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最終章 姉妹の選択
潜入!
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姉妹がポカンと口を開けながら見上げる先には、こちらを見下ろす魔法使いさんの家が佇んでいた。
以前に訪れた時と同じ外観にも関わらず、その雰囲気が異様に感じるのは昨日の出来事があったからだろう。そんな雰囲気を醸し出している魔法使いさんの家の前には、腹を括ったかのような顔つきをした双子の姉妹が居た。
「ついに着たね」
ルルはそう呟くと、画面が光ったままのスマートフォンをズボンのポケットへとしまい込んだ。
「そうだね、早く魔女さんを助けに行こ」
ナナがルルの顔を見ながら言うと、二人は同時に頷いた。
魔法使いさんの家の扉へゆっくりと近づいて行く――そこで、ナナがいきなり足を止めた。
「え、どうしたの?」
手を繋いでいるので、急に立ち止まったナナにつられてルルも歩みを止めた。
「お姉ちゃん、ドアから入っていくつもり?」
「う、うん。そうだけど」
「いやダメでしょ……」
「え、どうして?」
キョトンとした顔でルルが首を傾げているが、何でそんな顔が出来るのかナナには不思議でしょうがなかった。
「だってナナたちが家に来たってことは魔女さんを助けに来たって言ってるようなもんでしょ? ナナたちが魔女さんと仲良しなこと知ってる訳だし」
「た、たしかにそうかも……」
やっと玄関から入れない理由に気付いたルルは、「うーん」と頭を悩ませ始めた。
「どうやって魔法使いさんの家に入ろう……」
玄関の扉から入れないとなると、どうやって家の中に入れば良いのだろう。だがここで頭をフル回転させても、分かることなんて限られている。
そう思ったルルは、ナナへと向き直った。
「よし、魔法使いさんの家の周りを見て回ろう」
「家の周り?」
「そう! 家の中に入るヒントがあるかもしれないよ!」
「そんな簡単にみつかるかなぁ」
「大丈夫だよ! というか、それしか方法は無いと思う」
苦笑いを見せるルルに、ナナは渋々だが頷いた。
「まあそうだね、それしかないかも」
ナナの答えに満足そうな表情を見せたルルは頬をほころばせ、魔法使いさんの家の方へとナナの手を引きながら向かった。
======
結論から言うと、魔法使いさんの家へと入る方法が簡単に見つかった。裏口の鍵が空いていたのだ。
「簡単に開いちゃったね」
裏口の扉を片手で開けていているルルが、小さな声で呟いた。
「うん、そんなことより早く入っちゃお? 魔法使いさんに見つかると大変だよ」
「それもそうだね、中に入っちゃおうか」
二人は顔を合わせて頷くと、土足で家の中へと踏み入れた。
ガサガサ、ガサガサと音がする。急いで足を止めると、その音はピタリと止んだ。
「何の音?」
囁くように尋ねたルル。するとナナは、手に持っていたビニール袋を不満げな顔の近くまで持ち上げた。
「これだよ。このビニール袋がうるさい」
音の正体はすぐに分かった。八百屋のおばちゃんから貰ったビニール袋だ。歩く度にビニール袋の中に入ったリンゴが重りとなり、音を立てていたらしい。
「この袋どうしよう……」
ルルが困ったように眉を八の字にして言った。
「置いていくのもちょっとね……」
ナナも困ったように、手に持ったビニール袋を見て首を傾げている。
せっかくおばちゃんから貰ったリンゴを置いていくのは気が引ける。だからと言って、ビニール袋を持って歩くのは危険すぎる。
どうしたものかと姉妹が頭を捻っていると。
ゴト、ゴト……と何者かが階段をゆっくりと降りてくる足音が聞こえた。
「どうしようどうしよう……きっとこれ魔法使いさんの足音だよ……」
家で聞くような魔女さんの足音ではないことに、ルルは慌てた表情で言った。
そこでナナがはっと顔を上げる。
「この袋を置いて、リンゴだけ持ってけば良いんだよ」
「それだ!」
小さな声でヒソヒソと作戦会議を終えると、ナナは袋の中からリンゴを二つ取り出した。その際にもガサガサと音がなってしまったが、今回はしょうがないだろう。
「このリンゴはどうする?」
ナナが両手にリンゴを持ち、用が無くなった袋は床へと落とした。
「うーん、ひとつずつ持とうか」
「そうだね、そうしよう」
ルルがそう提案をすると、ナナからリンゴをひとつ受け取った。
そんなやり取りをしている間も、階段を歩く音は近づいて来る。
「どうしよう……どこかに隠れないと……」
辺りを見回してみると、ここは普通のキッチンのようだ。どこかに隠れるところは……と辺りを見回してみるも、そのような場所は無いようだ。
焦りで心臓がバクバクと音を立てる。
どうしようどうしよう……。
ルルとナナは辺りをキョロキョロとしているが、未だに良い考えは思い浮かばない。
「こうなったら一旦外に出る?」
「……それが一番良いかも……」
ナナが短く返事をしたその時、階段を歩く音がどんどんと遠くなっていく。
その足音は、床の下へと消えて行くようにも聞こえる。
「え……これってどういう……」
「地下があるの……?」
魔法使いさんの家が二階建てなのは知っていたが、まさか地下にも階段が続いているのだろうか。でも魔法使いさんの足音が遠ざかっていくのも事実。
次第にその音も段々と聞こえなくなり、姉妹はひとときの緊張から解かれて安堵のため息を零した。
「とりあえずどうにかなったね……」
ルルの言葉にナナは小さく頷いた。
「うん……でも、地下室があったなんて」
「前はそんなこと言ってなかったよね?」
「言ってなかった……」
以前、魔法使いさんの家に訪れた時に「お家広いね!」とルルが言うと、魔法使いさんは「昔ながらの二階建てじゃからな」とだけ言っていた。
そのことを思い出しながら、ルルが口を開く。
「もしかしたら地下に何かあるのかもね」
「うん、それはナナも思った。怪しすぎるもん」
二人はそう言うと顔を合わせて頷いた。
「地下室に行く価値はあるよね。っていうか、ほぼ確実に魔女さんは地下に居る」
ルルが囁き声ながらも気合いの入った口調を放った。
「だね……でも、下に魔法使いさん居るよね?」
「うん、足音聞こえたもんね」
「下に行けなくない? どうするの?」
ナナが早口で尋ねると、ルルは視線を泳がしながら考え始めた。
この場合、どうするのが正解なのだろう。
先に上の階を見に行くか? いや、それはダメだ。もし魔法使いさんが二階に上がって来れば逃げ場が無くなってしまう。
じゃあこのまま地下へと向かうか? それこそダメだ。魔法使いさんと対面しても、魔女さんを盾にされたりなんかしたら、私たちまでも捕まってしまう。
じゃあこのまま一階にとどまる? この選択肢は上の二つに比べると良いかもしれない。だが、魔法使いさんが地下から戻って来なかった場合、時間が掛かりすぎてしまう。
だとしたらどうすれば良い。そう考えを巡らせていたルルは、手に持っているリンゴの存在に気が付いた。
「あ、分かった! リンゴと袋を使えば上手く行くかも!」
そう言ったルルの表情は、イタズラっ子そのものだった。
以前に訪れた時と同じ外観にも関わらず、その雰囲気が異様に感じるのは昨日の出来事があったからだろう。そんな雰囲気を醸し出している魔法使いさんの家の前には、腹を括ったかのような顔つきをした双子の姉妹が居た。
「ついに着たね」
ルルはそう呟くと、画面が光ったままのスマートフォンをズボンのポケットへとしまい込んだ。
「そうだね、早く魔女さんを助けに行こ」
ナナがルルの顔を見ながら言うと、二人は同時に頷いた。
魔法使いさんの家の扉へゆっくりと近づいて行く――そこで、ナナがいきなり足を止めた。
「え、どうしたの?」
手を繋いでいるので、急に立ち止まったナナにつられてルルも歩みを止めた。
「お姉ちゃん、ドアから入っていくつもり?」
「う、うん。そうだけど」
「いやダメでしょ……」
「え、どうして?」
キョトンとした顔でルルが首を傾げているが、何でそんな顔が出来るのかナナには不思議でしょうがなかった。
「だってナナたちが家に来たってことは魔女さんを助けに来たって言ってるようなもんでしょ? ナナたちが魔女さんと仲良しなこと知ってる訳だし」
「た、たしかにそうかも……」
やっと玄関から入れない理由に気付いたルルは、「うーん」と頭を悩ませ始めた。
「どうやって魔法使いさんの家に入ろう……」
玄関の扉から入れないとなると、どうやって家の中に入れば良いのだろう。だがここで頭をフル回転させても、分かることなんて限られている。
そう思ったルルは、ナナへと向き直った。
「よし、魔法使いさんの家の周りを見て回ろう」
「家の周り?」
「そう! 家の中に入るヒントがあるかもしれないよ!」
「そんな簡単にみつかるかなぁ」
「大丈夫だよ! というか、それしか方法は無いと思う」
苦笑いを見せるルルに、ナナは渋々だが頷いた。
「まあそうだね、それしかないかも」
ナナの答えに満足そうな表情を見せたルルは頬をほころばせ、魔法使いさんの家の方へとナナの手を引きながら向かった。
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結論から言うと、魔法使いさんの家へと入る方法が簡単に見つかった。裏口の鍵が空いていたのだ。
「簡単に開いちゃったね」
裏口の扉を片手で開けていているルルが、小さな声で呟いた。
「うん、そんなことより早く入っちゃお? 魔法使いさんに見つかると大変だよ」
「それもそうだね、中に入っちゃおうか」
二人は顔を合わせて頷くと、土足で家の中へと踏み入れた。
ガサガサ、ガサガサと音がする。急いで足を止めると、その音はピタリと止んだ。
「何の音?」
囁くように尋ねたルル。するとナナは、手に持っていたビニール袋を不満げな顔の近くまで持ち上げた。
「これだよ。このビニール袋がうるさい」
音の正体はすぐに分かった。八百屋のおばちゃんから貰ったビニール袋だ。歩く度にビニール袋の中に入ったリンゴが重りとなり、音を立てていたらしい。
「この袋どうしよう……」
ルルが困ったように眉を八の字にして言った。
「置いていくのもちょっとね……」
ナナも困ったように、手に持ったビニール袋を見て首を傾げている。
せっかくおばちゃんから貰ったリンゴを置いていくのは気が引ける。だからと言って、ビニール袋を持って歩くのは危険すぎる。
どうしたものかと姉妹が頭を捻っていると。
ゴト、ゴト……と何者かが階段をゆっくりと降りてくる足音が聞こえた。
「どうしようどうしよう……きっとこれ魔法使いさんの足音だよ……」
家で聞くような魔女さんの足音ではないことに、ルルは慌てた表情で言った。
そこでナナがはっと顔を上げる。
「この袋を置いて、リンゴだけ持ってけば良いんだよ」
「それだ!」
小さな声でヒソヒソと作戦会議を終えると、ナナは袋の中からリンゴを二つ取り出した。その際にもガサガサと音がなってしまったが、今回はしょうがないだろう。
「このリンゴはどうする?」
ナナが両手にリンゴを持ち、用が無くなった袋は床へと落とした。
「うーん、ひとつずつ持とうか」
「そうだね、そうしよう」
ルルがそう提案をすると、ナナからリンゴをひとつ受け取った。
そんなやり取りをしている間も、階段を歩く音は近づいて来る。
「どうしよう……どこかに隠れないと……」
辺りを見回してみると、ここは普通のキッチンのようだ。どこかに隠れるところは……と辺りを見回してみるも、そのような場所は無いようだ。
焦りで心臓がバクバクと音を立てる。
どうしようどうしよう……。
ルルとナナは辺りをキョロキョロとしているが、未だに良い考えは思い浮かばない。
「こうなったら一旦外に出る?」
「……それが一番良いかも……」
ナナが短く返事をしたその時、階段を歩く音がどんどんと遠くなっていく。
その足音は、床の下へと消えて行くようにも聞こえる。
「え……これってどういう……」
「地下があるの……?」
魔法使いさんの家が二階建てなのは知っていたが、まさか地下にも階段が続いているのだろうか。でも魔法使いさんの足音が遠ざかっていくのも事実。
次第にその音も段々と聞こえなくなり、姉妹はひとときの緊張から解かれて安堵のため息を零した。
「とりあえずどうにかなったね……」
ルルの言葉にナナは小さく頷いた。
「うん……でも、地下室があったなんて」
「前はそんなこと言ってなかったよね?」
「言ってなかった……」
以前、魔法使いさんの家に訪れた時に「お家広いね!」とルルが言うと、魔法使いさんは「昔ながらの二階建てじゃからな」とだけ言っていた。
そのことを思い出しながら、ルルが口を開く。
「もしかしたら地下に何かあるのかもね」
「うん、それはナナも思った。怪しすぎるもん」
二人はそう言うと顔を合わせて頷いた。
「地下室に行く価値はあるよね。っていうか、ほぼ確実に魔女さんは地下に居る」
ルルが囁き声ながらも気合いの入った口調を放った。
「だね……でも、下に魔法使いさん居るよね?」
「うん、足音聞こえたもんね」
「下に行けなくない? どうするの?」
ナナが早口で尋ねると、ルルは視線を泳がしながら考え始めた。
この場合、どうするのが正解なのだろう。
先に上の階を見に行くか? いや、それはダメだ。もし魔法使いさんが二階に上がって来れば逃げ場が無くなってしまう。
じゃあこのまま地下へと向かうか? それこそダメだ。魔法使いさんと対面しても、魔女さんを盾にされたりなんかしたら、私たちまでも捕まってしまう。
じゃあこのまま一階にとどまる? この選択肢は上の二つに比べると良いかもしれない。だが、魔法使いさんが地下から戻って来なかった場合、時間が掛かりすぎてしまう。
だとしたらどうすれば良い。そう考えを巡らせていたルルは、手に持っているリンゴの存在に気が付いた。
「あ、分かった! リンゴと袋を使えば上手く行くかも!」
そう言ったルルの表情は、イタズラっ子そのものだった。
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