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あったいちゃんbot

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朝が来るまで夜は続く(男2:女1)???

朝が来るまで夜は続く

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英雄ひでお
 その日の僕は、人生において、落伍者らくごしゃとしての刻印を押されたような、この先の生涯で、もう二度と心から笑えないような、そんな気分だった。

「D…判定、かぁ…」

 予備校の講師が、厳しい表情で渡してきた紙ペラ一枚には、その軽く小さな実物以上に、僕の心に重くのしかかっていた。
 浪人。高卒。滑り止め。
 そんな言葉がよぎっては、その度に暗い未来が確定してしまったかのような、このまま下り坂の人生を過ごしていくかのような。たった一枚の紙に人生の是非を決められてしまった。そんな心持ちになる。
 自分なりに頑張ったつもり。他の人より努力したつもり。他の人と比べて、極端に劣った場所は持ち合わせていないつもり。つもり、つもり、つもり…。
 そんな積もり積もったその"つもり"を、こんな紙一枚が壊していく。たかだかA3用紙一枚に人生を否定される気分はどうだい?きっと、大学の不合格通知や、就職の時の不採用通知もこんな感じなんだろう。

 「くそッ」

 クシャクシャした思いを両手に持っていた紙にぶつけて、後ろに放り投げた。

清香きよか
「痛っ!もー。何ー?」

英雄:
「えっ!」

清香:
「何この紙…、あ、模試の結果じゃん。えーっと…」

英雄:
 声に振り向くと、20代後半ぐらいだろうか。髪の長い女性が、僕が投げ捨てた紙を広げている。

清香:
「うえ…牧、田?えいゆう…」

英雄:
英雄ひでおです。上牧田かみまきた英雄ひでお

清香:
「…?」

英雄:
「すいません、それ投げたの、僕なんです。まさか人がいるなんて思わなくて」

清香:
「あ!なるほど!そういうことか!」

英雄:
「すいません…」

清香:
「えーっと、どれどれー…?第一志望D判定…、第二志望が…」 

英雄:
「あ!ちょっ、見ないでください」

清香:
「じゃあ捨てないの」

英雄:
「すいません…」

清香:
「どうするの?」

英雄:
「え?」

清香:
「記念受験?…って、この時期に記念受験を第一志望に入れてないか」

英雄:
「…、はい」

清香:
「もしかして、それでそんなに落ち込んでる感じ?」

英雄:
「…まぁ、…そうですね…」

清香:
「私もそうだったなぁ。高校の頃」

英雄:
「え?」

清香:
「なんか、中学の頃はさ、高校入試が世界を占めてて、高校は高校で、就職できるのか、進学できるのか、そういう事が全てだった気がする」

英雄:
「…」

 清香:
「案外なんでもないんだよ。進学先なんて」

英雄:
「…え?」

清香:
「だから頑張らなくていいってわけじゃないけどさ、どんな大学に行っても自分より優秀な人は絶対にいるし、いい大学に行ったら立派な人間になれるわけじゃない」

英雄:
「はぁ…」

清香:
「結局、そこで何を頑張ったか、どんな人と出会って、どんな時間を過ごしたかなんだよね」

英雄:
「…進学先は、どうでもいいって事ですか?」

清香:
「選べるなら選択肢はあったほうがいいよ。頭が良くてどの大学にも行けるなら、そりゃ勉強したい事が勉強できるとか、取りたい資格が取れるとか、講義を聞きたい先生の居るとか、そういうのを優先するべきだと思うけど…」

英雄:
「…」

清香:
「あるの?勉強したい事」

英雄:
「えっ?」

清香:
「講義を聞きたい先生は居る?」

英雄:
「いない…、です」

清香:
「じゃあどこでもいいじゃん。大学なんて」

英雄:
「…」

清香:
「ぶっちゃけ、どんなにいい大学に行ってもクソなやつはクソだし、仕事始めたらさ、大学名は名刺にもネームにも、どこにも書かれてないからね」

英雄:
「そっか。…ありがとうございます。なんか、少し気が楽になりました…」 

清香:
「よかったよかった」

公平こうへい
「何してるんですかー?」

英雄:
「え、うわ」

公平:
「うわってなんだうわって。なんかやましいことでもしてたの?」

清香:
「お巡りさん。何してんの?」 

公平:
「あ?見てわかんだろ。公務だよ。未成年と思われる少年を成人女性が連れ回してるだろ。こんな時間に」

英雄:
「こんな時間って…」

公平:
「あのね。22時は十分遅いの。なんでこんな時間に外いるの?」

英雄:
「塾帰りです」

公平:
「2人の関係は?」

英雄:
「えっと…」

清香:
「彼氏の弟です。彼氏が用事できたから、代わりに迎えに来たの」

英雄:
「…」

公平:
「ほんとに?」

清香:
「ほんとほんと」

公平:
「じゃあ、この子の名前言ってみて」

清香:
「え!えーっとね、ヒロくん。ヒーローだから」

英雄:
英雄ひでおです」

公平:
「…」

清香:
「あ!ほら!これ見て、英雄えいゆうって書いて英雄ひでお。だから、ヒーローでヒロくん」

英雄:
「ちょ!」

公平:
「D判定じゃん」

英雄:
「なんで見せるんですか…」

清香:
「あ…。ごめん…」

公平:
「この時期にD判定って、やばいんじゃないの?」

英雄:
「…はい」

清香:
「お巡りさんって大卒?」

公平:
「いや、警察学校だよ。警察だし」

清香:
「あ、そっか」

公平:
「お姉さんお名前は?あと、なんか身分証明できるもの持ってない?免許証とか」

清香:
「もー。めんどくさいなぁ。……」(財布から免許証を取り出す)
「…はい。三津谷みつや清香、28歳」

公平:
「はい、確かに。ふたりともさっさと帰るように。最近ここらへんも変な事件多いから」

清香:
「はーい」

英雄:
「すいませんでした」

公平:
「ところでお姉さん、その袖から見えたの、包帯だよね?」

英雄:
「え?」

清香:
「げ。なんで気づくのさ」

公平:
「いや、免許もらうときに、チラッとね」

清香:
「あちゃー」
(目線を右上にやりながら)「…こけちゃってさ。体重全部右腕に乗っちゃって、シップ貼ってるの」

公平:
「…ふーん…。気をつけてな」

清香:
「ありがと。ところでお巡りさん、どっち行くの?」

公平:
「パトロール中だから、適当にブラブラと」

清香:
「ルートとかって決まってないんだ?」

公平:
「ルート沿いに犯罪が起きてくれるならルート決めるんだけどね」

清香:
「そりゃそうか。じゃあさ、家まで送ってよ」

英雄:
「え?」

公平:
「は?めんどくせぇな」

清香:
「めっちゃストレートに言うじゃん。傷付いちゃう」

公平:
「こんなやつ初めてだよ」

清香:
「私も初めて言った!」

英雄:
「えーっと、僕は帰ります。まっすぐ」

公平:
「はぁ…。もういいよ。一緒に行くよ。どうせさっきのも嘘だろ。後でどっちかが死体で発見されたら目覚めわりぃもん」

清香:
「やったー!」

英雄:
「なんか、すいません」

清香:
「お巡りさん名前は?」

公平:
宮間公平みやまこうへい

清香:
「どんな字書くの?」

公平:
「宮殿の間に、公平は、平等とかの公平」

清香:
「すごい名前じゃん!学生時代めっちゃイジられたでしょ」

公平:
「そういうアンタもすごい名前じゃん。清らかな香り」

清香:
「すごいでしょ!…そんな清廉潔白せいれんけっぱくな人生じゃないけどね」

公平:
「誰でも叩けばホコリぐらい出るだろ」

清香:
「警察官が言っていいセリフなの?それ」

公平:
「ヘンに事実を隠すよりはいいんじゃない?」

清香:
「それもそうか…、それに、名前で言うと、ヒロくんが一番かな」

公平:
「…だな。なんたって英雄えいゆうだもんな」

英雄:
「や、やめてくださいよ。この名前嫌いなんです」

公平:
「けったいな名前つけられたら大変だよな」

英雄:
「はい…」

公平:
「あー…、タバコ吸っていい?」

清香:
「私は別にいいけど?」

英雄:
「大丈夫なんですか?」

公平:
「大丈夫なわけないでしょ。公務中だよ」

英雄:
「じゃあ辞めたほうがいいんじゃ…」

公平:
(煙を吐く音)
「半分以上タバコ吸いたくてパトロールに出て来てるからね」

清香:
「ダメ警察官だ」

公平:
「公務してるでしょうが」

清香:
「こーちゃんさ。交番どこ勤務?駅前の?」

公平:
「…」

英雄:
「…?」
 
公平:
「もしかして、そのこーちゃんって俺か?」

清香:
「他に誰がいるの?」

公平:
「先に言っとくが、そういう女は嫌いだ」

清香:
「ひど!?」

公平:
「駅前の交番だけど、なんで?」

清香:
「いや、ちょっと聞きたかっただけ!ありがとね。私の家ここだから。204号室」

公平:
「おう。じゃあな。毎日まっすぐ帰れよ。警察官の手を煩わせるな」

清香:
「何かあったら、頼りにしてます」

公平:
「何もないのが一番なんだよ」

清香:
「はは、ごもっとも。じゃあね」

英雄:
「あの、ありがとうございました」

清香:
「んーん。受験頑張ってね。応援しとく」

英雄:
「ありがとうございます」

公平:
「ったく…、変な女」

英雄:
「そうですね。変わった人でした」

公平:
「で、君は家どっち?」

英雄:
「あ…。こっちです」

※※※

清香:
「あれ?もしかしてヒロくんじゃない?」

英雄:
「この声…って、その目どうしたんですか!?」

清香:
「いやー、物貰い出来ちゃってさ。病院行ったらこんな眼帯つけられちゃって」

英雄:
「大丈夫なんですか?」

清香:
「目の方は全然大丈夫。むしろ腕のほうが痛いの」

英雄:
「腕…?どうかしたんですか?」

清香:
「眼帯でさ、片目しか見えなくて、距離感掴めなくってさ、バーンッって!」

英雄:
「痛むんですか?」

清香:
「めっちゃ痛い」

英雄:
「折れてはいないんですよね」

清香:
「うん。ほら、動くし…ってててて…」

英雄:
「無理しないでください」

公平:
「まーたお前らか」

清香:
「あ、まーたこーちゃんか」

公平:
「…どうしたんだよ。その眼帯」

清香:
「えー!もう。今その説明終わったんだけど!」

公平:
「そ。じゃ、いいや。そんなに興味あったわけでもないし」

清香:
「なにそれ!」

公平:
「社交辞令だよ」

清香:
「こっちは物貰い、こっちはぶつけたの!」

公平:
「二の腕を?ぶつけた?…何に?」

清香:
(目線を右上にやりながら)「え?…えーっと、なんだっけ…」

英雄:
「覚えてないんですか?」

清香:
「あはー…、えーっと」

公平:
「…ほんとにぶつけたのか?なんで二の腕なんかぶつけんだよ」

清香:
「だからー!片目だと距離感わかんないんだって!」

公平:
「ふぅん…」

英雄:
「ほら、行きますよ!迷惑かけちゃだめですって」

清香:
「今日も一緒に帰る?こーちゃん」

公平:
「…。タバコに付き合ってくれるならまぁ考えてやるよ」

清香:
「吸っちゃう吸っちゃう、何本でも」

公平:
「君はだめだよ」(英雄を見ながら)

英雄:
「吸いませんよ」

清香:
「紙タバコ久しぶりー…。っ~、タバコ美味しいけど、二の腕痛いねこれ」

公平:
「それはタバコ関係ないでしょ。…もっと自分の体のこと、大切にするんだな」

清香:
「それタバコ吸ってる人に言われたくなーい」

英雄:
「タバコって美味しいんですか?」

公平:
「いや、まずいよ」

清香:
「うん。まずい」

英雄:
「え?」

公平:
「吸わなくていいなら吸わないほうがいい」

清香:
「体にも悪いしねぇ」

公平:
「コイツはただ依存してるだけだよ」(清香を見ながら)

清香:
「コイツもね」(公平を見ながら)

英雄:
「…仲いいですね」

清香:
「あ!これがタバコミュニケーションってやつ!?」

公平:
「俺が合わせてあげてるだけでしょうが」

清香:
「なんでぇー!?っていうか!なんで私がタバコ吸うってわかったの?」

公平:
「いや、…なんとなく。カマかけてみた」

清香:
「なんだぁ…。あー…もう家かぁ、楽しい時間はあっという間だねぇ…。…灰皿ある?」

公平:
「ん」

清香:
「ありがと。じゃあね」

公平:
「おねーさん。ちょっと待って」

清香:
「え?」

公平:
「……。はい、これ。俺が勤務してる交番と、あと念の為、俺の携帯の番号」

清香:
「…ナンパ?そういうのはさぁ…、二人きりのときとか、もっとロマンチックにやってよ。そんな、少年の前でさぁ…」

公平:
「アホか」

清香:
「…じゃあ暇なときに連絡してあげる」

公平:
「暇なときはするなよ」

清香:
「…。ありがとう。今度遊びに来て、204号室だよ」

公平:
「…やだね。通報でもあったら行ってやるよ」

清香:
「あはは、じゃあね」

公平:
(最後の一息タバコを吸って。携帯灰皿に押し付けて消す)

英雄:
「ナンパはじめてみました…」

公平:
「あちゃー…。君も…、馬鹿だったかぁ…」

英雄:
「え?」

公平:
「英雄くん、君は今まで生きてきて、二の腕を打ったこと…あるかい?」

英雄:
「…。あるかもしれないけど…、覚えてないです」

公平:
「うん。そうだよね。…俺は警察官だから、疑うことも仕事なのさ」

英雄:
「…どういうことですか?」

公平:
「想像してる通りじゃなければいいなあってことだよ」

※※※

公平:
「お宅ら…、月曜はいつもこの時間なの?」

清香:
「あ、こーちゃん」

英雄:
「公平さん。こんばんは。塾の帰りだと、このぐらいになっちゃいますね」

清香:
「私も。土日の溜まってる仕事こなしてたら、どうしてもこんな時間になっちゃうなぁ」

公平:
「ふーん…。ま、いいけど。二の腕は治ったかい?」

清香:
「もう痛くないよ。肉まん食べる?」

公平:
「結構。警察官が物もらうのって色々面倒なんだよ。で?今日はコンビニの前で参考書広げて何やってんの」

英雄:
「聞いてください。清香さんすごいんです。全部解けちゃうんですよ」

公平:
「へぇー…、勉強できるんだ」

清香:
「えっへん!」

公平:
「こんなに馬鹿なのに…」

清香:
「聞こえてるよ?」

公平:
「おっと…」

清香:
「こーちゃんは?これ解ける?」

公平:
「どれどれ…。あー…、なるほどね」

英雄:
「公平さんもわかるんですか!?」

公平:
「なぁんにもわかんない」

清香:
「えっへん!」

公平:
「高校生って何?こんな難しい事してんの?はー。やるねぇ」

清香:
「これでこの3人の中で誰が一番かっていうのが、はっきりしたよね」

英雄:
「すごいです。清香さん」

公平:
「スゴイデス!キヨカサン!」

清香:
「ちょっと…?」

公平:
「ま、実際すごいとは思うけど、俺大人になる前からこんな計算使ったことないから、どれぐらいすごいのかはピンとは来ないね」

清香:
「出たー!大人の特有の、『その知識大人になってから使わないよ』だー!」

公平:
「代表例でいうと、因数分解とかな」

清香:
「今頑張って勉強してる子の前でそんなこと言うかなぁ」

公平:
「…たしかに」

清香:
「…ま、使わないんだけどね。因数分解も、サインコサインも、解の公式も」

英雄:
「虚数も対数も、ですね」

公平:
「社会人になるまでの勉強なんてさ。どれだけ努力できるか、のバロメータなんだよ」

英雄:
「努力…ですか?」

公平:
「そ。際立った天才以外の人はね。例えばスポーツが得意なやつは練習を頑張ってプロになる。囲碁将棋だってそうだろ?どれだけ実を結べるまで努力を続けられるのかっていう、わかりやすい定規なんだよ」

清香:
「おー。大人のありがたぁーいお話だ」

英雄:
「…」

公平:
「努力がどれだけ実を結ぶか、どれだけ実を結べるような努力をしてきたか。それを可視化しやすいものとして勉強があって、それを高校、大学に入るときにチェックされるんだ。同じ理由でスポーツ推薦とかあるだろ」

英雄:
「…でも、スポーツ推薦とかを受けられなかったけど、努力を続けてきた人もいますよね」

公平:
「そうだな」

英雄:
「その人たちは…、努力が、足りなかった…、ってことなんですか」

公平:
「ま、単純に努力が足りなかった奴らも居るは居るだろうけど、そもそも能力が足りない奴も居るし、…運が悪かった奴、気づかれなかった奴、色々居るだろうな」

英雄:
「そんなっ!」

公平:
「なんだ?…平等じゃない、か?」

英雄:
「…」

公平:
「もう高校生ならわかってるでしょ?この世には本当の意味での平等、公平なんてない。さっきの勉強の話にしたって、そもそもの個人の能力値が違う。家が違えば環境も違う、親も違えば、その考え方も。…親がいない家だってある」

英雄:
「それは…」

公平:
「そういうのを全部ひっくるめて、学力で測ってんだ。評価する側がわかりやすいからな。全然公平なんかじゃないよ」

英雄:
「…」

清香:
「言い過ぎ」

公平:
「…あー…、…と、まぁ今のは全部冗談だ。警察官は毎日因数分解をしながら犯人を追いかけてるし、虚数とサインコサインを使ってその潜伏先を割り出している」

英雄:
「いえ…、変にオブラートに包まれたり、誤魔化されたりするよりは、気持ちいいですよ」

公平:
「そうか…。ところで話は変わるんだが…、虚数?ってなんだ?」

清香:
「二乗したら-1になる数のことだよ」

公平:
「……二乗…?ってあれだよな。同じ数をかける…。ん?マイナスとマイナスをかけたら、全部プラスになるんじゃなかったか?」

清香:
「まぁ…平たく言うとそうだね」

公平:
「…もう一回聞くけど、虚数ってなんだ?」

英雄:
「二乗することで-1になる数です」

公平:
「…、そうか…」

清香:
「ふふん。これで誰が一番なのかわかったね」

公平:
「言うねぇ…」

英雄:
「清香さんは大学どこなんですか?」

清香:
「…、ちょっと、頭いいとこ」

英雄:
「…なんで隠すんですか?」

清香:
「大人になったらどの大学に行ったかとかって、だいたいレッテルにしかならないんだよね」

英雄:
「え?」

清香:
「下なら下でFランク大学って言われるし、上なら上で、例えばー…東大なのにって言われたりね。無名の大学だと、どこそれ?みたいな」
「それに、女がいい大学に行くことをまだまだ嫌がるおっさんって結構いるんだよねぇ」

公平:
「大卒の女は可愛げがない、とかね」

清香:
「そうそう」

英雄:
「その感覚よくわかんないです…」

公平:
「それでいいよ。オジサマ達は頭が硬いんだ。昔の価値観のまま生きてるのさ」

清香:
「大事なのはその人が何ができるかであって、学歴じゃないんだけどね」

公平:
「さっきの話。フィルターとしてなんとなく使い勝手いいんでしょ」 

清香:
「そうだねぇ…」

英雄:
「そう…ですか」

公平:
「さ…、そろそろ帰るよ、二人とも」

英雄:
「あ、はい。そうですね」

清香:
「ちぇー」

公平:
「ところでおねーさん。今回はどこも怪我してないかい?」

清香:
「え?あ…、いや、してないしてない。そんな毎週怪我なんてしないでしょ」

公平:
「普通はね」
「ま、してないならいいんだ。お腹とか、見えないところ怪我してない?」

清香:
「してないって!」

英雄:
「公平さんって結構心配性なんですか?」

公平:
「警察やってるとねー。疑り深くなっちまうんだなぁ。なにもないのが一番さ。ん…、(連絡を受ける)……、了解。至急現場向かいます」

清香:
「あら」

公平:
「ということでなんか起きちまったみたいだから、ちょっと行ってくるわ。夜道気をつけろよ」

英雄:
「あ、公平さんも」

公平:
「おう」

清香:
「ばいばーい」
「…行っちゃったねぇ。ほんとに警察官だったんだ」

英雄:
「酷いこといいますね(笑)」

清香:
「じゃ、夜道守ってね、ヒーロー」

英雄:
「…えぇ…?」

※※※

公平:
「おや。今日は1人かい」

英雄:
「あ、公平さん…。はい。別に約束してるわけでもないんですけど、毎週ここで清香さんと公平さんに会ってたから、なんとなくここで待ってました」

公平:
「気になるの?」

英雄:
「少しだけ」

公平:
「今日はたまたま早く帰れたんじゃない?」

英雄:
「そうだといいんですけど」

公平:
「ほら、君も帰るよ。このあと雪が降る予報だ」

英雄:
「あー、どおりで。寒いと思いました」

公平:
「降り出す前に帰んな」

英雄:
「はい」

(2人歩き始める)

公平:
「そういえば、勉強はどうだい。そろそろ本番なんじゃないの?」

英雄:
「来週です。まぁ、ぼちぼち…ですかね」

公平:
「自信ないねぇ」

英雄:
「自信はないですけど、前より気は楽になりました。公平さんと清香さんのおかげです。もし志望校に落ちたら、自分のできること、ちゃんと探そうと思います」

公平:
「そうかい…。タバコ吸っていいかい?」

英雄:
「もちろん」

公平:
(タバコを吸う)

英雄:
「ところで、公平さんはなんで警察官になったんですか?」

公平:
「なんだい、藪から棒に」

英雄:
「正直に言うと、僕の中の警察官のイメージと公平さんがかけ離れてて…」

公平:
「ははは。…俺のオヤジも警察官だったんだ。それで小さい頃から警察官になるんだぞって言われてて、ああ、俺大きくなったら警察官になるんだなって思ってたの」

英雄:
「…ちょっと意外です」

公平:
「まぁ半分ホントで半分冗談。俺のオヤジさ、なんていうの、ザ・警察官みたいな人で、酒も飲まないし、タバコも吸わない、困ってる人が居たら非番でも人助けしてさ。…小さい頃、あんまりいい思い出ないんだよね」

英雄:
「なんでですか?ちょっとかっこいいじゃないですか」

公平:
「うん。かっこいいよ。今でもそう思う。でもガキの時分じぶんとしてはさ、せっかく家族で出かけてるのに、そこら辺の迷子とか、おばあちゃんのために家族ほっぽり出して、しまいには事件がおきたから行ってくる、とか」

英雄:
「…ああ」

公平:
「だからかな、中学に上がる頃にはひねくれててさ、悪い奴らとつるんで、タバコとか酒とか」

英雄:
「えっ」

公平:
「高校にあがってちょっとした時にそれがバレてさ。殴られるって思ったんだ。そしたら、すげー悲しそうな顔で、それがお前のやりたかったことなのか?って言われてさ…」

英雄:
「…」

公平:
「ひねくれるな。ルールを守れ。ルールを守っている限りは、ルールがお前を守ってくれる。って」

英雄:
「お父さんはもう退職したんですか?」

公平:
「死んだよ」

英雄:
「あ…」

公平:
「…。非番で、たまたま銀行に行った時に、たまたま銀行強盗に出くわして、ね…。人質を名乗り出て、まぁ色々あったみたいだけど、最終的には逆上した犯人に2発撃たれてね」

英雄:
「…」

公平:
「でも、少し羨ましくもある」

英雄:
「えっ…?」

公平:
「ああ、オヤジは最期まで警察官で死ねたんだなってね。…じゃあ、あのオヤジが、最期まで貫いた警察官って何なんだ。どんな仕事なんだ」

英雄:
「…」

公平:
「気付いたら警察になる方法を調べてたよ」

英雄:
「…」

公平:
「天職なんて言うつもりはサラサラないけど、嫌いじゃないよ、この仕事。…パトロールでタバコ吸えるしねぇ」

英雄:
「…そのうちクレーム入れられますよ。制服着てタバコを吸っている警察官がいるって」 

公平:
「おお怖…」

英雄:
「送ってくれてありがとうございました」

公平:
「…別に、パトロールの道順なだけだよ」

英雄:
「そうですか。じゃあそういうことにしときます」

※※※

公平:
「…今週はこっちかい」

清香:
「あ、こーちゃんだ。今週はって?」

公平:
「先週は英雄くんがアンタのこと待ってたからさ」

清香:
「そうなんだ」

公平:
「心配してたよ」

清香:
「え?…心配?……なんで?」

公平:
「いつもの時間に来なかったから…?」

清香:
「そんな、…別に約束してるわけでもないのにね」

公平:
「確かにね…」

清香:
「まぁ、そんなこと言って、…今私もここにいるんだけどさ」

公平:
「…で?その怪我は?」

清香:
「…怪我なんてしてないけど?」

公平:
「…足」

清香:
「…え?」

公平:
「足引きずってるだろ、明らかに。隠すなら隠し通せよ」

清香:
「…ああ、(咳払い)」
(目線を右上にやりながら)「先週の雪の日に転んじゃってさ!もー、また馬鹿やっちゃった」

公平:
「…」

清香:
「…ははは、…これでも会社だとバレなかったんだけどなぁ」

公平:
「…、いつまで我慢すんの?」

清香:
「……、何の、話?」

公平:
「警察は、通報か被害届が無いと動けないんだよねぇ。外でやってくれるなら現行犯でれもするけど」

清香:
「…」

公平:
「アンタが死ぬまで?」

清香:
「はは…、死なないよ…。そこまで馬鹿じゃないでしょ」

公平:
「じゃあ取り返しがつかなくなるまで、かな」

清香:
「…」

公平:
「タバコ、吸っていいよな」

清香:
「…お好きに」

公平:
「お前も吸うか?」

清香:
「…辞めとく。この前タバコの匂いさせて帰ったら、怒っちゃったんだよね…」

公平:
(ゆっくりとタバコを吸って、吐く)

「…なんか弱みでも握られてるわけ?金を借りてるとか?まぁでも、だからって許されることじゃないだろ」

清香:
「会っていきなり説教?おじさんは暇だね」

公平:
「…あーあぁ。あれだけわかりやすくSOS出しといて、いざ蜘蛛の糸が垂らされたら払いのけるんだもんなぁ…」

清香:
「SOSなんて、出したつもり無いけど」

公平:
「だとしたら相当変な女だぞ。お前」

清香:
「……、今日、ヒロくんは?」

公平:
「昨日と一昨日が受験の本番だからね。塾行ってないんじゃない?」

清香:
「…。そっか。…気づいてるかな…」

公平:
「…鈍そうだしな」

清香:
「…。私…、どうしていいかわかんないよ」

公平:
「……」

清香:
「逃げ出したい気もするけど、1人になったらあの人が何をするかわからない。捕まって、そしたらほんとに殺されるかも」

公平:
「働いてんの?」

清香:
「…え、…多分」

公平:
「多分って…、はぁ…。しょうもない男に捕まったもんだ」

清香:
「ははは…、しょうもない…、か」

公平:
「そんなクズ男、さっさと捨てちまえ」

清香:
「そう…だねぇ…」

公平:
「…今のでイラッとこないなら、そこに情愛はないよ。…さっさと離れな」

清香:
「!……あぁ、そっか。私今、またカマかけられたのか…」

公平:
「はい、これ」

清香:
「これは…?」

公平:
「女性保護施設の連絡先」

清香:
「…」

公平:
「…要らないなら破り捨てな。ここで」

清香:
「…こーちゃん…。嫌な男だなぁ」

公平:
「…いい男の間違いだろ」

清香:
「私も、…警察学校、行けばよかったかなぁ…」

公平:
「……」

清香:
「やっぱりタバコ、一本もらってもいい?」

公平:
「お好きに」
(タバコの箱を渡す)

清香:
(ゆっくりとタバコを吸って、吐く)
「…、こーちゃん…。助けて…」

公平:
「…。これ、吸い終わったらな」

※※※

英雄:
「あ、公平さん」

公平:
「おや、英雄くんじゃん。なんだか久しぶりな気がするね」

英雄:
「受験が終わって、塾にいかなくなったので、あの時間に外にいることがなくなりましたね」

公平:
「そりゃそうか。で、どうだった?受験」

英雄:
「聞きます?」

公平:
「まぁ、社交辞令?」

英雄:
「お陰様で、…第一志望受かってました!」

公平:
「えっ!?」

英雄:
「えっ…って」

公平:
「だって、あのタイミングでD判定じゃなかった!?」

英雄:
「…まぁ」

公平:
「はー…。実はラッキーボーイだったりする?」

英雄:
「そんなことはないと思うんですけど…。それに、最終的には、C判定でしたし…」 

公平:
「Cって、運が良ければ受かる程度のあれでしょ…」

英雄:
「二人のお話を聴いて、気負いなく挑めたのが良かったのかなって思ってます」

公平:
「はー…、そういうものか」

英雄:
「ところで、公平さんって今勤務中ですか?」

公平:
「非番の時は制服着ないでしょ」

英雄:
「…昼も働いてるんですね」

公平:
「どういう意味かな…」

英雄:
「てっきり夜専門の警察官なのかと」

公平:
「そんなやつはいないよ」

英雄:
「そうなんですね…。やっぱり、世間知らずなんですね、僕」

公平:
「ん~、まぁ、ちょっとそうかもね?」

英雄:
「ところで、最近清香さんに会いましたか?」

公平:
「ああ…。遠くに引っ越したみたいだよ」

英雄:
「…、そうですか」

公平:
「ちょっとまってね…、…はい、これ」

英雄:
「なんですか?これ…、手紙?」

公平:
「預かってたんだ。次君に会ったときに、私の名前が出たら渡して欲しいって」

英雄:
「清香さんから…?」

公平:
「そ」

英雄:
「中身は…?」

公平:
「あいにく他人宛の手紙を読む趣味はないんでね」

英雄:
「…ええっと…、ヒロくんへ…」

清香:
『ヒロくんへ』
『こーちゃんから、私のことを心配してくれていたと聞きました。ごめんね。それと、ありがとう』
『ヒロくんがどれだけ気付いていたのかわからないけど、わたしは今、女性保護施設という場所にいます。安全です』
『防犯上の理由で、住所だったり、連絡先は教えられない規則みたい。だから、こーちゃんに手紙を託しました』
『どこから書けばいいのかわからないや』
『そして、ここでこのことを書く事自体が、もしかしたらヒロくんを傷つけてしまうのかもしれません』

『私は、小さい頃。父親からしつけという名の暴力を受けながら育ちました。テストの点数が悪かったら、誰かに不義理ふぎりを働いたら、父の機嫌を損ねたら』
『お母さんには私を守る力はなくて、出来ることと言ったら、父親を刺激しないように、機嫌を損ねないようにすることだけ』
『それでも中学に上る前には、お母さんは父親と離婚をしてくれて、私の家は安全になりました。でも、こころはそうではありませんでした』
『ある日どこかで、学力の遺伝の話と、低収入の家の家庭崩壊の話を聞いて、もし私が子どもを育てるのなら、決して、決して自分と同じような境遇にはさせないと誓い、勉強に打ち込むようになりました』
『そして、私はいい大学に学費免除で入学することが出来て、ここからの人生はきっといいものになる。そう思ってた』
『おかしくなったのは大学2年生の頃。今の彼氏と付き合い始めてから。彼は私と同じ特待生とくたいせいの1人で、そういった事もあって不思議な仲間意識があったんだと思う』
『はじめはとても優しくて、私のことを大切にしてくれていると感じたし、これなら、父親とお母さんの様にはならないと信じていました。でも、大学4年生になり、私が先に就職先が決まると、彼は不機嫌になることが増えていきました』
『いわゆる、就活のストレスだと、一時的なものだと思って我慢してたんだけど、これが間違いだったんだと思う。人は追い詰められたときに本性が出る。今となっては本当にそう思う』
『少しずつ不機嫌な時間が増えて、だんだん私を責めるようになり、次第には暴力を振るう様になった。ここ数年は、彼は日常的に暴力を振るうようになっていました。私は彼との関係を、出来るだけ刺激をしないように、機嫌を損ねないようにやり過ごす事が増えていった』
『それは、あれだけ嫌っていた父親とお母さんの関係性にほかならなかったの』
『こーちゃんが言うには、私はしょうもない男に捕まったんだって』
『特待生だって、勉強ができたって、立派な人になれるわけじゃない。どう過ごすか、誰と過ごすかの方が大切なんだよ』
『ヒロくんは、パートナーを悲しい顔にさせる様な男になっちゃだめだよ』
『あの時私に模試の結果を当ててくれてありがとう。立ち止まって話してくれてありがとう。こーちゃんに声を掛けられるきっかけを作ってくれてありがとう』
『二人に逢ったあの日から、私は救われて行きました。二人に会えたことで、私は這い上がる事ができそうです』
『もし、いつかどこかで再会することができたらそのときは、胸を張って生きていけるような私になって、二人にありがとうと伝えます』
三津谷清香みつやきよか
『P.S.ヒロくんの恋愛対象が男か女かわからなかったたので、パートナーと書きました。私は理解のある女です。えっへん』

英雄:
「…なんですか、これ」

公平:
「…中身は知らないよ」

英雄:
「公平さんは知ってたんですか」

公平:
「なにを?」

英雄:
「清香さんが、DVを受けていたって」

公平:
「…ああ…、知ってた。いや…、気づいていたよ」

英雄:
「そう、ですか」

公平:
「毎週のように出来る怪我、包帯を隠す仕草、怪我の原因を聞いたら視線を右上にそらしながら…。
これは人間が嘘を作るときの動作だね」

英雄:
「僕は、気づきませんでした」

公平:
「まぁ、いいんじゃない?別に…」

英雄:
「傷ついてる人が居て、それに気付けないって…、情けないですね…」

公平:
「違うよ。幸せな世界を生きてきたってことだ」

英雄:
「幸せな…世界?」

公平:
「知らないことに気づくのは難しいよ。大人でもね」

英雄:
「…」

公平:
「でも、もし後悔してるって言うなら、これから知っていけばいい。誰かを助けるのには、知識がいる」

英雄:
「これから…」

公平:
「君は知らなかっただけだ。知らなかったから気付けなかった。俺は知っていたから気付けた。違いはそれだけだ。なら、これから知っていけばいい。誰かが傷ついたことに気付く方法を、守る方法を」

英雄:
「…僕にもできますか」

公平:
「俺でもできた。確か、英雄くんは俺より頭良かったよな?」

英雄:
「…、サインコサインとか、虚数が使えても、人のこころはわからないです」

公平:
「それがわかってりゃ十分だよ」

英雄:
「…」

公平:
「君は何も悪くない。何も悪くないんだ。どれだけ後味が悪くったって、知らないことは、知らないんだよ」

英雄:
「…」

公平:
「でも、今日知れた。これからはきっと気付ける」

英雄:
「…はい」

公平:
「それが、大人になるってことだよ、…きっとね」

英雄:
「僕…、早く大人になりたいです…」

公平:
「…ゆっくりなればいいさ。今しかできないことをやって、今しか感じれないことをたくさん感じて。なんていうのは…、少しカッコつけすぎたか…?」

英雄:
「…カッコ、つけすぎですね…(笑)」

公平:
「はは、タバコ…、吸うかい?」

英雄:
「じゃあ…大人になったら、貰いに来ます。その時には一本、奢ってくださいね」
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