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第十五話 浮気と毒
15-7.これは浮気じゃない?
しおりを挟む「まったく、どうしてそんな男みたいにしちまったんだか」
閉店の後しみじみ言われ、美登利はカウンターで売上帳をつけている琢磨に近づいた。
「興奮する?」
「馬鹿」
顔も上げずに答えるのを無理やり上向けてキスした。
大人の対応とでも言うべきか、琢磨は彼女を引きはがしたりしない。
存分に応じた後、とんとんと宥めるように背中を叩いた。
「どうした?」
「ねえ、琢磨」
そのまま彼の膝に座って美登利は尋ねる。
「男の人は好きじゃなくても浮気できるの?」
「浮気ってのはそういうもんだろ」
「私のは浮気?」
「辞書を引いてみろ」
めんどくさそうに返す琢磨に口を尖らせる。
「引いたよ、広辞苑では『心がうわついていること。心が落ち着いておらず、変わりやすいこと』って」
「まさにおまえのことじゃないか」
「じゃあ、わたしのが浮気で、誠のは違うの? 気持ちがなければ浮気じゃないの?」
もう一度キスして舌を絡める。
「……これは浮気じゃない?」
「なんだかよくわからんが」
「私もわからなくなってきた」
「言い方なんかどうでも良いだろ。早く許してやれ」
「そうなんだけど」
「男は馬鹿なんだよ。おまえはカシコイ女だろ。妙なことにこだわってないで早く許してやれ」
「うん……」
しぶしぶ頷いて離れようとするのを止められてがっしり抱き竦められた。貪るようにくちびるを奪われる。
抵抗する気はなかったが驚いた。
「おまえが悪い」
何故だか。その言葉に安堵して、美登利は琢磨の腕に身を委ねた。
「そうだね。私が悪い」
素肌に男の手を感じながら彼女は尋ねる。
「それでも、タクマは私の味方だよね」
「あたりまえだ」
「よかった」
目を閉じて広い肩に顔を埋めながら彼女は吐息をもらした。
シャツの下に潜り込んだ大きな手が背中を撫でまわす。背中が弱い彼女はそれだけで声が出そうになって男の首を甘噛みする。
男の手が下着のホックをはずして乳房を柔らかく包む。大きな手で覆いながら親指で乳首をいじられるとぞわぞわと快感が広まって腰が動いた。
武骨な外見に似合わず彼はやさしい。大事にされているのがわかっているからこの男には甘えてばかりだ。
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