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六、真白再び
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「カウンセリング中に聞いた、佳紀と君の話に私は驚いたよ。私が佳紀から聞いていた話とかけ離れていたからね。彼は君が何かに怯えていた、もしかしたら事件に遭ったのではないかと言っていたんだ」
俊が怯えていたのは、佳紀自身なのに。岡を味方につけるために嘘を言ったのだろうと俊は眉をひそめる。
「彼が事実ではないことを言ってしまう癖は昔からあったんだ。私が友人のためにカウンセリングの資格をとった話をしただろう?」
「まさか、その友人が……?」
「そうなんだ。佳紀なんだよ。その当時はまだ学生だった。彼は元々、恋人を束縛してしまう性格で悩んでたんだ。虚言……いや思い込みの癖が激しくなってしまうんだ。恋愛が絡むと相手に対してどうしても心に余裕ができないんだと。彼の性格とDom性がぴったり重なってしまっていたんだ」
出会った当時はまだ佳紀は優しくしてくれていた。
きっとその頃はまだ余裕があったのかもしれない。
好きになればなるほど束縛せずにいられない、どうしたらいいのかと苦悩していたよ、と岡は呟く。
「君にしていたことは……残念ながら本当で、許されるべきではないと思ったんだ。学生のときの彼の悩みに対して私はもっと、深刻になるべきだった。専門医を紹介すべきだった。そうすれば君は犠牲にならずに済んだのに」
唇を噛む岡。
半分独白のような岡の話に、俊はただ聞くしかなかった。
「だから私はせめて君だけでも救いたいと思った。カウンセリングをしていく間に安田くんの調子が良くなってきて、本当に嬉しかった。一緒に過ごす時間も楽しくて穏やかで。もう佳紀に君のことを報告したくないと思っていたよ」
「……」
「そんなとき、サムットと会ったと君に言われたときに我にかえったんだ。ここは佳紀が準備した部屋だ。サムットは君を見つけてしまった。そのまま佳紀に伝え、そのうち来るだろうと思い……意を決して先に佳紀のもとに行った」
「……もしかして、今回出張といっていたのが、それ?」
「そうだよ。君がいたことを報告したのちに『安田俊を解放するべきだ』と伝えた」
その言葉に俊は体を震わせた。岡は佳紀に直談判したのだ。
「佳紀はマンションでゆっくり話そう、とここに連れてきた。もとから彼は私を痛めつけて安田くんに見せつけようと考えていたんだろうね。正直焦ったよ。だけど……それでもサムットがいたから助かった」
どうしてサムットがスタンガンを持っていたのか。そしてなぜ愛する佳紀に当てたのか。
「サムットは私と同じように、佳紀を止めたかったんだ。なあ、そうだろ」
俊がサムットを見ると彼はただ無表情で頷いた。
そして岡は小さなため息をつく。
「あとひとつ。佳紀に安田くんを見つけたのを言わなかったのは、安田くんを佳紀に渡したくないっていう自分のエゴだ」
俊が怯えていたのは、佳紀自身なのに。岡を味方につけるために嘘を言ったのだろうと俊は眉をひそめる。
「彼が事実ではないことを言ってしまう癖は昔からあったんだ。私が友人のためにカウンセリングの資格をとった話をしただろう?」
「まさか、その友人が……?」
「そうなんだ。佳紀なんだよ。その当時はまだ学生だった。彼は元々、恋人を束縛してしまう性格で悩んでたんだ。虚言……いや思い込みの癖が激しくなってしまうんだ。恋愛が絡むと相手に対してどうしても心に余裕ができないんだと。彼の性格とDom性がぴったり重なってしまっていたんだ」
出会った当時はまだ佳紀は優しくしてくれていた。
きっとその頃はまだ余裕があったのかもしれない。
好きになればなるほど束縛せずにいられない、どうしたらいいのかと苦悩していたよ、と岡は呟く。
「君にしていたことは……残念ながら本当で、許されるべきではないと思ったんだ。学生のときの彼の悩みに対して私はもっと、深刻になるべきだった。専門医を紹介すべきだった。そうすれば君は犠牲にならずに済んだのに」
唇を噛む岡。
半分独白のような岡の話に、俊はただ聞くしかなかった。
「だから私はせめて君だけでも救いたいと思った。カウンセリングをしていく間に安田くんの調子が良くなってきて、本当に嬉しかった。一緒に過ごす時間も楽しくて穏やかで。もう佳紀に君のことを報告したくないと思っていたよ」
「……」
「そんなとき、サムットと会ったと君に言われたときに我にかえったんだ。ここは佳紀が準備した部屋だ。サムットは君を見つけてしまった。そのまま佳紀に伝え、そのうち来るだろうと思い……意を決して先に佳紀のもとに行った」
「……もしかして、今回出張といっていたのが、それ?」
「そうだよ。君がいたことを報告したのちに『安田俊を解放するべきだ』と伝えた」
その言葉に俊は体を震わせた。岡は佳紀に直談判したのだ。
「佳紀はマンションでゆっくり話そう、とここに連れてきた。もとから彼は私を痛めつけて安田くんに見せつけようと考えていたんだろうね。正直焦ったよ。だけど……それでもサムットがいたから助かった」
どうしてサムットがスタンガンを持っていたのか。そしてなぜ愛する佳紀に当てたのか。
「サムットは私と同じように、佳紀を止めたかったんだ。なあ、そうだろ」
俊がサムットを見ると彼はただ無表情で頷いた。
そして岡は小さなため息をつく。
「あとひとつ。佳紀に安田くんを見つけたのを言わなかったのは、安田くんを佳紀に渡したくないっていう自分のエゴだ」
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