楽園 Lの物語

ブーケ

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ー鍼師ー

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繁華街から西に三本入った細い通りには、レンガ造りの小さな住居が、隙間無く並んでいた。

その中では少し大きい建物の前で、画家は立ち止まり、ポケットから紙片を取り出した。

「私の薬草よりも、古傷には効くと思うんだ。でも、針を刺すんだよ。頭の天辺から足の先まで、どこになるかは分からない」

少し気の毒そうに言って、公爵が渡してくれたものだった。

それと同じ模様の様な文字が、板に書かれて張り付けてある。

懐に紙を収めて扉を叩くと、ぶっきらぼうな返事があった。

「開いてる。入るといい」

「こんにちは。私は公爵から紹介して頂いた......」

立ち上がって振り向いた姿を見、画家の動きが止まった。

つり上がった目と、小さな体に見覚えがあったのだ。

公爵邸の階段で、一度擦れ違った男だった。

その先の部屋には、公爵夫人を侍女しかいない時だったのだ。

男も覚えていたらしく、目に力が籠った。

「扉を閉める。そこに座って」

画家は言われるがまま、素っ気ない木の椅子に腰掛けた。

「私が何人も治すのを見て、公爵はご自身でお試しになった。そして勧められた夫人は、静かに受け入れたのだ」

鍼師は言葉を切って、画家の目を見た。

「貴い身分で、勇気のいることだ」

画家は穏やかに返した。

「私は奉公に出された木工屋で、公爵に見出だされ、画家の弟子にして頂きました」

鍼師と同じ分量の熱を、眼差しに込める。

「初めまして」

鍼師の視線から圧力が消えた。


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模様の様な文字は店名で、鍼師のモットーでもあり、部屋のあちらこちらにデザインされています。









プチマット


材料

26cm四方の布(表布、裏布) 各1枚

3.6cm幅の布(縁取り)(バイアステープだと楽です) 106cm

幅3cm内径18.5cmのリング状の布 1枚

円形の布 直径20cmの布(円部分、文字部分) 各1枚  直径1.5cm 1枚  直径1cm 4枚

同色のミシン糸


道具

ミシン

裁縫道具一式


1ー表布と円形の布の中心を合わせ、円形の布の端の内側5㎜の所をミシンで縫い合わせる。

2ーリング状の布の両端に、5㎜間隔で3㎜の切り込みを入れ、端5㎜を下側に折り(アイロン推奨)円形の布に合わせて置く。

3ーリング状の布の両端1㎜の所をミシンで縫い合わせる。

4ー文字分の布を文字形に切り抜いて、円に合わせて置き、文字の端1㎜の所をミシンで縫い合わせる。

5ー1.5cmの布と、1cmの布を夫々に配置し、夫々の中心部をギザギザにミシンで縫い合わせる。

6ー文字の布を少し大きめに、赤い糸で縁取る(ミシンの都合で薄いですが、もっとしっかりと縁取る方が、良さそうです)。

7ー表布と裏布を合わせて、縁から5㎜の所を縫い合わせる。

8ー縁取りの布の両端を幅8㎜で内側に折り、更に左右同じ幅に折る(アイロンで折り癖をつけることを推奨。私は手を抜いたので、仕上がりが良くないです)。

9ー縁取りの布で四方を囲み、内側の縁から1㎜の所を縫う。


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