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第十一話 魔物な夜
11-1.巨大カボチャ
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人で賑わう駅前商店街のど真ん中に巨大カボチャが現れたとき、中川美登利はまずこれでいくつのカボチャパイが作れるかと考えた。カボチャプリンなんかも捨てがたい。
「先輩、これ食用じゃないから」
楽しい想像に水を差され、眉をひそめて隣の池崎正人を見る。
「どうして私の考えてることわかるのさ?」
「日々精進してるから」
言いつつ正人も考える。
「これ重さは先輩が何人分かな」
ちょっと気持ち悪い発言に引きそうになっていると、下から声をかけられた。
「おねえさん、おにいさん、コンニチハ」
ウォークラリーで知り合った少年と少女が、仲良くそろってこっちを見上げている。
「こんにちは」
「おねえさんのお店はハロウィンで何かやる?」
「いや、今のとこ何も考えてないけど」
「学校のクラブ活動でね、仮装して行進するんだけどおねえさんのお店にも寄らせてもらえないかな」
「お菓子をちょうだいってわけ?」
「ダメ?」
「いいよ。しょうがないな」
「よかった! じゃあ、よろしくね」
「とびきり可愛い恰好して来てね」
そうと決まれば少しくらい飾りつけもしなければ。
予備校に行く正人と別れた後、ランタン用の小さなかぼちゃをいくつか買ってロータスに戻ると、店主の志岐琢磨に渋い顔をされた。
「おまえは、いったいこの店をどうしてくれるんだ」
知ったことではないから、ただ肩をすくめて見せる。
テーブル席に新聞紙を広げて作業を始めてみたけど、顔のパーツがうまく彫れない。
あれこれ悩みながらやっていると、
「自分が百面相してどうするんだよ」
仕事帰りらしい村上達彦がにやにやしていた。
「どれ」
カッターを手に取って上手いことカボチャを彫り始める。自分のまわりにいるのは器用な男ばかりだ。
「君が不器用なんだよ」
また思ったことを読まれて美登利はため息をつく。気が緩んでいるのだろうか。
コーヒーを淹れに立ち上がると入れ替わりに琢磨が達彦に近づいた。
「また来週入院だって?」
「ああ」
「大丈夫なのか」
「あんたに心配されるようなこたぁ、何もないよ」
ふんと鼻を鳴らして、琢磨は小さなカボチャをなんだこりゃと突っついた。琢磨が持つと余計に小さく可愛く見える。
「大きな方が作りやすかったかな」
「力業だろうけど」
「そうすればよかった」
「先輩、これ食用じゃないから」
楽しい想像に水を差され、眉をひそめて隣の池崎正人を見る。
「どうして私の考えてることわかるのさ?」
「日々精進してるから」
言いつつ正人も考える。
「これ重さは先輩が何人分かな」
ちょっと気持ち悪い発言に引きそうになっていると、下から声をかけられた。
「おねえさん、おにいさん、コンニチハ」
ウォークラリーで知り合った少年と少女が、仲良くそろってこっちを見上げている。
「こんにちは」
「おねえさんのお店はハロウィンで何かやる?」
「いや、今のとこ何も考えてないけど」
「学校のクラブ活動でね、仮装して行進するんだけどおねえさんのお店にも寄らせてもらえないかな」
「お菓子をちょうだいってわけ?」
「ダメ?」
「いいよ。しょうがないな」
「よかった! じゃあ、よろしくね」
「とびきり可愛い恰好して来てね」
そうと決まれば少しくらい飾りつけもしなければ。
予備校に行く正人と別れた後、ランタン用の小さなかぼちゃをいくつか買ってロータスに戻ると、店主の志岐琢磨に渋い顔をされた。
「おまえは、いったいこの店をどうしてくれるんだ」
知ったことではないから、ただ肩をすくめて見せる。
テーブル席に新聞紙を広げて作業を始めてみたけど、顔のパーツがうまく彫れない。
あれこれ悩みながらやっていると、
「自分が百面相してどうするんだよ」
仕事帰りらしい村上達彦がにやにやしていた。
「どれ」
カッターを手に取って上手いことカボチャを彫り始める。自分のまわりにいるのは器用な男ばかりだ。
「君が不器用なんだよ」
また思ったことを読まれて美登利はため息をつく。気が緩んでいるのだろうか。
コーヒーを淹れに立ち上がると入れ替わりに琢磨が達彦に近づいた。
「また来週入院だって?」
「ああ」
「大丈夫なのか」
「あんたに心配されるようなこたぁ、何もないよ」
ふんと鼻を鳴らして、琢磨は小さなカボチャをなんだこりゃと突っついた。琢磨が持つと余計に小さく可愛く見える。
「大きな方が作りやすかったかな」
「力業だろうけど」
「そうすればよかった」
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