15 / 137
第15話 「迷わず行けよ、行けばわかるさ」
しおりを挟む
ナリカネは激怒した。
必ずかの邪智暴虐の門番を懲らしめなければならぬと。
門番によって、ギルド内にお荷物男(物理)などという不本意極まりないあだ名が広がった俺は、必ずかの門番を見返すべく今まで以上に必至で依頼をこなしていた。
実際、ゴブリンを倒せるようになった俺たちパーティは少し稼ぎが良くなっていた。
ゴブリンは……というかゴブリンに限らずだが、モンスターと分類される生き物は、人間を見つけたら襲ってくるらしく、討伐証明部位としてギルドで決められている体の一部を持ちかえれば、ギルドから報酬が貰えるのだ。
ゴブリンの場合。右耳一つで銀貨二枚であった。
モンスターによっては、素材の受け取りも行っているらしいのだが、ゴブリンには使える素材はないらしい。
基本的に薬草採取などを受けつつ、現れたゴブリンをナイアに倒してもらうようになり、俺たちの稼ぎは一日で銀貨十枚。日本円で一万円ほどになった。今までのおよそ倍である。
その中から、宿代や食事代を抜いた金額をノワールに貯金し、二十万貯めてスキルを覚えるのを目標に、俺は鬼人と化した。今なら、双剣だって使いこなせそうだ。
そして、今日。
俺が門番を呪った日から七日。
ついに、ノワールに二十万という金額が溜まったのだった。
「……長かったなぁ。ここまで」
「……ええ。本当に」
「ううむ。五百年生きた妾ですらそう思うのじゃ。この一ヶ月は妾の人生の中でも一番長い月じゃった」
三人でしみじみと頷く。
いや、本当に長かったのだ。
でも、俺たちは登り切ったのだ。この果てしなく遠い男坂を……。
閑話休題。
「それではこれより、第一回ノワール強化会議を行う」
「おー!! です!!」
「おー!! なのじゃ!!」
おお。珍しいことにノワールもテンションが高いな。
まぁ、<スキル>としては、俺たち以上に待ち望んだはずだからな。
「じゃあ、ノワール。改めて説明を頼む」
「はい! 私の能力は金額に応じて<スキル>及び<ステータス>を上げることが出来るというものです」
「うむうむ」
「そして、現在二十万という金額が溜まっており、今回の会議はこの貯金額を使って、何を覚えるべきかというものです」
「ほうほう」
「そして、二十万で覚えられるスキルがこちらです!!」
ノワールはそう言うと、手元に不思議な白い板を出し、俺とナイアに見せてくれた。
現在の貯金額で習得可能
<スキル名一覧>
片付け
掃除
清掃
洗濯
皿洗い
料理人(見習い)
雑草取り
芝刈り
庭いじり
etc.etc…。
そこには途方もない量の生活関連スキルが並んでいた。習得金額も五万から二十万と幅がある。
……ノワールには悪いがとても見ていられない。分厚い辞書を読んでいる気分だ。
「……なぁ、ノワール。戦闘系のスキルだけ見せてくれないか。」
「……そうですね。分かりました。」
「良いのぅ。妾はどんなに頑張っても料理は上達せんかったからのう……」
ノワールがスキル表示を操作している横で、ナイアがぶつぶつ何かを言っていた。
何かのフラグになる気がする。
俺は今のナイアの発言を、しっかりとレポートにきろくした。
「……っと出来ました。」
そう言って、ノワールがまた、リストを見せてくれた。
習得可能スキル一覧(戦闘)
体術(初級)
盾術(初級)
剣術(初級)
槍術(初級)
弓術(初級)
鞭術(初級)
鎌術(初級)
etc.etc…
「多いわっ!!」
そのリストを確認した瞬間、俺は叫んだ。
実際、武器一つ一つにスキルがあるようだ。
選択肢が多いのは良いことだが、日本人の俺からしたら無駄に悩ましいだけだ。
優柔不断民族を舐めてはいけない。
「そんなことを言ったってしょうがないじゃないですか。」
某タレントのようなことを言うノワール。だが……
「うーむ。……しかし、ノゾムの意見も分かるのじゃ。これではいつまで経っても話が終わらん気がするのじゃ。」
今回はナイアも俺の味方のようだった。
とりあえず、スキルの候補を見る前に、方向性を決めておこう。
その方が早い気がする。
「まず、覚えるのが体術系か魔術系か。ということを決めないか?」
「うむ。その方が良いと思うのじゃ」
「残念です。私としては、このリストを見るのも楽しみだったのですが……」
ノワール。
気持ちは分かる。俺だって前世では、自分が買えるものを見てニヤニヤしてたからな。
……だが、少しリストが多すぎる。ここは諦めてもらおう。
「俺としてはパーティに足りない所を補っていくべきだと思うんだが……」
「それなら、ナイアが足りない所を私たちが補っていくべきですね」
「妾に足りない所とな?……ううむ。ぶっちゃけ、妾は元々、魔法も身体能力もピカイチじゃったからのぅ。戦闘を苦手に感じたことはないのじゃ」
確かに。
この幼女。こんな見かけで俺を軽く担ぐからな。
「だが、今は弱体化しているんだろう?」
「それはそうじゃがのう。……そう言えば、今更じゃが――」
そこでナイアは言葉を切った。
こちらを見て続ける。
「――ノゾム。自身のステータスがどのくらいか確認しておるかの?」
え? いきなり、何を言っているんですか。この幼女は。
合コンか? 合コンなのか?
身長とか、学歴とか、収入とか聞いて、品定めするアレなのか?
怖いな。幼女でも女子は女子か。
「……いや。良く分からないな。」
とりあえず、そう返しておこう。
「やはりそうかの。どれ<ステータス>と言葉にしてみよ」
え?異世界怖い。そんな簡単にスペック見れんの?
とりあえず、言われたとおりにする。
「<ステータス>」
すると、目の前になんか出た。
白い板みたいなモノに、こう書かれている。
名称
<ナリカネ ノゾム>
LV:1
HP :60/60
MP : 0/ 0
攻撃力 :10
防御力 : 7
魔力 : 0
魔力防御 : 0
速さ :12
所持スキル
<ノワール>
称号
<来訪者>
<貯金好き>
「なななっ!! なんじゃあっこりゃぁ!!」
俺は板を見て、声に出して驚いた。
え? なにこれ!! なにこれ!!
俺のスペックってこと? こんなRPGみたいな感じで表示されんのか!?
ってかっ……えっ!! 低っ!! 分からんけど、多分、低いよな! コレ!!
「……ノゾム。妾も見て良いかの?」
「ご主人。私も気になります」
俺が動揺してると、二人が声を掛けてきた。
俺はとりあえず、白い板を2人に見えるように回す。
「……おおぅ。これは」
「……ナイア。解説をお願いしても良いですか? 私では、このステータスがどのくらいなのか理解できません」
「……少々、酷な気もするがのぅ。分かったのじゃ」
ナイアは俺に同情的な目を向け、息を整え、そして言った。
「この世界。戦闘に関わらん成人した人間のステータス平均が20位と聞いておる。それに照らし合わせるとノゾムのステータスは全体的に見ても、低めであると言えるじゃろう」
「そうなんですか」
「うむ。特にMP、魔力、魔力抵抗に至っては0じゃ。ステータス一覧で0など妾は初めて見たのじゃ」
マジかよ。
五百歳魔王が見たことないって、相当なんじゃないだろうか。
俺のステータス。
「コレらが0だとどうなるんです?」
「恐らく、魔力が一切ないということじゃろう。魔法も使えず、魔法を打たれたら一発で即死じゃろうな」
俺はどうやら、スペランカーのようだった。
「……さすがにこれは、茶化せませんね。ご主人。」
「……」
ノワールは珍しく、俺の傍にきて、俺の背中を撫でてくれた。
優しさが痛い。
「じゃが、それも今のステータスの話じゃ。幸い、ノゾムのLVはまだ1じゃし、これから上げていけば良かろう」
「上げられるのか!?」
俺はがばっと起きて、ナイアに聞く。ナイアはびっくりしたようだったが、小さく続けた。
「う…うむ。モンスターなどを倒すことで経験値が入るはずじゃ。そうすればLVも上がり、ステータスも上がるはずじゃ」
「なるほど。そういうシステムなのか。」
……まるっきり、RPGじゃないか。
この世界。俺が居た世界とはずいぶん違うということは感じていたが、今回の発見は正直予想外過ぎた。
なんというか、俺が信じていた世界というもののあり方が崩れていくような――
「というか、その前にノワールでステータスを上げれば良いではないか。」
――俺が考え事をしていると、ナイアが閃いたというように声を掛けてきた。
あ、その発想は無かったな。
俺は逸れていた思考を戻すことにする。
「そうか。その手があったか。」
「うむ。そもそも、今のステータスでは仮に、何かの<スキル>を覚えたとて、使いこなせんじゃろうよ。当面はステータスを上げることを優先するべきじゃろうな。」
ふむふむ。と俺がナイアの言葉に頷いていると、気まずそうにノワールが声を掛けてきた。
「……あの。」
「どうしたノワール?」
「うぬ? 歯切れが悪いなど珍しいの?」
ノワールは俺と魔王を見た後、言葉を続けた。
「私の説明が悪かったのですが、私ではご主人のステータスを上げることは出来ません」
……
…………
………………はい?
ノワールは固まった俺たちを見て、覚悟を決めたように頷き、小さく呟いた。
「<ステータス>」
俺と魔王の前に白い板が現れる。
名称
<ノワール>
LV:1
HP :20/20
MP :20/20
攻撃力 :5
防御力 :5
魔力 :5
魔力防御 :5
速さ :5
所持スキル
称号
<ユニークスキル>
<自我を持つ者>
貯金額
¥200,000.-
「私の能力で出来ることは、貯金額を消費し、『私』がスキルを取得すること、もしくはステータスを伸ばすことです。」
……
…………
「救いはないんですかぁ!!」
俺はようやく登り始めたらしい。このはてしなく遠い男坂を……。
必ずかの邪智暴虐の門番を懲らしめなければならぬと。
門番によって、ギルド内にお荷物男(物理)などという不本意極まりないあだ名が広がった俺は、必ずかの門番を見返すべく今まで以上に必至で依頼をこなしていた。
実際、ゴブリンを倒せるようになった俺たちパーティは少し稼ぎが良くなっていた。
ゴブリンは……というかゴブリンに限らずだが、モンスターと分類される生き物は、人間を見つけたら襲ってくるらしく、討伐証明部位としてギルドで決められている体の一部を持ちかえれば、ギルドから報酬が貰えるのだ。
ゴブリンの場合。右耳一つで銀貨二枚であった。
モンスターによっては、素材の受け取りも行っているらしいのだが、ゴブリンには使える素材はないらしい。
基本的に薬草採取などを受けつつ、現れたゴブリンをナイアに倒してもらうようになり、俺たちの稼ぎは一日で銀貨十枚。日本円で一万円ほどになった。今までのおよそ倍である。
その中から、宿代や食事代を抜いた金額をノワールに貯金し、二十万貯めてスキルを覚えるのを目標に、俺は鬼人と化した。今なら、双剣だって使いこなせそうだ。
そして、今日。
俺が門番を呪った日から七日。
ついに、ノワールに二十万という金額が溜まったのだった。
「……長かったなぁ。ここまで」
「……ええ。本当に」
「ううむ。五百年生きた妾ですらそう思うのじゃ。この一ヶ月は妾の人生の中でも一番長い月じゃった」
三人でしみじみと頷く。
いや、本当に長かったのだ。
でも、俺たちは登り切ったのだ。この果てしなく遠い男坂を……。
閑話休題。
「それではこれより、第一回ノワール強化会議を行う」
「おー!! です!!」
「おー!! なのじゃ!!」
おお。珍しいことにノワールもテンションが高いな。
まぁ、<スキル>としては、俺たち以上に待ち望んだはずだからな。
「じゃあ、ノワール。改めて説明を頼む」
「はい! 私の能力は金額に応じて<スキル>及び<ステータス>を上げることが出来るというものです」
「うむうむ」
「そして、現在二十万という金額が溜まっており、今回の会議はこの貯金額を使って、何を覚えるべきかというものです」
「ほうほう」
「そして、二十万で覚えられるスキルがこちらです!!」
ノワールはそう言うと、手元に不思議な白い板を出し、俺とナイアに見せてくれた。
現在の貯金額で習得可能
<スキル名一覧>
片付け
掃除
清掃
洗濯
皿洗い
料理人(見習い)
雑草取り
芝刈り
庭いじり
etc.etc…。
そこには途方もない量の生活関連スキルが並んでいた。習得金額も五万から二十万と幅がある。
……ノワールには悪いがとても見ていられない。分厚い辞書を読んでいる気分だ。
「……なぁ、ノワール。戦闘系のスキルだけ見せてくれないか。」
「……そうですね。分かりました。」
「良いのぅ。妾はどんなに頑張っても料理は上達せんかったからのう……」
ノワールがスキル表示を操作している横で、ナイアがぶつぶつ何かを言っていた。
何かのフラグになる気がする。
俺は今のナイアの発言を、しっかりとレポートにきろくした。
「……っと出来ました。」
そう言って、ノワールがまた、リストを見せてくれた。
習得可能スキル一覧(戦闘)
体術(初級)
盾術(初級)
剣術(初級)
槍術(初級)
弓術(初級)
鞭術(初級)
鎌術(初級)
etc.etc…
「多いわっ!!」
そのリストを確認した瞬間、俺は叫んだ。
実際、武器一つ一つにスキルがあるようだ。
選択肢が多いのは良いことだが、日本人の俺からしたら無駄に悩ましいだけだ。
優柔不断民族を舐めてはいけない。
「そんなことを言ったってしょうがないじゃないですか。」
某タレントのようなことを言うノワール。だが……
「うーむ。……しかし、ノゾムの意見も分かるのじゃ。これではいつまで経っても話が終わらん気がするのじゃ。」
今回はナイアも俺の味方のようだった。
とりあえず、スキルの候補を見る前に、方向性を決めておこう。
その方が早い気がする。
「まず、覚えるのが体術系か魔術系か。ということを決めないか?」
「うむ。その方が良いと思うのじゃ」
「残念です。私としては、このリストを見るのも楽しみだったのですが……」
ノワール。
気持ちは分かる。俺だって前世では、自分が買えるものを見てニヤニヤしてたからな。
……だが、少しリストが多すぎる。ここは諦めてもらおう。
「俺としてはパーティに足りない所を補っていくべきだと思うんだが……」
「それなら、ナイアが足りない所を私たちが補っていくべきですね」
「妾に足りない所とな?……ううむ。ぶっちゃけ、妾は元々、魔法も身体能力もピカイチじゃったからのぅ。戦闘を苦手に感じたことはないのじゃ」
確かに。
この幼女。こんな見かけで俺を軽く担ぐからな。
「だが、今は弱体化しているんだろう?」
「それはそうじゃがのう。……そう言えば、今更じゃが――」
そこでナイアは言葉を切った。
こちらを見て続ける。
「――ノゾム。自身のステータスがどのくらいか確認しておるかの?」
え? いきなり、何を言っているんですか。この幼女は。
合コンか? 合コンなのか?
身長とか、学歴とか、収入とか聞いて、品定めするアレなのか?
怖いな。幼女でも女子は女子か。
「……いや。良く分からないな。」
とりあえず、そう返しておこう。
「やはりそうかの。どれ<ステータス>と言葉にしてみよ」
え?異世界怖い。そんな簡単にスペック見れんの?
とりあえず、言われたとおりにする。
「<ステータス>」
すると、目の前になんか出た。
白い板みたいなモノに、こう書かれている。
名称
<ナリカネ ノゾム>
LV:1
HP :60/60
MP : 0/ 0
攻撃力 :10
防御力 : 7
魔力 : 0
魔力防御 : 0
速さ :12
所持スキル
<ノワール>
称号
<来訪者>
<貯金好き>
「なななっ!! なんじゃあっこりゃぁ!!」
俺は板を見て、声に出して驚いた。
え? なにこれ!! なにこれ!!
俺のスペックってこと? こんなRPGみたいな感じで表示されんのか!?
ってかっ……えっ!! 低っ!! 分からんけど、多分、低いよな! コレ!!
「……ノゾム。妾も見て良いかの?」
「ご主人。私も気になります」
俺が動揺してると、二人が声を掛けてきた。
俺はとりあえず、白い板を2人に見えるように回す。
「……おおぅ。これは」
「……ナイア。解説をお願いしても良いですか? 私では、このステータスがどのくらいなのか理解できません」
「……少々、酷な気もするがのぅ。分かったのじゃ」
ナイアは俺に同情的な目を向け、息を整え、そして言った。
「この世界。戦闘に関わらん成人した人間のステータス平均が20位と聞いておる。それに照らし合わせるとノゾムのステータスは全体的に見ても、低めであると言えるじゃろう」
「そうなんですか」
「うむ。特にMP、魔力、魔力抵抗に至っては0じゃ。ステータス一覧で0など妾は初めて見たのじゃ」
マジかよ。
五百歳魔王が見たことないって、相当なんじゃないだろうか。
俺のステータス。
「コレらが0だとどうなるんです?」
「恐らく、魔力が一切ないということじゃろう。魔法も使えず、魔法を打たれたら一発で即死じゃろうな」
俺はどうやら、スペランカーのようだった。
「……さすがにこれは、茶化せませんね。ご主人。」
「……」
ノワールは珍しく、俺の傍にきて、俺の背中を撫でてくれた。
優しさが痛い。
「じゃが、それも今のステータスの話じゃ。幸い、ノゾムのLVはまだ1じゃし、これから上げていけば良かろう」
「上げられるのか!?」
俺はがばっと起きて、ナイアに聞く。ナイアはびっくりしたようだったが、小さく続けた。
「う…うむ。モンスターなどを倒すことで経験値が入るはずじゃ。そうすればLVも上がり、ステータスも上がるはずじゃ」
「なるほど。そういうシステムなのか。」
……まるっきり、RPGじゃないか。
この世界。俺が居た世界とはずいぶん違うということは感じていたが、今回の発見は正直予想外過ぎた。
なんというか、俺が信じていた世界というもののあり方が崩れていくような――
「というか、その前にノワールでステータスを上げれば良いではないか。」
――俺が考え事をしていると、ナイアが閃いたというように声を掛けてきた。
あ、その発想は無かったな。
俺は逸れていた思考を戻すことにする。
「そうか。その手があったか。」
「うむ。そもそも、今のステータスでは仮に、何かの<スキル>を覚えたとて、使いこなせんじゃろうよ。当面はステータスを上げることを優先するべきじゃろうな。」
ふむふむ。と俺がナイアの言葉に頷いていると、気まずそうにノワールが声を掛けてきた。
「……あの。」
「どうしたノワール?」
「うぬ? 歯切れが悪いなど珍しいの?」
ノワールは俺と魔王を見た後、言葉を続けた。
「私の説明が悪かったのですが、私ではご主人のステータスを上げることは出来ません」
……
…………
………………はい?
ノワールは固まった俺たちを見て、覚悟を決めたように頷き、小さく呟いた。
「<ステータス>」
俺と魔王の前に白い板が現れる。
名称
<ノワール>
LV:1
HP :20/20
MP :20/20
攻撃力 :5
防御力 :5
魔力 :5
魔力防御 :5
速さ :5
所持スキル
称号
<ユニークスキル>
<自我を持つ者>
貯金額
¥200,000.-
「私の能力で出来ることは、貯金額を消費し、『私』がスキルを取得すること、もしくはステータスを伸ばすことです。」
……
…………
「救いはないんですかぁ!!」
俺はようやく登り始めたらしい。このはてしなく遠い男坂を……。
0
お気に入りに追加
251
あなたにおすすめの小説
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
俺がマヨネーズ男爵だとぅ!?~異世界でおっさん領主は奴隷ちゃんと結婚したい
武蔵野純平
ファンタジー
美少女性奴隷と幸せに暮らすため、おっさんは異世界で成り上がる!
平凡なおっさんサラリーマンの峰山真夜は、ある日、自室のドアが異世界につながっている事を知る。
異世界と日本を行き来し、異世界では商売を、日本ではサラリーマンの二重生活を送る。
日本で買ったアイテムを異世界で高額転売し金持ちになり、奴隷商人のススメに従って美少女性奴隷サラを購入する。
愛する奴隷サラと幸せに暮らすため、おっさんサラリーマン・ミネヤマは異世界で貴族を目指す。
日本ではかなえられなかった立身出世――成り上がりに邁進する!
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
よろしくお願いいたします。
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる