好きな子に告白も出来ない男の童貞卒業物語

杉 孝子

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童貞相手でも問題ないですか

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 俺はこんな間近で女性の裸を見たことがなかったが、どうしてか思ったほど興奮しなかった。非現実の世界にトリップしているせいで脳内が現実として受け付けなくなっていたのだろうか。

 彼女は浴槽に行き、お湯を張り始めた。

「お風呂熱い方がいい?ぬるい方がいい?」と俺の方を向き尋ねた。

「ぬるいのがいいよ」

 彼女が部屋へ戻ってきて、床の上に坐った。まだパンティ一枚のカッコのままで聞いてきた。

「何で来たの。車?」

「うん。琵琶湖大橋渡ってきた」

「誰かと一緒?」

「いいや、一人で来た。ここへ入るまで、何回も店の前通ったわ」俺はありのままを話すことにした。

「呼び込みがすごかったでしょう。車の前に飛び出したりして」

「轢きそうになったわ」笑いながら言った後、少し真顔になりながら続けた。

「俺、ここへ来るのも初めてやけど、まだしたことないねん」

 彼女は、えっという顔をして、

「初めてって、童貞ってこと」

「童貞の人って、よく来る?」質問に答えずに質問で返した。

「来ることはあるよ」彼女が言って、立ち上がった。嬢の反応からは、童貞を相手にすることをどう思っているか、はっきりとは読み取れなかった。別段嫌がったような感じでもなかったように思えた。

「服脱ごうか」彼女が籠を持ってきて床に置いた。

「ここに入れて」

 俺は立ち上がり、言われた通り服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になった。

 身長も低いが、少しやせ気味の頼りない体つきが自分でも嫌いだ。

「気いつけてね」バスルームと部屋との段差のところで、彼女が手を差出し握ってくれる。

「ちょっとの間入ってて」と浴槽に入るように促す。

 俺は何も知らないから、言われるままに浴槽へ入った。彼女が手を入れて、湯加減を見る。

「このぐらいでいい?」

「うん、これでいいよ」

 熱い風呂が苦手で、すぐにのぼせてしまう俺には丁度良い湯加減だった。

 彼女はパンティーも脱ぐと、マットなどが置いてある隅に行き、シャワーを浴び始めた。

 ノッコの歌にあるような、トランジスターグラマーだった。背は165cmの俺より10cmぐらい低かったが、バストもヒップも少し大きめで俺好みの大きさだった。

 シャワーを一通り浴びた彼女は、俺の手を取り浴槽から出した。

「滑りやすいから気をつけてね」椅子の前まで連れていかれた俺に

「ここに座って」と促した。

 俺はとうとう始まるなと思いながら、穴の開いた椅子に座った。
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