24 / 24
11-4
思い出しながら
しおりを挟む
マスコミの報道姿勢が萎縮する一方で、ネット上にはテレビのニュースでは流さない政権の暗部についての情報が溢れている。
今は萎んでしまったとは言え、和彦が少しだけマスコミ、ジャーナリズムの世界を覗いていた一九九〇年代前半には決してみられなかった、十代、二十代の若者達が自主的にデモ行進を行い、安保法制反対や憲法改正反対、政権打倒を叫ぶという現象も起こったことがあった。
吉田茂は彼らの取材や支援もしていたようで、その後、就職したり、と変化している彼らを追ってもいるらしい。
五十代となった和彦も、今は全く無関係な場所にいるが、この状態から何かできることってないのかな、吉田茂の近況やネット上を賑わすあらゆる情報に触発され、忘れていた日々を思い出しながら考えてみるが、今のところは日常を生きるしかない、と思い直す。
ただ、毎日、仕事をして、息抜きにネットサーフィンをする。
子供の頃の立ち読みのはしごや二十代の頃の神保町の古書店街通いに似ていて、自分が抱えている問題を解決する手段を探して、ネット情報の海を彷徨っている感じがする。問題の本質は、以前から変わっていない気がする。
薄闇に光る琵琶湖の水面を横目に見つつ風の冷たさに耐えながら十分ほど走ると、家族の待つ自宅のある少し古い住宅地へと差し掛かる。
今は萎んでしまったとは言え、和彦が少しだけマスコミ、ジャーナリズムの世界を覗いていた一九九〇年代前半には決してみられなかった、十代、二十代の若者達が自主的にデモ行進を行い、安保法制反対や憲法改正反対、政権打倒を叫ぶという現象も起こったことがあった。
吉田茂は彼らの取材や支援もしていたようで、その後、就職したり、と変化している彼らを追ってもいるらしい。
五十代となった和彦も、今は全く無関係な場所にいるが、この状態から何かできることってないのかな、吉田茂の近況やネット上を賑わすあらゆる情報に触発され、忘れていた日々を思い出しながら考えてみるが、今のところは日常を生きるしかない、と思い直す。
ただ、毎日、仕事をして、息抜きにネットサーフィンをする。
子供の頃の立ち読みのはしごや二十代の頃の神保町の古書店街通いに似ていて、自分が抱えている問題を解決する手段を探して、ネット情報の海を彷徨っている感じがする。問題の本質は、以前から変わっていない気がする。
薄闇に光る琵琶湖の水面を横目に見つつ風の冷たさに耐えながら十分ほど走ると、家族の待つ自宅のある少し古い住宅地へと差し掛かる。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
クィアな僕らはカラーフィルムを忘れた【カラーフィルムを忘れたのね 書いてみました】
愛知県立旭丘高校
現代文学
Nina Hagenの『カラーフィルムを忘れたのね』を小説にしてみました。
村上春樹の『風の歌を聴け』に憧れて描いた作品です。
村上春樹っぽさを感じていただけると嬉しいです。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる