上 下
11 / 11

11

しおりを挟む
「ちゅうしたら、大きくなったね」
 そっちこそ、締まりすぎ。

「アコまた、イッちゃう」
 なぜか泣き出しそうな声で言うのが可愛くて彼女が動きたいようにするのにまかせた。
 お腹を引っ込めて艶めかしく腰を回したアコは最後はぎゅうっと由基の背中を抱きしめながら全身を震わせた。中が波打ってつぅっと糸を引かれる感覚が走る。

「俺も、もう……」
 アコの両の膝裏をすくいあげて押し倒す。アコは肩にしがみついたまま離れない。小さな頭を抱き込んで腰を打ち付けると、弾んだ吐息が喉元にかかって興奮した。

「ヨッシー、ヨッシー」
 熱っぽいささやきに力を得て無心に動き続けて果てた後には頭が真っ白だった。アコは全部を搾り取るように最後にはぎゅううっと全身で抱き着いてきた。



 汗だくでシーツに沈んだ由基の横で起き上がると、アコは広縁に脱ぎ捨てた浴衣を拾って着直した。
「またお風呂にいかなきゃ」
「そうだね……」
 ぐったりと目を閉じたままでいると、物音でアコが出ていったのがわかった。しばらくしてから由基もようやく起き上がる。額に汗が流れて苦笑する。セックスってこんなに汗をかくものだったか?

 捨てるものをくずかごに捨て、浴衣を着てまた風呂へと向かった。本日三度目の風呂だ。正しく温泉旅行の満喫の仕方であるかもしれない。

 再び露天風呂に浸かりながら疲れた、と思わずにはいられない。行為自体はとてもヨカッタのだけれども。
 昼間にスワンボートなどに乗ったのが敗因だ。それさえなければまだまだ……ということにして風呂を出る。

 客室に帰る道すがら改めて足腰がヤバいことになっていることを自覚する。明日の朝、筋肉痛がきたら泣く。

 渡り廊下の途中でガラス戸の向こうにアコがいることに気づいた。引き戸があって、そこから中庭に出られるようだ。外は冷えるだろうに。

 中に戻るよう声をかけに由基が外に出ると、アコは嬉しそうに笑って上を指差した。
「お星さまがすごいよ」
「……そうだな」
 目を凝らせば天の川も見えそうだ。

「ここ、いいとこだね。また来たいな」
 来るのはいいけど、スワンボートには二度と乗らない。心で誓う由基にアコがぴとっとくっついてくる。
「お部屋に戻ったら、もう一回する?」
 もう無理です。おじさんは死んでしまいそうです。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

美咲の初体験

廣瀬純一
ファンタジー
男女の体が入れ替わってしまった美咲と拓也のお話です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...