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第一章 魔女さんとの不思議な日々
魔女さんの願い
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「魔女さんって本当は目が見えるの? さっきも私たちが布団から出てるの分かったよね?」
これは聞いてもいい事なのだろうか。
そう口にしてから思ったルルだったが、魔女さんは優しく笑ってくれた。
「子供はよく見てるわね」
魔女さんは「うふふ」と上品に笑ってルルの髪を撫で、言葉を選ぶようにして喋り出す。
「目は本当に見えないの……でもその代わり周りにある物が『エネルギー』として見えるのよ」
「エネルギー?」「なにそれぇ」
「うーん、見え方はサーモグラフィーが近いのだけど……分からないわよね……?」
「サーモン?」「分からなーい」
やはり幼い子に教えるのは難しいと、魔女さんが頭を悩ませていると。
「まほーってこと?」
ナナが眠そうな声で尋ねた。
「そうね、これも魔法よ」
それを聞いた姉妹は納得したように「へえー!」と声を上げた。
「魔法ってすごいんだね!」「ナナももっとまほー勉強するー」
二人の楽しそうな声に、魔女さんは嬉しそうに微笑んでいる。だが、姉妹からの質問攻めはこれで終わらなかった。
「魔女さんから私たちはどうやって見えてるのー? サーモン?」
ルルが魔女さんの袖を引っ張りながら尋ねる。サーモグラフィーが一番近い見え方だけれど、幼い二人には伝わらないようだ。
「サーモンには見えてないから安心して? でもそうねぇ、光って言えば伝わるかしら」
「私たちが光って見えてるのー?」「ピカピカだ」
「うーん、そこまで光って無いのだけれど……まあ、それが近いかもしれないわね」
その答えに、今度はナナが魔女さんの服を引っ張って尋ねる。
「食べ物も壁も光って見えるのー?」
「そうよー、この世にある全てがそんな風に見えてるわ」
しかしナナはこれだけの回答では満足しないらしく、「じゃあさじゃあさ」と急かすように疑問を投げかける。
「食べ物じゃないものを間違って食べたりしないのー?」
ナナの質問は的確だ。要するに、物をどうやって見分けているのだと言う質問なのだろう。
この歳でそこまでの想像力があるなんて……。
魔法の練習中にも思ったが、この姉妹は本当に天才の素質があるのかもしれない。
「それはしないわ。この世のエネルギーには全てに色があるの」
「色~?」
「そうよ。例えばそこのストーブは銀色で中の火は赤、壁は白、布団は灰色に近い白……という感じで見えているから見間違えることはないわ」
魔女さんが言うことの解釈が出来た姉妹は「すごーい!」と興奮しだした。
「ねえねえ! じゃあ私とナナはどうやって見えてるの?」
「ナナもそれ知りたーい」
ルルもナナも、さっきまでの眠気はどこへ消えてしまったのだろうか。
今は全く眠る気配もなく、魔女さんへの興味が尽きずに質問を繰り返す。
「ルルはねぇ、黄緑色かな? エメラルド色と言うのが適切かもしれないわね」
「エメラルド! すごく綺麗な石だよね!」
「そうよ~、とても綺麗にみえるわ」
「やったー!」
自分が汚い色ではなく、綺麗な宝石の色で良かったと喜ぶルル。
「ナナの色は~?」
「ナナはねぇ、同じエメラルド色でもルルより色が濃いわね」
「黄緑色じゃなくて、緑色?」
「そうね、緑の方が近いわ」
「わー、ナナもお姉ちゃんと一緒のエメラルドだぁ」
ナナも嬉しそうに、布団の上で体をゴロゴロと回し始めた。こうなってしまうと、直ぐには眠ってくれないかもしれない。
ルルとナナの興味は無限大だ。恐らく、両親が何も教えてくれなかったのだろう。
二人とも魔女さんの家で過ごし始めた当初は、何も質問をしたりせず、まだ幼いというのにワガママも言わない子供だった。そんな光景を見ていると、両親からどんな仕打ちを受けていたのか容易に想像が着くというものだ。
だが質問をしたりワガママを言っても怒らない魔女さんに、ルルとナナはことあるごとに質問を投げかけるようになった。
魔女さんは、嬉しいような大変なような……複雑な気持ちでいる。
「ほらほら、今日はもう寝なさい? 早く寝ないとお寝坊して明日の朝ごはんに間に合わなくなっちゃうわよ?」
「やだー! 寝るー!」「ナナも朝ごはん食べたいから寝るー」
「二人ともいい子ね、ほらおいで、皆でくっついて寝ましょう」
「うん! 魔女さん温かくなってきた~」
「魔女さん温か~い」
魔女さんはもう一度ルルとナナを強く抱き寄せる。ストーブの火が、部屋を眠たくなる暖かさに染め上げる。それに伴い冷えていた魔女さんの体温も段々と上がって、今では落ち着くような人肌の温度をまとっていた。
「うふふ、二人とも本当に可愛いわね。一回でいいからお顔を見てみたいものだわ」
何気ない魔女さんの一言に、姉妹は口を丸くした。
「そっか、魔女さん私たちの顔みたこと無いんだ」
「そうなの、二人がどんな顔をしているのか分からないけれど、双子というのなら似ているのでしょうね」
「うん! 私とナナはすごく似てるらしいよ!」
魔女さんとルルが会話をする横で、ナナは指を咥えながら二人の会話を聞いている。
「そうなのね、それを聞いて余計に見てみたくなっちゃった」
少しだけ悲しい声をしていた。
魔女さんの悲しそうな声色を聞くのは初めてだった姉妹は、思わず口を閉じる。
部屋の中には、メラメラと燃える火の音だけが響く。
姉妹を寝かしつけるように、魔女さんはゆっくりと二人の頭を撫でている。
そんな時間が続き魔女さんが「おやすみ」と言おうとした時、ルルが勢いよく身を起こした。
「あら、おトイレかしら?」
魔女さんがルルの方に顔を向けて首を傾げるが、ルルは首をブンブンと横に振った。
「私たちが魔女さんの目を治してあげる!」
嬉々とした表情で言い放つルル。魔女さんは口をポカンと開けている。
「それは難しいと思うけど……楽しみに待ってるわね」
口元をニコッとさせて言った魔女さん。恐らく、その言葉だけでも嬉しいと言うことなのだろう。
何だか少しだけ馬鹿にされた気がしたルルは、大きく頬を膨らませた。
「本当だもん! 絶対に魔女さんの目を治すよ!」
「ありがとうね。すごく嬉しいわ。でも今日は寝なさい? 本当に朝ごはんの時間に起きられなくなっちゃうわよ?」
魔女さんの横では、既にナナが寝息を立て始めていた。それに気が付いたルルは「本当だもん」と小さな声で呟き、拗ねるように魔女さんへと抱き着くようにして布団に潜った。
少し経つと寝息を立て始めたルル。
姉妹が寝たのを確認すると、魔女さんはそっと寝室を後にした。
これは聞いてもいい事なのだろうか。
そう口にしてから思ったルルだったが、魔女さんは優しく笑ってくれた。
「子供はよく見てるわね」
魔女さんは「うふふ」と上品に笑ってルルの髪を撫で、言葉を選ぶようにして喋り出す。
「目は本当に見えないの……でもその代わり周りにある物が『エネルギー』として見えるのよ」
「エネルギー?」「なにそれぇ」
「うーん、見え方はサーモグラフィーが近いのだけど……分からないわよね……?」
「サーモン?」「分からなーい」
やはり幼い子に教えるのは難しいと、魔女さんが頭を悩ませていると。
「まほーってこと?」
ナナが眠そうな声で尋ねた。
「そうね、これも魔法よ」
それを聞いた姉妹は納得したように「へえー!」と声を上げた。
「魔法ってすごいんだね!」「ナナももっとまほー勉強するー」
二人の楽しそうな声に、魔女さんは嬉しそうに微笑んでいる。だが、姉妹からの質問攻めはこれで終わらなかった。
「魔女さんから私たちはどうやって見えてるのー? サーモン?」
ルルが魔女さんの袖を引っ張りながら尋ねる。サーモグラフィーが一番近い見え方だけれど、幼い二人には伝わらないようだ。
「サーモンには見えてないから安心して? でもそうねぇ、光って言えば伝わるかしら」
「私たちが光って見えてるのー?」「ピカピカだ」
「うーん、そこまで光って無いのだけれど……まあ、それが近いかもしれないわね」
その答えに、今度はナナが魔女さんの服を引っ張って尋ねる。
「食べ物も壁も光って見えるのー?」
「そうよー、この世にある全てがそんな風に見えてるわ」
しかしナナはこれだけの回答では満足しないらしく、「じゃあさじゃあさ」と急かすように疑問を投げかける。
「食べ物じゃないものを間違って食べたりしないのー?」
ナナの質問は的確だ。要するに、物をどうやって見分けているのだと言う質問なのだろう。
この歳でそこまでの想像力があるなんて……。
魔法の練習中にも思ったが、この姉妹は本当に天才の素質があるのかもしれない。
「それはしないわ。この世のエネルギーには全てに色があるの」
「色~?」
「そうよ。例えばそこのストーブは銀色で中の火は赤、壁は白、布団は灰色に近い白……という感じで見えているから見間違えることはないわ」
魔女さんが言うことの解釈が出来た姉妹は「すごーい!」と興奮しだした。
「ねえねえ! じゃあ私とナナはどうやって見えてるの?」
「ナナもそれ知りたーい」
ルルもナナも、さっきまでの眠気はどこへ消えてしまったのだろうか。
今は全く眠る気配もなく、魔女さんへの興味が尽きずに質問を繰り返す。
「ルルはねぇ、黄緑色かな? エメラルド色と言うのが適切かもしれないわね」
「エメラルド! すごく綺麗な石だよね!」
「そうよ~、とても綺麗にみえるわ」
「やったー!」
自分が汚い色ではなく、綺麗な宝石の色で良かったと喜ぶルル。
「ナナの色は~?」
「ナナはねぇ、同じエメラルド色でもルルより色が濃いわね」
「黄緑色じゃなくて、緑色?」
「そうね、緑の方が近いわ」
「わー、ナナもお姉ちゃんと一緒のエメラルドだぁ」
ナナも嬉しそうに、布団の上で体をゴロゴロと回し始めた。こうなってしまうと、直ぐには眠ってくれないかもしれない。
ルルとナナの興味は無限大だ。恐らく、両親が何も教えてくれなかったのだろう。
二人とも魔女さんの家で過ごし始めた当初は、何も質問をしたりせず、まだ幼いというのにワガママも言わない子供だった。そんな光景を見ていると、両親からどんな仕打ちを受けていたのか容易に想像が着くというものだ。
だが質問をしたりワガママを言っても怒らない魔女さんに、ルルとナナはことあるごとに質問を投げかけるようになった。
魔女さんは、嬉しいような大変なような……複雑な気持ちでいる。
「ほらほら、今日はもう寝なさい? 早く寝ないとお寝坊して明日の朝ごはんに間に合わなくなっちゃうわよ?」
「やだー! 寝るー!」「ナナも朝ごはん食べたいから寝るー」
「二人ともいい子ね、ほらおいで、皆でくっついて寝ましょう」
「うん! 魔女さん温かくなってきた~」
「魔女さん温か~い」
魔女さんはもう一度ルルとナナを強く抱き寄せる。ストーブの火が、部屋を眠たくなる暖かさに染め上げる。それに伴い冷えていた魔女さんの体温も段々と上がって、今では落ち着くような人肌の温度をまとっていた。
「うふふ、二人とも本当に可愛いわね。一回でいいからお顔を見てみたいものだわ」
何気ない魔女さんの一言に、姉妹は口を丸くした。
「そっか、魔女さん私たちの顔みたこと無いんだ」
「そうなの、二人がどんな顔をしているのか分からないけれど、双子というのなら似ているのでしょうね」
「うん! 私とナナはすごく似てるらしいよ!」
魔女さんとルルが会話をする横で、ナナは指を咥えながら二人の会話を聞いている。
「そうなのね、それを聞いて余計に見てみたくなっちゃった」
少しだけ悲しい声をしていた。
魔女さんの悲しそうな声色を聞くのは初めてだった姉妹は、思わず口を閉じる。
部屋の中には、メラメラと燃える火の音だけが響く。
姉妹を寝かしつけるように、魔女さんはゆっくりと二人の頭を撫でている。
そんな時間が続き魔女さんが「おやすみ」と言おうとした時、ルルが勢いよく身を起こした。
「あら、おトイレかしら?」
魔女さんがルルの方に顔を向けて首を傾げるが、ルルは首をブンブンと横に振った。
「私たちが魔女さんの目を治してあげる!」
嬉々とした表情で言い放つルル。魔女さんは口をポカンと開けている。
「それは難しいと思うけど……楽しみに待ってるわね」
口元をニコッとさせて言った魔女さん。恐らく、その言葉だけでも嬉しいと言うことなのだろう。
何だか少しだけ馬鹿にされた気がしたルルは、大きく頬を膨らませた。
「本当だもん! 絶対に魔女さんの目を治すよ!」
「ありがとうね。すごく嬉しいわ。でも今日は寝なさい? 本当に朝ごはんの時間に起きられなくなっちゃうわよ?」
魔女さんの横では、既にナナが寝息を立て始めていた。それに気が付いたルルは「本当だもん」と小さな声で呟き、拗ねるように魔女さんへと抱き着くようにして布団に潜った。
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