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第6章 新しい物語
魂の邂逅・3
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丘の上には一本の大きな樹が立っていた。深緑の葉を彩るようにして、小さな白い花が枝いっぱいに咲いている。風に乗って、その花の甘い香りがした。
作られた平穏な空間。ここだけ時が止まっている。丘の上から見渡せる景色は、前も後ろも永遠に続く若草色の草原だけ。風に揺れて光の漣を泳がせる緑の海を一望して、カインは再び視線を自分の立つ丘の上へと引き戻す。
そこにはカイン以外、誰もいないような気がした。
「……まだ、痛い?」
樹の向こう側で白いスカートが揺れていた。風になびく金髪は陽光を浴びて淡く輝き、カインの瞳に夢のような残像を残していく。
甘い香りと共に花が舞った。あの時砕け散った羽根のように、白い花弁はカインの前から乙女の姿をかき消そうとする。それを拒んで、カインが一歩前に足を踏み出した。
刹那。
花弁の幻影に消え去ろうとしていた乙女が、ゆっくりとカインの方を振り返った。
「……っ」
忘れるはずのない顔だった。カインがずっと会いたいと願っていた乙女だった。二度と会う事の出来ない絶望の中で、奇跡的にめぐり合った二つの魂。言葉などは役に立たず、カインはただ切なげに目の前の奇跡を見つめるしか出来なかった。
「……――――ル」
唇から音として漏れない声は、けれど確かにシェリルの耳に届いていた。今にも泣きそうなカインとは対照的に、シェリルは優しい微笑みを浮かべたままゆっくりとカインの側に歩み寄る。一歩一歩、心の距離を縮めるように、離れてしまった互いの魂を引き戻すように、シェリルはカインのすぐ目の前まで近付いて足を止めた。互いの瞳に相手しか映せないほど近い距離で、シェリルは淡く微笑んだままカインの胸に手を当てる。
止まっていた時が、一気に動き始めた。
「カインのここ……まだ、痛い?」
胸に置かれた手を上からぎゅっと握りしめて、カインが緩く首を横に振る。伝えたい事はたくさんあるのに、言葉が何も出てこない。歯痒さをかみ締めながら、カインは握りしめたシェリルの手を自分の頬に当ててそっと目を伏せた。
頬にシェリルの熱を感じる。心にシェリルの指先を感じる。いつもカインと共に在り、肉体を失ってもなお側に在り続けたシェリルの魂。
静かに息を吸い込んで、カインは愛しい名前を口にした。
「…………シェリルっ」
その音を受け取って、シェリルがふわりと微笑んだ。
「私、ずっとここにいたの。カインのもうひとつの心の中」
「……ああ」
小さく頷いて、カインがそのままシェリルの体を両腕に強く抱き締めた。記憶の中から失われつつあったシェリルの温もり、それを直に感じてカインは深く息を吸い込んだ。
シェリルの熱も匂いも、抱き締めただけで甦る。名を呼べば返事をし、触れればはにかんだように笑う。現実ではないと理解してはいたが、夢と呼ぶにはあまりにもリアルで、カインは失った熱を取り戻すかのようにシェリルの体を強く抱かずにはいられなかった。
「……ずっとお前を感じていた」
切ない声で囁いて、カインがシェリルの髪に頬を寄せた。応えるようにカインの背中へ手を回し、シェリルは全身で彼の熱を受け止める。
永遠にも似た長い時を、ずっと離れて生きてきたような気がした。けれど今この瞬間に心と心が、体と体、魂と魂が触れ合い重なり合った事をシェリルはカインの熱から実感する。瞼の奥が、じんと熱くなるのを感じた。
「カインの苦しみを全部受け止めてあげたかった。弱いと嘆くカインも私にとっては全部貴方だもの。……嫌いになんてなれないわ」
「……シェリル」
「一緒に旅をしたカインも、ここにいる貴方も、闇に捕われて泣いていたルシエルも、皆愛しいわ。……私、カインが大好きだもの」
カインの腕に抱かれたまま、シェリルが顔を上げて温かく笑う。その笑顔を壊さないように、カインは左手でそっとシェリルの頬を包み込んだ。
「ねぇ、カイン。孤独や悲しみは消えた? 私がここにいる意味は無駄じゃない?」
頬を包むカインの手に自分の手を重ねて、シェリルが少し不安げに問い掛ける。運命に翻弄され無惨な死を迎えてもなお、気にかかるのはひとり残したカインの事。その気持ちが痛いほど伝わって、カインは切なげに目を細めてシェリルを見つめ返した。
「……足りない」
短く言って、カインが緩く首を振る。
「お前の熱を感じるには、まだまだ足りない。……気が狂いそうだ」
「カイン……」
「あんな苦しみは二度とごめんだ。俺はお前のいない現実に戻る気などない」
きっぱりと言い切って、カインはシェリルの返事を遮るように抱き締める腕に力を込めた。再度カインの胸に頬を埋める形となったシェリルが、そのままの姿勢で何度も首を左右に振る。小さな肩が小刻みに揺れていた。
「俺の孤独はお前のそばでしか癒えない」
「……そんなの、駄目。私……だって私、もうここから動けないもの。カインまで道連れにしたくない」
震える声音で、シェリルが泣いているのが分かった。今の言葉を生きている時に聞けたらどんなによかっただろう。カインはシェリルを必要としてくれた。シェリルも同じように彼を求め愛しているのに、それを口にする事は出来ないのだ。
なぜなら、自分は既に死んでいるから。カインはただこの世界に彷徨い落ちただけ。カインだけが元の世界へ戻る事が出来る。シェリルは彷徨うカインを見つけ、元の世界へ送り出す事しか出来ない。帰っていくカインを、ここにひとり残って見送るしか出来ないのだ。
「カインはまだ戻れるわ。戻って……カインとして生きて。それが私の願いよ」
「……――――本当は?」
シェリルの耳元に口を寄せて、カインが小さな声で囁いた。その声にシェリルの体がびくんと震える。心の奥を見透かされたようだった。
「本当は何を望んでいる?」
優しく問われ、シェリルの中でそれまで必死にせき止めていた思いが激流のように溢れ出す。閉じた瞳からぼろぼろと大粒の涙が零れ落ちていった。
「わっ……私、このまま死にたく、ない。生きて……本当は生きて、カインと一緒にっ。でも私は死んでここにいて……っ」
「シェリル」
ふいに腕の力を緩め、カインがシェリルの頬をもう一度包み込んだ。頬を伝う涙を指で拭い取って、シェリルを見つめたまま淡く微笑みを零す。
「俺がここに迷い込んだ理由が、今やっと分かった」
記憶の断片を手繰り寄せ、脳裏に浮かんだ灰青の少年に、カインは心から感謝した。カインを魔剣へと導いた少年ディラン。彼はシェリルがここにいる事を知っていたのだ。そして魔剣と己の孤独を取り込み、そこにいたシェリルと再会したカインがやるべき事はただひとつ。
「お前を連れて帰る」
迷いのない強い声音で告げられた言葉に、シェリルは一瞬息を止めた。
「お前はまだ死んでなんかいない。ずっと俺の心の中にいた」
「そんな……。でもカイン、私……」
「お前は戻りたいか?」
言葉を遮られ、真剣な声で問われた。真っ直ぐに向けられた淡いブルーの瞳の前では、嘘や躊躇いは何の意味も持たない。
魅入られたようにカインをじっと見上げていたシェリルの瞳が、また熱い涙でぐにゃりと歪む。どうしたいのか、答えはとっくに出ていた。けれどそれを簡単には許さない現実が、シェリルの思いを押し潰している。
いろんな感情が激しく入り乱れる中、シェリルがやっと導き出した答えはとてもシンプルなものだった。翡翠色の瞳いっぱいに涙を溜めながら、シェリルは自分の思いを素直に受け止めるようにゆっくりと頷いた。
「それだけで十分だ」
優しい声音でカインがそう言うのと二人の唇が重なり合ったのは、ほとんど同時だった。
眩しい陽光と爽やかな風。穏やかに時が流れる緑の丘の上。
奇跡に導かれ出会った白と黒の影は、舞い散る花弁に埋もれていつまでも重なり合っていた。
作られた平穏な空間。ここだけ時が止まっている。丘の上から見渡せる景色は、前も後ろも永遠に続く若草色の草原だけ。風に揺れて光の漣を泳がせる緑の海を一望して、カインは再び視線を自分の立つ丘の上へと引き戻す。
そこにはカイン以外、誰もいないような気がした。
「……まだ、痛い?」
樹の向こう側で白いスカートが揺れていた。風になびく金髪は陽光を浴びて淡く輝き、カインの瞳に夢のような残像を残していく。
甘い香りと共に花が舞った。あの時砕け散った羽根のように、白い花弁はカインの前から乙女の姿をかき消そうとする。それを拒んで、カインが一歩前に足を踏み出した。
刹那。
花弁の幻影に消え去ろうとしていた乙女が、ゆっくりとカインの方を振り返った。
「……っ」
忘れるはずのない顔だった。カインがずっと会いたいと願っていた乙女だった。二度と会う事の出来ない絶望の中で、奇跡的にめぐり合った二つの魂。言葉などは役に立たず、カインはただ切なげに目の前の奇跡を見つめるしか出来なかった。
「……――――ル」
唇から音として漏れない声は、けれど確かにシェリルの耳に届いていた。今にも泣きそうなカインとは対照的に、シェリルは優しい微笑みを浮かべたままゆっくりとカインの側に歩み寄る。一歩一歩、心の距離を縮めるように、離れてしまった互いの魂を引き戻すように、シェリルはカインのすぐ目の前まで近付いて足を止めた。互いの瞳に相手しか映せないほど近い距離で、シェリルは淡く微笑んだままカインの胸に手を当てる。
止まっていた時が、一気に動き始めた。
「カインのここ……まだ、痛い?」
胸に置かれた手を上からぎゅっと握りしめて、カインが緩く首を横に振る。伝えたい事はたくさんあるのに、言葉が何も出てこない。歯痒さをかみ締めながら、カインは握りしめたシェリルの手を自分の頬に当ててそっと目を伏せた。
頬にシェリルの熱を感じる。心にシェリルの指先を感じる。いつもカインと共に在り、肉体を失ってもなお側に在り続けたシェリルの魂。
静かに息を吸い込んで、カインは愛しい名前を口にした。
「…………シェリルっ」
その音を受け取って、シェリルがふわりと微笑んだ。
「私、ずっとここにいたの。カインのもうひとつの心の中」
「……ああ」
小さく頷いて、カインがそのままシェリルの体を両腕に強く抱き締めた。記憶の中から失われつつあったシェリルの温もり、それを直に感じてカインは深く息を吸い込んだ。
シェリルの熱も匂いも、抱き締めただけで甦る。名を呼べば返事をし、触れればはにかんだように笑う。現実ではないと理解してはいたが、夢と呼ぶにはあまりにもリアルで、カインは失った熱を取り戻すかのようにシェリルの体を強く抱かずにはいられなかった。
「……ずっとお前を感じていた」
切ない声で囁いて、カインがシェリルの髪に頬を寄せた。応えるようにカインの背中へ手を回し、シェリルは全身で彼の熱を受け止める。
永遠にも似た長い時を、ずっと離れて生きてきたような気がした。けれど今この瞬間に心と心が、体と体、魂と魂が触れ合い重なり合った事をシェリルはカインの熱から実感する。瞼の奥が、じんと熱くなるのを感じた。
「カインの苦しみを全部受け止めてあげたかった。弱いと嘆くカインも私にとっては全部貴方だもの。……嫌いになんてなれないわ」
「……シェリル」
「一緒に旅をしたカインも、ここにいる貴方も、闇に捕われて泣いていたルシエルも、皆愛しいわ。……私、カインが大好きだもの」
カインの腕に抱かれたまま、シェリルが顔を上げて温かく笑う。その笑顔を壊さないように、カインは左手でそっとシェリルの頬を包み込んだ。
「ねぇ、カイン。孤独や悲しみは消えた? 私がここにいる意味は無駄じゃない?」
頬を包むカインの手に自分の手を重ねて、シェリルが少し不安げに問い掛ける。運命に翻弄され無惨な死を迎えてもなお、気にかかるのはひとり残したカインの事。その気持ちが痛いほど伝わって、カインは切なげに目を細めてシェリルを見つめ返した。
「……足りない」
短く言って、カインが緩く首を振る。
「お前の熱を感じるには、まだまだ足りない。……気が狂いそうだ」
「カイン……」
「あんな苦しみは二度とごめんだ。俺はお前のいない現実に戻る気などない」
きっぱりと言い切って、カインはシェリルの返事を遮るように抱き締める腕に力を込めた。再度カインの胸に頬を埋める形となったシェリルが、そのままの姿勢で何度も首を左右に振る。小さな肩が小刻みに揺れていた。
「俺の孤独はお前のそばでしか癒えない」
「……そんなの、駄目。私……だって私、もうここから動けないもの。カインまで道連れにしたくない」
震える声音で、シェリルが泣いているのが分かった。今の言葉を生きている時に聞けたらどんなによかっただろう。カインはシェリルを必要としてくれた。シェリルも同じように彼を求め愛しているのに、それを口にする事は出来ないのだ。
なぜなら、自分は既に死んでいるから。カインはただこの世界に彷徨い落ちただけ。カインだけが元の世界へ戻る事が出来る。シェリルは彷徨うカインを見つけ、元の世界へ送り出す事しか出来ない。帰っていくカインを、ここにひとり残って見送るしか出来ないのだ。
「カインはまだ戻れるわ。戻って……カインとして生きて。それが私の願いよ」
「……――――本当は?」
シェリルの耳元に口を寄せて、カインが小さな声で囁いた。その声にシェリルの体がびくんと震える。心の奥を見透かされたようだった。
「本当は何を望んでいる?」
優しく問われ、シェリルの中でそれまで必死にせき止めていた思いが激流のように溢れ出す。閉じた瞳からぼろぼろと大粒の涙が零れ落ちていった。
「わっ……私、このまま死にたく、ない。生きて……本当は生きて、カインと一緒にっ。でも私は死んでここにいて……っ」
「シェリル」
ふいに腕の力を緩め、カインがシェリルの頬をもう一度包み込んだ。頬を伝う涙を指で拭い取って、シェリルを見つめたまま淡く微笑みを零す。
「俺がここに迷い込んだ理由が、今やっと分かった」
記憶の断片を手繰り寄せ、脳裏に浮かんだ灰青の少年に、カインは心から感謝した。カインを魔剣へと導いた少年ディラン。彼はシェリルがここにいる事を知っていたのだ。そして魔剣と己の孤独を取り込み、そこにいたシェリルと再会したカインがやるべき事はただひとつ。
「お前を連れて帰る」
迷いのない強い声音で告げられた言葉に、シェリルは一瞬息を止めた。
「お前はまだ死んでなんかいない。ずっと俺の心の中にいた」
「そんな……。でもカイン、私……」
「お前は戻りたいか?」
言葉を遮られ、真剣な声で問われた。真っ直ぐに向けられた淡いブルーの瞳の前では、嘘や躊躇いは何の意味も持たない。
魅入られたようにカインをじっと見上げていたシェリルの瞳が、また熱い涙でぐにゃりと歪む。どうしたいのか、答えはとっくに出ていた。けれどそれを簡単には許さない現実が、シェリルの思いを押し潰している。
いろんな感情が激しく入り乱れる中、シェリルがやっと導き出した答えはとてもシンプルなものだった。翡翠色の瞳いっぱいに涙を溜めながら、シェリルは自分の思いを素直に受け止めるようにゆっくりと頷いた。
「それだけで十分だ」
優しい声音でカインがそう言うのと二人の唇が重なり合ったのは、ほとんど同時だった。
眩しい陽光と爽やかな風。穏やかに時が流れる緑の丘の上。
奇跡に導かれ出会った白と黒の影は、舞い散る花弁に埋もれていつまでも重なり合っていた。
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