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第10話 見せたがる男たち
10-2.男はみんなヘンタイ
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可憐な外見通り奥手の樹里は、この年になるまで清い体で、勤務先の先輩社員と親しくなり付き合い始めた。
そうなればすぐさま行為に踏み切ることは大人としては当然だ。
戸惑いつつも樹里は頑張った。相手の男のことが本当に好きなのだ。
おそらく彼氏も樹里が可愛くて仕方ないのだろうと思う。それゆえの要求なのだろうとは思う。
「好きならできるだろって言われたけど、どうしてもダメなんです。そう言う彼の方こそ、わたしを好きならどうしてこんな無理強いするんだろうって……」
うんうん。そうだよね。それこそ男と女の相違というヤツ。
彼女がカワイイからこそ強引にやらせて悦ぶ。男はみんなヘンタイなんだ。
だけどトラウマを持ってる樹里にそんなこと言っても始まらない。
瞳をうるうるさせている樹里を見つめて私は迷う。そんな嫌なことならやらなくていいんだよって言ってあげたい。
でもなあ。
舐める舐めないの問題で別れたカップルって実はけっこういたりする。
そんなことくらいでって大人になれば思うけど、まだ若いころには嗜好の不一致はなかなか乗り越えられることじゃない。
「そんなに舐めてほしけりゃ、自分でしゃぶってればいいんだよ!」
なんて暴言を吐いたのは、実は静香だったりする。理知的な彼女らしからぬ様相に、友人たちはみな青ざめたものである。
それくらいカップルの溝を深くする論争なのだ。
あの行為を喜んでする女はそうそういない。
気持ち悪いし苦しいし、口の中に出されたりすれば本当に泣いてしまう。
それくらいやるせない行為なのだ。
じゃあ、なんでそれをするのかといえば、好きだから悦んでほしいというのもあるけど、お返しの気持ちの方が強いと思う。
自分が気持ち良くしてもらって満足すれば、相手のことも気持ち良くしてあげたいと思う。だから我慢して頑張る。
お返しだよね、うん。ということは。
「樹里はさ、ちゃんと楽しんでる?」
「え?」
「ちゃんと気持ちイイ?」
「わ、わからないです。そんなの」
うーむ。
私は少し考えてから鞄を持って立ち上がった。
「場所、変えよう」
「え……」
「早く早く」
樹里を引っ張って私のクルマに放り込みエンジンをかける。
「彼氏とするのってホテル? どこ?」
もごもごと樹里が吐いた場所にクルマを走らせる。
インター下のホテル街にあるメルヘンチックなオブジェが目立つとこだ。実に樹里に合っている。
「部屋はどれを使ってるの?」
有無を言わさぬ口調で問うと、樹里はおずおずとパネルを指さす。
うむ、素直でよろしい。ちょうど空いてて良かった。
そうなればすぐさま行為に踏み切ることは大人としては当然だ。
戸惑いつつも樹里は頑張った。相手の男のことが本当に好きなのだ。
おそらく彼氏も樹里が可愛くて仕方ないのだろうと思う。それゆえの要求なのだろうとは思う。
「好きならできるだろって言われたけど、どうしてもダメなんです。そう言う彼の方こそ、わたしを好きならどうしてこんな無理強いするんだろうって……」
うんうん。そうだよね。それこそ男と女の相違というヤツ。
彼女がカワイイからこそ強引にやらせて悦ぶ。男はみんなヘンタイなんだ。
だけどトラウマを持ってる樹里にそんなこと言っても始まらない。
瞳をうるうるさせている樹里を見つめて私は迷う。そんな嫌なことならやらなくていいんだよって言ってあげたい。
でもなあ。
舐める舐めないの問題で別れたカップルって実はけっこういたりする。
そんなことくらいでって大人になれば思うけど、まだ若いころには嗜好の不一致はなかなか乗り越えられることじゃない。
「そんなに舐めてほしけりゃ、自分でしゃぶってればいいんだよ!」
なんて暴言を吐いたのは、実は静香だったりする。理知的な彼女らしからぬ様相に、友人たちはみな青ざめたものである。
それくらいカップルの溝を深くする論争なのだ。
あの行為を喜んでする女はそうそういない。
気持ち悪いし苦しいし、口の中に出されたりすれば本当に泣いてしまう。
それくらいやるせない行為なのだ。
じゃあ、なんでそれをするのかといえば、好きだから悦んでほしいというのもあるけど、お返しの気持ちの方が強いと思う。
自分が気持ち良くしてもらって満足すれば、相手のことも気持ち良くしてあげたいと思う。だから我慢して頑張る。
お返しだよね、うん。ということは。
「樹里はさ、ちゃんと楽しんでる?」
「え?」
「ちゃんと気持ちイイ?」
「わ、わからないです。そんなの」
うーむ。
私は少し考えてから鞄を持って立ち上がった。
「場所、変えよう」
「え……」
「早く早く」
樹里を引っ張って私のクルマに放り込みエンジンをかける。
「彼氏とするのってホテル? どこ?」
もごもごと樹里が吐いた場所にクルマを走らせる。
インター下のホテル街にあるメルヘンチックなオブジェが目立つとこだ。実に樹里に合っている。
「部屋はどれを使ってるの?」
有無を言わさぬ口調で問うと、樹里はおずおずとパネルを指さす。
うむ、素直でよろしい。ちょうど空いてて良かった。
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