額にキスをする。一瞬キョトンとしたワスカはやがて微笑み、唇を重ねてきた。
「ありがとう、コオ」
 見つめ合いながら、二人はキスを何度も重ね合う。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...