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第四話 クサナギノツルギ
15.地雷
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スサノヲの足元から亀裂を走らせ衝撃波が一直線に司に向かう。司は両腕を上げて身をかばう。と、吹きつける土砂で阻まれた視界を割ってスサノヲの拳が司に襲い掛かった。
一撃、二撃をかわしたが三撃目を避けることができなかった。スサノヲの手刀が袈裟懸けに走り司の左肩から血しぶきが上がった。
「…………!」
亜衣の口から悲鳴が飛び出しスサノヲは邪険に手を振った。
「うるさい。騒ぐな」
司に駆け寄ろうとした亜衣の足がその場で止まる。それを見届けたスサノヲは司の方に向き直った。
「不死の身体とはいえ痛みがないわけではない。ヒトの身とは不便なものだな。え? ツクヨミ」
肩越しに亜衣を見返ってスサノヲはにやりと意地の悪い笑みを浮かべた。
「教えてやる。ヒトの身体を器にするなんてえげつないこと考えだしたのはこいつら高天原族なんだぜ。天上界生まれのこいつらは地上では現身を取ることができない。だからこうしてヒトの身体を乗っ取ることにしたのさ。そうだろう?」
「おまえが今していることとて同じだろう」
「ああ、そうさ。不便だが便利なこともあるからな」
「人の輪の中に紛れ込むには」
淡々とした司の物言いにスサノヲは眉を吊り上げた。
「何が言いたい?」
「神は人に憧れ、人は神になりたがる。どうせ相いれないものなら、初めから人をいつくしむべきではなかった」
ゆっくりと腕組をして、スサノヲはふんと顎を上げた。
「半端なんだよ、おまえらは。いいか、人なんてもんはな、自然界の摂理を曲げて生きるのを喜ぶ大馬鹿者だ。自分たちが一番偉いと思っている身の程知らずだ。だがな」
身をかがめてスサノヲは司の襟首を掴んだ。
「こうなってしまった責任はお前らにある。なぜ人の世への干渉を怠った? なぜ人の為すがままに任せた? 支配を企てながらなぜこの秋津島を汚れていくままにしているのだ!」
「何度言ったらわかるんだ。我々は支配しているつもりなどない」
「だったらおまえら天つ神など高天原に引っ込んでいれば良かろう!」
司の顔つきが変わったのはそのときだった。それまでどちらかといえば辛抱強い表情でスサノヲを諭そうとする様子であったのが、目の中に険しい色を走らせて彼は低くうめいた。
「自分が何をしたのか忘れたのか? アマテラスを追い詰め高天原を崩壊に導いたのはおまえだろう、スサノヲ!」
一撃、二撃をかわしたが三撃目を避けることができなかった。スサノヲの手刀が袈裟懸けに走り司の左肩から血しぶきが上がった。
「…………!」
亜衣の口から悲鳴が飛び出しスサノヲは邪険に手を振った。
「うるさい。騒ぐな」
司に駆け寄ろうとした亜衣の足がその場で止まる。それを見届けたスサノヲは司の方に向き直った。
「不死の身体とはいえ痛みがないわけではない。ヒトの身とは不便なものだな。え? ツクヨミ」
肩越しに亜衣を見返ってスサノヲはにやりと意地の悪い笑みを浮かべた。
「教えてやる。ヒトの身体を器にするなんてえげつないこと考えだしたのはこいつら高天原族なんだぜ。天上界生まれのこいつらは地上では現身を取ることができない。だからこうしてヒトの身体を乗っ取ることにしたのさ。そうだろう?」
「おまえが今していることとて同じだろう」
「ああ、そうさ。不便だが便利なこともあるからな」
「人の輪の中に紛れ込むには」
淡々とした司の物言いにスサノヲは眉を吊り上げた。
「何が言いたい?」
「神は人に憧れ、人は神になりたがる。どうせ相いれないものなら、初めから人をいつくしむべきではなかった」
ゆっくりと腕組をして、スサノヲはふんと顎を上げた。
「半端なんだよ、おまえらは。いいか、人なんてもんはな、自然界の摂理を曲げて生きるのを喜ぶ大馬鹿者だ。自分たちが一番偉いと思っている身の程知らずだ。だがな」
身をかがめてスサノヲは司の襟首を掴んだ。
「こうなってしまった責任はお前らにある。なぜ人の世への干渉を怠った? なぜ人の為すがままに任せた? 支配を企てながらなぜこの秋津島を汚れていくままにしているのだ!」
「何度言ったらわかるんだ。我々は支配しているつもりなどない」
「だったらおまえら天つ神など高天原に引っ込んでいれば良かろう!」
司の顔つきが変わったのはそのときだった。それまでどちらかといえば辛抱強い表情でスサノヲを諭そうとする様子であったのが、目の中に険しい色を走らせて彼は低くうめいた。
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