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最終章 姉妹の選択
お母さん
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忍び足で階段を降りて行くと、そこには薄暗い廊下があった。一面をコンクリートが覆っており、電気はひとつも無いようだ。そのせいもあってか、外の気温と同じくらいに肌寒い。
でも、手を繋いでいるから大丈夫だ。私たちならば、どんな試練だって越えられる。物心が付いた時からずっと二人で励まし合い、その度に手を繋いで来た。だから、きっと大丈夫だ。
「早く魔女さんを探そう。魔法使いさんが下りてきたら大変だよ」
ルルは繋ぐ手に力を込めながら、瞳に覚悟の色を宿した。
「うん、そうだね。早く助けに行かなきゃ。きっとナナ達のこと待ってる」
ルルの言葉に応えるように、ナナも繋ぐ手に力を込めた。
二人の手が強く結ばれたのを合図に、魔女さんを探すために薄暗い廊下へと歩みを始める。
廊下を歩いているが、左右の壁はずっとコンクリートが続いていて部屋が見当たらない。
もしかしたらゴールは無いのではないか。もしかしたら永遠の迷路に閉じ込められてしまったのではないか。もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら……。
そんな『もしも』が頭の中に流れ出すと、どんどんと不安の沼に沈んでいく気分だ。不安になり後ろを振り返っても、随分と歩いたためか光が差していない。
「うー、暗いよぉ」
ナナが辺りをキョロキョロとしながら呟いた。
「暗いよね、あと寒いし」
「うん、なんだか夜の外みたい」
「あー、言われてみればそうかもしれない」
こうやって二人で話しながら歩いていると、小さな不安もかき消せる気がした。
二人が喋りながら歩みを進めていると、目の前に『それ』は現れた。
「これは……?」
まだ暗くて分からない。
二人が急いで近づいてみると、そこには洞窟で見たような檻があった。しかし洞窟で見た檻よりも小さく、柵の間は幼い姉妹でも出入り出来ない程の幅だった。
「檻だね……もしかしたらこの中に魔女さんが居るのかも……」
ナナはそう言うと、目を細めながら檻の中を見た。ルルが「どう?」と尋ねると、ナナは喉をヒュッと鳴らして檻から顔を離した。
「おおおおお姉ちゃん……多分、魔女さんが居る……」
「ほんと! それならなんでそんな反応するの?」
ルルもそう言いながら檻の中を覗いてみる。
まだ暗くてよく分からないが、ジッと一点だけを見つめていると、段々と暗闇に目が慣れてくる。
そして、目の前にある正体が明らかになった。
「えっ……?」
そこには、椅子の上に人が座っていて、その頭には料理で使うボウルのような物を被り、そこからはクラゲの足のような線が無数に生えていた。その無数の線は、後ろの大きな機械に繋がっているようだ。
そして魔女さんと思われる人は、両手と両足を拘束されている状態で、頭を床に向けてうなだれている。
「うわ! ま、魔女さんだよね? 助けなきゃ!」
ルルはそう言って檻の扉を開こうとするが、鍵が閉まっていて開かない。
「どうしようどうしよう……これじゃ魔女さん助けられないよ」
ルルはそう言いながらも、何かの間違いで扉が開かないかと、体重を掛けながら扉を揺らしている。
しかし檻の扉が開く気配は全くない。
「あ、お姉ちゃん……! これ……!」
その後ろで辺りの壁を舐め回すように眺めていたナナが、唐突に声を上げた。その声にルルが振り向くと、ナナが横の壁に掛かっていた物を手に持って近づいて来る。
「これ、鍵だよね……?」
ナナの手には、暗闇で色は分からないが、確かに細長い鍵を持っていた。
「おぉ! 鍵だよ鍵だよ! ナナすごい!」
ルルは興奮したように、ナナの肩を掴みながら小さく跳ねている。そんな姉の姿に嬉しそうな表情を見せたナナは、手に持っていた鍵を手渡した。
「これで開けてみて」
「うん! 任せて!」
ルルはその鍵を受け取ると、急いで扉にあるはずの鍵穴を探し始めた。目を凝らしながら鍵穴を探すが、辺りが暗いこともあって中々見つからない。すると――。
「あ、あった!」
ルルはそれらしき穴を見つけると、考えるよりも早く手に持った鍵を差し込んだ。スルスルと鍵穴に鍵が突き刺さると、それを勢いよく捻る。
ガチャン。
鍵が開く音が聞こえるや否や、ルルは思い切り体重を掛けながら扉を開いた。
「魔女さん!」
ルルはその名を呼びながら椅子に座る魔女さんに近づく、その後ろからはナナも急いで駆けてくる。
椅子に近づいてみると、体つきを見ただけで魔女さんだと分かった。急いで頭に被せてあったボウルのような物を脱がせると、相変わらず目元に目隠しを付けた魔女さんの顔があった。
「「魔女さん!!」」
姉妹がその名を呼ぶと、魔女さんの体がピクリと動いた。
「ルルとナナなの……?」
それは確かに魔女さんの声だったが、とても弱々しく聞こえた。そんな声を聞いたルルは、拘束されている魔女さんの手を取る。
「そうだよ! 助けに来たの!」
「どうやって助けに来たの? あいつがまだ家に居たはずよね?」
「まあまあ、その話しは後からするとして今は少しでも早くここから逃げようよ! 魔女さん、魔法を使えばこんな所から脱出出来るよね?」
ルルが首を傾げながら尋ねると、魔女さんはゆっくりと首を横に振った。
「ごめんなさいね。どうやらあいつに魔力を全て奪われてしまったようで、魔法が使えないの」
その声は申し訳なさでいっぱいだった。なんでそんな申し訳ない声を出すのだろう。謝らなくてはいけないのは、洞窟で魔女さんを召喚した挙げ句、助けに遅れて来た私たちの方なのに。
「ごめんなさい……ちょっと助けに来るの遅くなっちゃった……」
ルルが後悔した声色を見せると、椅子に拘束されている魔女さんの手がピクリと動いた。もしかしたら、ルルの頭を撫でようとしたのかもしれない。
「いいえ、これは私の責任よ。だからあなたたちは一刻も早くこの家から出なさい」
「ま、魔女さんは……?」
今度はナナが食い気味に、魔女さんの手を握りながら尋ねた。
「私は動けないもの。しかも、魔法が使えなくなった魔女は用無しなのよ?」
その言葉に、ナナは初めて魔女さんに対して怒りが沸いた。
「なんでそういうこと言うの? 魔女さんはナナ達のお母さんなんだよ? お母さんは魔法が使えなくたって良いんだよ……ただ、ナナたちの側に居てくれれば……」
その声は今にでも泣き出してしまいそうだった。
魔女さんは「ナナ……」と呟いたまま、掛ける言葉が見つからないでいる。
辺りに重い空気が流れ出すと、その空気に耐えきれなくなったルルは何でもいいから話そうと口を開く。
「ま、まあ魔女さんは本物の魔女じゃないからね! これで普通の人間に戻っただけだよ!」
その言葉に魔女さんは「うっ……」とお腹を殴られたような声を上げ、ナナはクスクスと笑い出す。
どうやら空気が元に戻ったようで、ルルはホッと胸を撫で下ろした。
「だから魔女さんは私たちと一緒に帰るよ!」
「ルルまで……」
そんなやり取りを二人が交わし終えたその時――。
ドタドタドタ。
階段を足早に駆け下りてくる足音が、コンクリートの壁に反響して不気味な音を奏で始めた。
でも、手を繋いでいるから大丈夫だ。私たちならば、どんな試練だって越えられる。物心が付いた時からずっと二人で励まし合い、その度に手を繋いで来た。だから、きっと大丈夫だ。
「早く魔女さんを探そう。魔法使いさんが下りてきたら大変だよ」
ルルは繋ぐ手に力を込めながら、瞳に覚悟の色を宿した。
「うん、そうだね。早く助けに行かなきゃ。きっとナナ達のこと待ってる」
ルルの言葉に応えるように、ナナも繋ぐ手に力を込めた。
二人の手が強く結ばれたのを合図に、魔女さんを探すために薄暗い廊下へと歩みを始める。
廊下を歩いているが、左右の壁はずっとコンクリートが続いていて部屋が見当たらない。
もしかしたらゴールは無いのではないか。もしかしたら永遠の迷路に閉じ込められてしまったのではないか。もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら……。
そんな『もしも』が頭の中に流れ出すと、どんどんと不安の沼に沈んでいく気分だ。不安になり後ろを振り返っても、随分と歩いたためか光が差していない。
「うー、暗いよぉ」
ナナが辺りをキョロキョロとしながら呟いた。
「暗いよね、あと寒いし」
「うん、なんだか夜の外みたい」
「あー、言われてみればそうかもしれない」
こうやって二人で話しながら歩いていると、小さな不安もかき消せる気がした。
二人が喋りながら歩みを進めていると、目の前に『それ』は現れた。
「これは……?」
まだ暗くて分からない。
二人が急いで近づいてみると、そこには洞窟で見たような檻があった。しかし洞窟で見た檻よりも小さく、柵の間は幼い姉妹でも出入り出来ない程の幅だった。
「檻だね……もしかしたらこの中に魔女さんが居るのかも……」
ナナはそう言うと、目を細めながら檻の中を見た。ルルが「どう?」と尋ねると、ナナは喉をヒュッと鳴らして檻から顔を離した。
「おおおおお姉ちゃん……多分、魔女さんが居る……」
「ほんと! それならなんでそんな反応するの?」
ルルもそう言いながら檻の中を覗いてみる。
まだ暗くてよく分からないが、ジッと一点だけを見つめていると、段々と暗闇に目が慣れてくる。
そして、目の前にある正体が明らかになった。
「えっ……?」
そこには、椅子の上に人が座っていて、その頭には料理で使うボウルのような物を被り、そこからはクラゲの足のような線が無数に生えていた。その無数の線は、後ろの大きな機械に繋がっているようだ。
そして魔女さんと思われる人は、両手と両足を拘束されている状態で、頭を床に向けてうなだれている。
「うわ! ま、魔女さんだよね? 助けなきゃ!」
ルルはそう言って檻の扉を開こうとするが、鍵が閉まっていて開かない。
「どうしようどうしよう……これじゃ魔女さん助けられないよ」
ルルはそう言いながらも、何かの間違いで扉が開かないかと、体重を掛けながら扉を揺らしている。
しかし檻の扉が開く気配は全くない。
「あ、お姉ちゃん……! これ……!」
その後ろで辺りの壁を舐め回すように眺めていたナナが、唐突に声を上げた。その声にルルが振り向くと、ナナが横の壁に掛かっていた物を手に持って近づいて来る。
「これ、鍵だよね……?」
ナナの手には、暗闇で色は分からないが、確かに細長い鍵を持っていた。
「おぉ! 鍵だよ鍵だよ! ナナすごい!」
ルルは興奮したように、ナナの肩を掴みながら小さく跳ねている。そんな姉の姿に嬉しそうな表情を見せたナナは、手に持っていた鍵を手渡した。
「これで開けてみて」
「うん! 任せて!」
ルルはその鍵を受け取ると、急いで扉にあるはずの鍵穴を探し始めた。目を凝らしながら鍵穴を探すが、辺りが暗いこともあって中々見つからない。すると――。
「あ、あった!」
ルルはそれらしき穴を見つけると、考えるよりも早く手に持った鍵を差し込んだ。スルスルと鍵穴に鍵が突き刺さると、それを勢いよく捻る。
ガチャン。
鍵が開く音が聞こえるや否や、ルルは思い切り体重を掛けながら扉を開いた。
「魔女さん!」
ルルはその名を呼びながら椅子に座る魔女さんに近づく、その後ろからはナナも急いで駆けてくる。
椅子に近づいてみると、体つきを見ただけで魔女さんだと分かった。急いで頭に被せてあったボウルのような物を脱がせると、相変わらず目元に目隠しを付けた魔女さんの顔があった。
「「魔女さん!!」」
姉妹がその名を呼ぶと、魔女さんの体がピクリと動いた。
「ルルとナナなの……?」
それは確かに魔女さんの声だったが、とても弱々しく聞こえた。そんな声を聞いたルルは、拘束されている魔女さんの手を取る。
「そうだよ! 助けに来たの!」
「どうやって助けに来たの? あいつがまだ家に居たはずよね?」
「まあまあ、その話しは後からするとして今は少しでも早くここから逃げようよ! 魔女さん、魔法を使えばこんな所から脱出出来るよね?」
ルルが首を傾げながら尋ねると、魔女さんはゆっくりと首を横に振った。
「ごめんなさいね。どうやらあいつに魔力を全て奪われてしまったようで、魔法が使えないの」
その声は申し訳なさでいっぱいだった。なんでそんな申し訳ない声を出すのだろう。謝らなくてはいけないのは、洞窟で魔女さんを召喚した挙げ句、助けに遅れて来た私たちの方なのに。
「ごめんなさい……ちょっと助けに来るの遅くなっちゃった……」
ルルが後悔した声色を見せると、椅子に拘束されている魔女さんの手がピクリと動いた。もしかしたら、ルルの頭を撫でようとしたのかもしれない。
「いいえ、これは私の責任よ。だからあなたたちは一刻も早くこの家から出なさい」
「ま、魔女さんは……?」
今度はナナが食い気味に、魔女さんの手を握りながら尋ねた。
「私は動けないもの。しかも、魔法が使えなくなった魔女は用無しなのよ?」
その言葉に、ナナは初めて魔女さんに対して怒りが沸いた。
「なんでそういうこと言うの? 魔女さんはナナ達のお母さんなんだよ? お母さんは魔法が使えなくたって良いんだよ……ただ、ナナたちの側に居てくれれば……」
その声は今にでも泣き出してしまいそうだった。
魔女さんは「ナナ……」と呟いたまま、掛ける言葉が見つからないでいる。
辺りに重い空気が流れ出すと、その空気に耐えきれなくなったルルは何でもいいから話そうと口を開く。
「ま、まあ魔女さんは本物の魔女じゃないからね! これで普通の人間に戻っただけだよ!」
その言葉に魔女さんは「うっ……」とお腹を殴られたような声を上げ、ナナはクスクスと笑い出す。
どうやら空気が元に戻ったようで、ルルはホッと胸を撫で下ろした。
「だから魔女さんは私たちと一緒に帰るよ!」
「ルルまで……」
そんなやり取りを二人が交わし終えたその時――。
ドタドタドタ。
階段を足早に駆け下りてくる足音が、コンクリートの壁に反響して不気味な音を奏で始めた。
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