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第四話 クサナギノツルギ
16.攻防
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押し殺した調子であるだけに激しい糾弾の響きを感じさせる言葉だった。
「本音が出たな」
くっと唇の端を吊り上げてスサノヲは壮絶な顔で笑った。
「だからおまえたちは秋津島に侵略した。イザナキを丸め込み俺を幽閉した。その恨みのために。そうなんだろう? それならそうと言えばいいものを御大層に御託を並べるお前やオモイカネのやり方が俺は大嫌いなんだよ」
司を捕らえたままスサノヲが振りかざしたもう片方の手から白く刃のような光が発したのを、亜衣はその目ではっきりと見た。
「やめてっ」
口をついて叫びがほとばしる。瞬間、亜衣の肩越しをかすめて、かまいたちがスサノヲへと襲い掛かった。
「……っ」
振り向きざまスサノヲは手を一振りしてかまいたちを霧散させた。
亜衣は後ろを振り返った。体の上からがれきを落としながらさやかが身を起こしたところだった。
「司になにするのよっ」
土と血で汚れた顔でさやかはきっとスサノヲを睨んだ。
「なにって、こういうことか?」
再び刃状の光がスサノヲの手のひらに宿った。寸分の狂いもなく司の心臓の上を狙ってスサノヲがそれを振り下ろす。
「司!」
さやかの叫びが耳をつく。続いて起こるであろう出来事に耐えられずとっさに目を閉じた亜衣の耳に届いたのは、スサノヲの低いうなりだった。
おそるおそる目を開く。スサノヲが振り下ろした光の刃を司は胸前で握り止めていた。力づくで振り下ろそうとするスサノヲ。それを押しとどめる司。
両者の間で光刃が青白い電光をまとわりつかせながら甲高く音を立てた。スサノヲが身を引くような仕草を見せる。それよりも早く、包み込むように握り合わせていた司の手の中で光の刃が消失していた。
司はそのままがら空きになった両手を重ね合わせ、至近距離にあったスサノヲの体に向け手のひらを突き出した。稲光のような閃光が放たれる。
避ける手もないまま真正面からそれを食らい、さすがのスサノヲも吹っ飛ばされて対面の岩壁に背を叩きつけた。重い震動が洞窟内に響く。
「やるじゃないか」
打ちつけられた拍子に噛み切ってしまったのか唇の端から流れる血をぬぐいながら、スサノヲは顔を上げた。その面から余裕の笑みは消えていなかった。
「だがこれまでだな」
司は膝をついたままスサノヲを見据えている。
「本音が出たな」
くっと唇の端を吊り上げてスサノヲは壮絶な顔で笑った。
「だからおまえたちは秋津島に侵略した。イザナキを丸め込み俺を幽閉した。その恨みのために。そうなんだろう? それならそうと言えばいいものを御大層に御託を並べるお前やオモイカネのやり方が俺は大嫌いなんだよ」
司を捕らえたままスサノヲが振りかざしたもう片方の手から白く刃のような光が発したのを、亜衣はその目ではっきりと見た。
「やめてっ」
口をついて叫びがほとばしる。瞬間、亜衣の肩越しをかすめて、かまいたちがスサノヲへと襲い掛かった。
「……っ」
振り向きざまスサノヲは手を一振りしてかまいたちを霧散させた。
亜衣は後ろを振り返った。体の上からがれきを落としながらさやかが身を起こしたところだった。
「司になにするのよっ」
土と血で汚れた顔でさやかはきっとスサノヲを睨んだ。
「なにって、こういうことか?」
再び刃状の光がスサノヲの手のひらに宿った。寸分の狂いもなく司の心臓の上を狙ってスサノヲがそれを振り下ろす。
「司!」
さやかの叫びが耳をつく。続いて起こるであろう出来事に耐えられずとっさに目を閉じた亜衣の耳に届いたのは、スサノヲの低いうなりだった。
おそるおそる目を開く。スサノヲが振り下ろした光の刃を司は胸前で握り止めていた。力づくで振り下ろそうとするスサノヲ。それを押しとどめる司。
両者の間で光刃が青白い電光をまとわりつかせながら甲高く音を立てた。スサノヲが身を引くような仕草を見せる。それよりも早く、包み込むように握り合わせていた司の手の中で光の刃が消失していた。
司はそのままがら空きになった両手を重ね合わせ、至近距離にあったスサノヲの体に向け手のひらを突き出した。稲光のような閃光が放たれる。
避ける手もないまま真正面からそれを食らい、さすがのスサノヲも吹っ飛ばされて対面の岩壁に背を叩きつけた。重い震動が洞窟内に響く。
「やるじゃないか」
打ちつけられた拍子に噛み切ってしまったのか唇の端から流れる血をぬぐいながら、スサノヲは顔を上げた。その面から余裕の笑みは消えていなかった。
「だがこれまでだな」
司は膝をついたままスサノヲを見据えている。
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