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第二章 落ちこぼれとエリート
結衣と失くし物③
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慌てて空を仰ぐと、夕日を背にして空を滑空している辰輝の姿があった。辰輝を運んでいるのは、彼の使い魔の一人、鴉天狗である。若い天狗であるが高位のあやかしに違いはなく、そんな鴉天狗と契約を交わすことができる辰輝の技量が窺える。
辰輝は危なげなく結衣の隣に着地し、鴉天狗は翼を羽ばたかせながら辰輝の後方に降り立ち、こちらの様子を窺っている。
「たっちゃ……た、辰輝くん。どうしてここに?」
「それはこっちの台詞や。俺は綻びの気配を感じて様子見にきただけや。そしたら結衣と鬼の小僧がおったんや」
「小僧と言うな、小僧が」
「あぁん?」
バチチ、と鬼丸と辰輝の間に火花が散る。やはり、どう言うわけかこの二人は馬が合わないらしい。
「ちょっと、今は喧嘩している場合じゃないでしょう? それぞれの仕事を終わらせましょう」
「あ? 仕事?」
結衣の言葉に怪訝な顔をする辰輝。結衣はここに至った経緯を簡単に説明した。
「はーん。なるほどなぁ……おもろい道具があったもんや」
辰輝は興味津々といった様子で毛糸の糸をクイクイッと引っ張ってくる。
「ま、話聞く感じやとこの社に綻びが生じとることは確かやな。黒田坊、記録しときや」
「御意」
辰輝の指示を受け、鴉天狗の黒田坊は胸元から巻物を取り出すと、シャッと広げてサラサラと筆を走らせた。
「さて、俺の仕事はこれで終いや。次はそっちの番やで」
どうやら見学を決め込んだらしく、辰輝は腕組みをして一歩下がった。お手並み拝見とでも言いたげな態度にムッとするが、結衣はため息をついて社の裏に回り込んで毛糸の先を辿る。
「鬼丸、ここみたい」
結衣が指差した先で毛糸がプツリと途切れている。結衣に綻びがもたらす空間の揺らぎを視認することはできないが、明らかに別の時空に毛糸が吸い込まれている。鬼丸も結衣の隣に立ち、糸が消えた場所に視線を向ける。
「間違いない。この先に掛け軸がある。糸はまだ動いているか?」
「うーん……あ、ちょうど止まったみたい」
結衣の手のひらの上にはすっかり小ぶりになった毛糸玉が乗っている。先ほどまでシュルシュルと糸が解けていたのだが、今は大人しく結衣の手のひらに収まっている。
「目的を達成したのだろう。結衣、糸をしっかり握っていろよ。俺の合図で思い切り引け」
「ん、分かった」
鬼丸に言われるままに残った毛糸を解いて手にしっかりと巻き付けて握り込む。鬼丸も毛糸を両手で握り、綱引きのような体勢をとる。
「いくぞ。さん、に、いち……今だ!」
「えいっ!」
鬼丸の声に合わせて勢いよく糸を引くと、クンッと手応えを感じた。勢いのまま後ろに下がっていくと、綻びから掛け軸の軸紐が現れた。
「出てきた!」
「このまま引っ張り出すぞ」
再び、「せーの」と息を合わせて糸を引くと、ひらりと掛け軸が飛び出してきた。
「やった! ……んん?」
探していた掛け軸を無事に見つけられた喜びが胸に湧き上がるが、結衣はとある違和感も同時に胸に抱いた。赤い毛糸が掛け軸に巻き付いており、糸の端はまだ向こう側に入ったままなのだ。
結衣と鬼丸は顔を見合わせ、掛け軸を丁寧に回収してから残る糸を引いてみた。すると、茶器や鍋、さらにはぬいぐるみまで綻びから飛び出してきた。
そういえば、清子は最近よく物が失くなると言っていた。もしやこれが全部そうなのだろうか。結衣は呆気に取られながらも一つ一つを大事に取り上げて状態を確認した。
「恐らく清子のものだろう。掛け軸と同じ匂いがする」
鬼丸が親指で鼻を押さえながら言うのだから間違いない。これは清子の失くし物だ。どれも古いものだが、とても状態がいい。きっと大事に大事に保管されてきたのだろう。
「あの狸の言うように、百々目鬼の仕業であれば合点がいく。奴らは想いの篭った品を収集する癖がある」
あやかしを惹きつけるほど大切にされていたものというわけか。本当に、清子の元に返すことが叶ってよかったと、結衣は心からそう思った。
清子の品々に思いを馳せていると、背後からパチパチと拍手が聞こえた。
「おー、見事や。綻びの修復は俺らに任しとき。今日見つけた綻びは明日まとめて閉じてまう。探して閉じるを繰り返せば、そのうちこの街から綻びは一掃されるっちゅうわけやな」
簡単そうに言っているが、複数の綻びをまとめて閉じる所業ができるのは、現当主を除けば、辰輝と亜衣ぐらいだろう。結衣には綻びを閉じるどころか見ることさえ叶わない。誰がどう見てもエリートと落ちこぼれだ。
現に、七緒の力に頼らなければきっと掛け軸を見つけることはできなかった。鬼丸や七緒の手助けなしには碌に依頼もこなせないのだと改めて痛感してしまう。
「あは……ありがとう」
辰輝の賞賛も素直に受け取ることができずに、どうしても笑顔が引き攣ってしまう。そんな結衣の様子に気づく様子もない辰輝は、考え込むように顎に手を添えた。
「しっかし、亜依の奴がやたらと結衣を隠世から遠ざけようとするもんで、よっぽど役立たずなんやろう思っとったわ。今の見てる感じ、そこまでキィキィ言わんでええと思うけどなあ」
その言葉にギクリと肩が強張る。亜衣に隠世に近付くなと釘を刺されてまだ数週間しか経っていない。今日のことが耳に入れば、きっとまた怒られる。あるいは、しばらく謹慎処分を受けることもあり得る。
「あ、あの! 今日のことは、亜衣には言わないでほしいの」
「はあ? なんでやねん」
胸の前で手を組んで懇願すると、辰輝は素っ頓狂な声を上げた。けれど、結衣の表情から切迫した気持ちを読み取ったのか、辰輝はため息をついて頭を掻いた。
「なんや、やっぱり厄介なことになっとるんやなあ」
「え?」
「ええ、ええ。こっちの話や」
ひらひら手を振られてはぐらかされてしまえば、それ以上は無理に追求できなかった。
「ええで。ここに結衣がおったことは内緒にしといたる。その代わり、今度パフェ食べに連れてってや」
「パフェ? そういえば、辰輝くん甘いもの好きだったよね」
想定外の条件に、結衣の緊張感も緩んで小さく噴き出した。面白くないのは鬼丸だ。目の前で主人がよその男と出かける約束を取り付けているのだから。
「俺も行くぞ」
「はぁ? おチビはお呼びやない」
「俺は結衣の使い魔だ。害虫から守るのも俺の役割だ」
「だーれーがー害虫や!」
「よく分かっているじゃないか」
やはりギャイギャイと言い合いが始まる二人を前に、(案外仲が良いのかも?)と思ってしまったのは内緒にしておこう。きっと両者全力で否定するに決まっているのだから。
辰輝は危なげなく結衣の隣に着地し、鴉天狗は翼を羽ばたかせながら辰輝の後方に降り立ち、こちらの様子を窺っている。
「たっちゃ……た、辰輝くん。どうしてここに?」
「それはこっちの台詞や。俺は綻びの気配を感じて様子見にきただけや。そしたら結衣と鬼の小僧がおったんや」
「小僧と言うな、小僧が」
「あぁん?」
バチチ、と鬼丸と辰輝の間に火花が散る。やはり、どう言うわけかこの二人は馬が合わないらしい。
「ちょっと、今は喧嘩している場合じゃないでしょう? それぞれの仕事を終わらせましょう」
「あ? 仕事?」
結衣の言葉に怪訝な顔をする辰輝。結衣はここに至った経緯を簡単に説明した。
「はーん。なるほどなぁ……おもろい道具があったもんや」
辰輝は興味津々といった様子で毛糸の糸をクイクイッと引っ張ってくる。
「ま、話聞く感じやとこの社に綻びが生じとることは確かやな。黒田坊、記録しときや」
「御意」
辰輝の指示を受け、鴉天狗の黒田坊は胸元から巻物を取り出すと、シャッと広げてサラサラと筆を走らせた。
「さて、俺の仕事はこれで終いや。次はそっちの番やで」
どうやら見学を決め込んだらしく、辰輝は腕組みをして一歩下がった。お手並み拝見とでも言いたげな態度にムッとするが、結衣はため息をついて社の裏に回り込んで毛糸の先を辿る。
「鬼丸、ここみたい」
結衣が指差した先で毛糸がプツリと途切れている。結衣に綻びがもたらす空間の揺らぎを視認することはできないが、明らかに別の時空に毛糸が吸い込まれている。鬼丸も結衣の隣に立ち、糸が消えた場所に視線を向ける。
「間違いない。この先に掛け軸がある。糸はまだ動いているか?」
「うーん……あ、ちょうど止まったみたい」
結衣の手のひらの上にはすっかり小ぶりになった毛糸玉が乗っている。先ほどまでシュルシュルと糸が解けていたのだが、今は大人しく結衣の手のひらに収まっている。
「目的を達成したのだろう。結衣、糸をしっかり握っていろよ。俺の合図で思い切り引け」
「ん、分かった」
鬼丸に言われるままに残った毛糸を解いて手にしっかりと巻き付けて握り込む。鬼丸も毛糸を両手で握り、綱引きのような体勢をとる。
「いくぞ。さん、に、いち……今だ!」
「えいっ!」
鬼丸の声に合わせて勢いよく糸を引くと、クンッと手応えを感じた。勢いのまま後ろに下がっていくと、綻びから掛け軸の軸紐が現れた。
「出てきた!」
「このまま引っ張り出すぞ」
再び、「せーの」と息を合わせて糸を引くと、ひらりと掛け軸が飛び出してきた。
「やった! ……んん?」
探していた掛け軸を無事に見つけられた喜びが胸に湧き上がるが、結衣はとある違和感も同時に胸に抱いた。赤い毛糸が掛け軸に巻き付いており、糸の端はまだ向こう側に入ったままなのだ。
結衣と鬼丸は顔を見合わせ、掛け軸を丁寧に回収してから残る糸を引いてみた。すると、茶器や鍋、さらにはぬいぐるみまで綻びから飛び出してきた。
そういえば、清子は最近よく物が失くなると言っていた。もしやこれが全部そうなのだろうか。結衣は呆気に取られながらも一つ一つを大事に取り上げて状態を確認した。
「恐らく清子のものだろう。掛け軸と同じ匂いがする」
鬼丸が親指で鼻を押さえながら言うのだから間違いない。これは清子の失くし物だ。どれも古いものだが、とても状態がいい。きっと大事に大事に保管されてきたのだろう。
「あの狸の言うように、百々目鬼の仕業であれば合点がいく。奴らは想いの篭った品を収集する癖がある」
あやかしを惹きつけるほど大切にされていたものというわけか。本当に、清子の元に返すことが叶ってよかったと、結衣は心からそう思った。
清子の品々に思いを馳せていると、背後からパチパチと拍手が聞こえた。
「おー、見事や。綻びの修復は俺らに任しとき。今日見つけた綻びは明日まとめて閉じてまう。探して閉じるを繰り返せば、そのうちこの街から綻びは一掃されるっちゅうわけやな」
簡単そうに言っているが、複数の綻びをまとめて閉じる所業ができるのは、現当主を除けば、辰輝と亜衣ぐらいだろう。結衣には綻びを閉じるどころか見ることさえ叶わない。誰がどう見てもエリートと落ちこぼれだ。
現に、七緒の力に頼らなければきっと掛け軸を見つけることはできなかった。鬼丸や七緒の手助けなしには碌に依頼もこなせないのだと改めて痛感してしまう。
「あは……ありがとう」
辰輝の賞賛も素直に受け取ることができずに、どうしても笑顔が引き攣ってしまう。そんな結衣の様子に気づく様子もない辰輝は、考え込むように顎に手を添えた。
「しっかし、亜依の奴がやたらと結衣を隠世から遠ざけようとするもんで、よっぽど役立たずなんやろう思っとったわ。今の見てる感じ、そこまでキィキィ言わんでええと思うけどなあ」
その言葉にギクリと肩が強張る。亜衣に隠世に近付くなと釘を刺されてまだ数週間しか経っていない。今日のことが耳に入れば、きっとまた怒られる。あるいは、しばらく謹慎処分を受けることもあり得る。
「あ、あの! 今日のことは、亜衣には言わないでほしいの」
「はあ? なんでやねん」
胸の前で手を組んで懇願すると、辰輝は素っ頓狂な声を上げた。けれど、結衣の表情から切迫した気持ちを読み取ったのか、辰輝はため息をついて頭を掻いた。
「なんや、やっぱり厄介なことになっとるんやなあ」
「え?」
「ええ、ええ。こっちの話や」
ひらひら手を振られてはぐらかされてしまえば、それ以上は無理に追求できなかった。
「ええで。ここに結衣がおったことは内緒にしといたる。その代わり、今度パフェ食べに連れてってや」
「パフェ? そういえば、辰輝くん甘いもの好きだったよね」
想定外の条件に、結衣の緊張感も緩んで小さく噴き出した。面白くないのは鬼丸だ。目の前で主人がよその男と出かける約束を取り付けているのだから。
「俺も行くぞ」
「はぁ? おチビはお呼びやない」
「俺は結衣の使い魔だ。害虫から守るのも俺の役割だ」
「だーれーがー害虫や!」
「よく分かっているじゃないか」
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