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番外編
10.
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俊が幸せに過ごしているであろうこの空間を一目、見たくて、という自分でも反吐が出そうなほど、甘ったれた感情。
だけど今驚くほど、俊に対しては穏やかな気持ちでいる。狂気じみた嫉妬も、未練も全く感じない。それは何故だろうか。時間と距離なのか、それとも自分に新たなパートナーがいるからなのか。
明確な正解は分からない。ただいえるのはこの
エバーグリーンの飲み口のように晴れやかな気持ちだ。
ーーこれでようやく僕は二人の幸せを祈ることができる。
緑のカクテルを眺めていると、男性が声をかけてきた。
「伝えておきましょうか? お名前を」
「いや、いいよ。元気にしてるならそれでいい」
きっともうこの【ロジウラ】に訪れることはないと確信し、佳紀はしばらく酒を堪能した後店を出た。
ホテルに帰ると、二十四時を過ぎていたがサムットがまだ起きていたことに佳紀は驚く。
「寝ててよかったのに」
「目が覚めてしまって」
佳紀が脱いだ上着を持ちながら、背後からサムットが抱きついてくる。いつもならこんなに甘えることはないのに。
「……用事は、済みましたか」
勘の鋭いサムットのことだ。きっとあの店に行ったことに気がついているのだろう。だがそれを言わない彼の気遣い。それを無下にしたくなくて佳紀もあえて誤魔化す。
「ああ。もう……済んだよ」
佳紀は窓の近くに置いてある椅子に座り、足を組んでサムットを見つめた。
二人のねっとりとした視線が絡み合う。
「ほら、come(来い)」
ふらりとサムットか近づいてきて跪く。そしてその頭をゆっくりと撫でてやる。
物欲しそうに見つめるサムットのオッドアイの瞳。佳紀は口元を緩め、その唇にキスをする。
「待っていてくれたご褒美をやらないとな 。goodboy(いい子)」
【了】
だけど今驚くほど、俊に対しては穏やかな気持ちでいる。狂気じみた嫉妬も、未練も全く感じない。それは何故だろうか。時間と距離なのか、それとも自分に新たなパートナーがいるからなのか。
明確な正解は分からない。ただいえるのはこの
エバーグリーンの飲み口のように晴れやかな気持ちだ。
ーーこれでようやく僕は二人の幸せを祈ることができる。
緑のカクテルを眺めていると、男性が声をかけてきた。
「伝えておきましょうか? お名前を」
「いや、いいよ。元気にしてるならそれでいい」
きっともうこの【ロジウラ】に訪れることはないと確信し、佳紀はしばらく酒を堪能した後店を出た。
ホテルに帰ると、二十四時を過ぎていたがサムットがまだ起きていたことに佳紀は驚く。
「寝ててよかったのに」
「目が覚めてしまって」
佳紀が脱いだ上着を持ちながら、背後からサムットが抱きついてくる。いつもならこんなに甘えることはないのに。
「……用事は、済みましたか」
勘の鋭いサムットのことだ。きっとあの店に行ったことに気がついているのだろう。だがそれを言わない彼の気遣い。それを無下にしたくなくて佳紀もあえて誤魔化す。
「ああ。もう……済んだよ」
佳紀は窓の近くに置いてある椅子に座り、足を組んでサムットを見つめた。
二人のねっとりとした視線が絡み合う。
「ほら、come(来い)」
ふらりとサムットか近づいてきて跪く。そしてその頭をゆっくりと撫でてやる。
物欲しそうに見つめるサムットのオッドアイの瞳。佳紀は口元を緩め、その唇にキスをする。
「待っていてくれたご褒美をやらないとな 。goodboy(いい子)」
【了】
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本編、番外編の完結お疲れ様です。
佳紀さんとサムットの関係ですがサムットの優しい愛をすごく感じました。佳紀さんもこの先どうなるのかと思いましたがこうしてサムットに支えられしっかり立ち、前に進む事が出来ましたね。ロジウラでもしかして俊くんと言葉を交わすかと思いましたがお互いのためにも会わないのがよかったのかもしれないですね。それぞれが幸せを手にすることが出来てよかったです。
ありがとうございます!そうですね、俊と佳紀はもう会わないけれどいつの日が岡と会って、俊の様子を彼から聞いて満足という感じかな。親友として岡には会って欲しいかなと…。ご覧いただきありがとうございました!
面白かったです!毎日更新楽しみにしていました!番外編も楽しみにしていますm(_ _)m
ありがとうございます!楽しんでいただけて嬉しいです!番外編も毎日更新しますのでよろしくお願いします( ´艸`)