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六、真白再び
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「そんな……!」
【ロジウラ】に通っていたのも、カウンセラーを始めたのも……全て、自分に近づいて佳紀に報告するためだったのだろうか。
(そんな、そんなこと)
おつまみが美味しいと笑ってくれたのも、カウンセリングをしながら過ごしたあの優しい時間も全て作り物だったのか、と考えているうちに俊の手が震え始める。
それなら何故自分を抱いたのか、呆然とする俊に岡が必死に声を上げた。
「違う! 安田くん!」
その声に思わず視線を向ける。
真剣な眼差しで自分を見つめてくるこの男を、どこまで信じたらいいのか。
「確かに佳紀に依頼されて、君を探したのは事実だ。でも君を助けたかった」
「何ほざいてんだ、人のモノに手ぇ出しやがった、エセ探偵が!」
佳紀が容赦なく岡の顔を蹴る。
うあっ、と呻き、岡は口の中の血を吐き出した。
佳紀は屈んで岡の顔を持ち上げると、憎悪に満ちた顔で叫んだ。
「あんなあ、俊は僕がいなきゃダメなんだよ! なあ、俊。僕の下で僕に尽くせ。いままでもそうしてやっただろ? 危険なものを排除して二人だけで生きていけば安全なんだから。何も心配することはないんだ」
「それは違う! そんなのはただのエゴだ」
「うるさい! 俊は僕のsubだ。貴浩如きが触れていいわけないんだ!」
岡の顔から手を離し、立ち上がった佳紀は俊に近づきまたキスをする。
「いいこと考えた。貴浩の前であの頃のように愛し合って、見せつけてやろう、なあ俊」
にやりと笑い、耳朶を噛む。
俊は以前の恐怖が甦り動くことも声を出すこともできない。
(いやだ)
岡に裏切られていたとしても、あの時間が偽物だったとしてももう遅い。
自分はこんなに岡に惹かれてしまったのだから。
彼の前で、蹂躙されるなんて耐えられない。
シャツを捲る佳紀に俊は身を捩りながら抵抗する。
「……ああ、そうか。コマンドがいるんだな」
佳紀の言葉に俊はギョッとする。
コマンドからは逃げれない、subの体質を佳紀は自分の欲望に使っているのだ。
「やだ、やめろ……」
「何がいいかな? 手は使えないから……そうだ、なら口が空いているね」
口淫を示すコマンドを言うつもりなんだろう。
両手を縛られた俊は耳を塞ぐこともできない。
(どうして俺はsubなんだ)
コマンドに抗えない体。subであるが故に執拗に追う佳紀。
subでなければ、佳紀に出会うこともなかったのに、と叫びたくなる。誰か、助けて!
佳紀の手が顔に伸びてきて、俊は身動きが取れずにいる。
そして佳紀の口がまた開いた瞬間……
『バチッ!』
聞き慣れない破裂音のようなものが聞こえ、思わず目を見開く。
すると俊の顔に伸ばしていた佳紀の手が離れ、自分の首筋を押さえつつ床に倒れた。
そして佳紀の横にはスタンガンを持ったサムットが立っていた。
「なに、す……」
佳紀はサムットを睨みつける。俊も驚きを隠せない。
俊の手首を紐で縛って自由を奪ったサムットは佳紀側のはずなのに、何故佳紀にスタンガンを当てたのか。
佳紀は顔を床に伏せ、気を失ったようで動かなくなった。
さらにサムットは岡に近づき手首の紐をほどく。
あざが残った手首をさすりながら、岡はふらりと立ち上がると俊のほうに向かってきた。
俊は混乱していた。
サムットを、そして岡を信じていいのか?
誰を信じたらいいのか、俊は分からなくなっている。
【ロジウラ】に通っていたのも、カウンセラーを始めたのも……全て、自分に近づいて佳紀に報告するためだったのだろうか。
(そんな、そんなこと)
おつまみが美味しいと笑ってくれたのも、カウンセリングをしながら過ごしたあの優しい時間も全て作り物だったのか、と考えているうちに俊の手が震え始める。
それなら何故自分を抱いたのか、呆然とする俊に岡が必死に声を上げた。
「違う! 安田くん!」
その声に思わず視線を向ける。
真剣な眼差しで自分を見つめてくるこの男を、どこまで信じたらいいのか。
「確かに佳紀に依頼されて、君を探したのは事実だ。でも君を助けたかった」
「何ほざいてんだ、人のモノに手ぇ出しやがった、エセ探偵が!」
佳紀が容赦なく岡の顔を蹴る。
うあっ、と呻き、岡は口の中の血を吐き出した。
佳紀は屈んで岡の顔を持ち上げると、憎悪に満ちた顔で叫んだ。
「あんなあ、俊は僕がいなきゃダメなんだよ! なあ、俊。僕の下で僕に尽くせ。いままでもそうしてやっただろ? 危険なものを排除して二人だけで生きていけば安全なんだから。何も心配することはないんだ」
「それは違う! そんなのはただのエゴだ」
「うるさい! 俊は僕のsubだ。貴浩如きが触れていいわけないんだ!」
岡の顔から手を離し、立ち上がった佳紀は俊に近づきまたキスをする。
「いいこと考えた。貴浩の前であの頃のように愛し合って、見せつけてやろう、なあ俊」
にやりと笑い、耳朶を噛む。
俊は以前の恐怖が甦り動くことも声を出すこともできない。
(いやだ)
岡に裏切られていたとしても、あの時間が偽物だったとしてももう遅い。
自分はこんなに岡に惹かれてしまったのだから。
彼の前で、蹂躙されるなんて耐えられない。
シャツを捲る佳紀に俊は身を捩りながら抵抗する。
「……ああ、そうか。コマンドがいるんだな」
佳紀の言葉に俊はギョッとする。
コマンドからは逃げれない、subの体質を佳紀は自分の欲望に使っているのだ。
「やだ、やめろ……」
「何がいいかな? 手は使えないから……そうだ、なら口が空いているね」
口淫を示すコマンドを言うつもりなんだろう。
両手を縛られた俊は耳を塞ぐこともできない。
(どうして俺はsubなんだ)
コマンドに抗えない体。subであるが故に執拗に追う佳紀。
subでなければ、佳紀に出会うこともなかったのに、と叫びたくなる。誰か、助けて!
佳紀の手が顔に伸びてきて、俊は身動きが取れずにいる。
そして佳紀の口がまた開いた瞬間……
『バチッ!』
聞き慣れない破裂音のようなものが聞こえ、思わず目を見開く。
すると俊の顔に伸ばしていた佳紀の手が離れ、自分の首筋を押さえつつ床に倒れた。
そして佳紀の横にはスタンガンを持ったサムットが立っていた。
「なに、す……」
佳紀はサムットを睨みつける。俊も驚きを隠せない。
俊の手首を紐で縛って自由を奪ったサムットは佳紀側のはずなのに、何故佳紀にスタンガンを当てたのか。
佳紀は顔を床に伏せ、気を失ったようで動かなくなった。
さらにサムットは岡に近づき手首の紐をほどく。
あざが残った手首をさすりながら、岡はふらりと立ち上がると俊のほうに向かってきた。
俊は混乱していた。
サムットを、そして岡を信じていいのか?
誰を信じたらいいのか、俊は分からなくなっている。
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