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第2章エクスプレス サイドB①魔窟の洋上楼閣都市/グラウザー編
Part11 ――変身――/呉川の不安
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センチュリーがベルトコーネの行動を必死の攻撃で阻止しようとしている傍らでは、グラウザーの2次武装装甲である『オプショナルアーマーギア』の装着プロセスが開始されようとしていた。
装着プロセス開始直前にG班が詰める研究室のモニターに、東京アバディーンからの街頭監視カメラからの映像が飛び込んで来たのだ。それは街頭施設に固定設置されているものではなく、警視庁が必要に応じて現場投入する非常用の望遠カメラドローンによるものである。洋上から数百メートルほどの距離を置いてグラウザーの姿を捉えているのである。
「これは?」
「グラウザーの現在映像ですよ」
「もしや? ディアリオか!」
大久保が問いかければ聞き慣れたディアリオの声が通信回線から届いてくる。
〔はい! 海上保安庁から緊急用の監視ドローンを1基拝借しました。東京アバディーンにあまり接近すると管理権限をハッキングされるのでこの辺がギリギリです〕
〔いや、望遠映像でも大助かりだ。このまま監視継続頼む!〕
〔了解です!〕
大久保がディアリオと言葉をかわしているその傍らで、G班研究室に駆け込んでくる人影が一つあった。長身の老齢の人物。その胸には第2科警研研究員主幹の肩書があった。
「大久保!」
その部屋に飛び込んできたのは呉川である。
「呉川さん?」
「新谷から連絡があってな。大急ぎで戻ってきたんだ。状況はどうなってる?」
大久保のすぐ背後に立つと多数並んだモニター・ディスプレイに映し出されるデータや映像に目を通して行く。
「はい、つい今しがたからディアリオの協力でグラウザーの現在映像を見ることができるようになりました。戦闘プログラムの自動起動の遠隔操作支援も成功、グラウザーの頭脳状況や自我意識をこちらからの支援で誘導することで、音声キーワードや幾つかの条件付けをリンクさせることに成功。これでいつでも自動装着プロセスに纏わる問題もクリアです」
自信ありげに満足そうに語る大久保には、成功への確信のほどが垣間見えていた。それを聞き、呉川も納得の表情で頷いていた。
「そうか! ついに成功したか!」
「はい、皮肉ですが、抜き差しならない状況を抱えた実戦に向かい合うことで、2次武装装着の必要性と戦闘プログラムであるBOシステム起動への強い動機が得られました。
それに加えて戦闘プログラムの起動トリガーをアイツの認識次第でいつでも起動可能な状態にまで引き上げることに成功しました。これでアイツの判断でいつでもBOシステムを作動させることができるようになります」
「よし! 最大の問題がまた一つ解決したな」
「はい、あとは――2次武装の自動装着プロセスが問題なく完了することを祈るのみです」
「うむ」
呉川も大久保の言葉にはっきりと頷いている。大久保は傍らの部下に問いかけた。
「懸案だった、人工脊椎システムと中枢頭脳部接続系統の余裕率はどうなってる?」
「余裕率は137%から落ちていません。負荷率も107%と安定します。このまま問題ないでしょう」
「よし、そのままモニタリングを継続してくれ」
「了解」
二人の会話に呉川が問いかける。
「余裕率? なにかあったのか?」
「どうやらグラウザーのやつ、ベルトコーネに相当強く頭部を打撃されたようです。自動回復は成功していますが、頭脳と脊髄の接続系統制御に若干の〝傷〟が残ってしまっているんです。バックアップ系統が問題なく作動しているんで今のところは問題ありませんが――」
「そいつぁまずいな――、この後の戦闘で問題が起きないといいが。脱出困難になる前に現状離脱と回収の方法を講じておこう。新谷に連絡して武装警官部隊の支援を取り付けさせよう」
「そうですね。私もそれがいいと思います」
「よし、そっちは任せろ」
「はい」
「――っと、なんだ? センチュリーも居るのか?」
「そのようですね」
モニター越しにセンチュリーの姿も映し出されている。だが、その時の彼の姿に呉川は驚きの声を上げたのだ。
「あの馬鹿! なんで戦闘用の防御装備を全部外してるんだ? ヘルメットも無しで丸裸じゃないか!?」
「たしか今夜のアイツの任務は潜入調査だったはずです。現地の人間に偽装するためでしょう」
「だからと言ってそんな状態でベルトコーネとやりあうなんぞ――いったい何考えてるんだ! 大久保ここは任せた、新谷に連絡してくるぞ」
「はい!」
センチュリーを手塩にかけて作り上げたのは呉川である。それ故にセンチュリーには日頃から何かと心を砕いてきた。それだけにモニター越しに見せられた綱渡りの状況に呉川も心穏やかというわけには行かないのだ。
足早にG班の部屋から出ると廊下でスマートフォンで新谷所長へと連絡を始める。大久保もその気配を感じながら、なおも中継映像とディスプレイされる各種データを注視し続けていた。いよいよグラウザーの変身プロセスが始まるのである。
装着プロセス開始直前にG班が詰める研究室のモニターに、東京アバディーンからの街頭監視カメラからの映像が飛び込んで来たのだ。それは街頭施設に固定設置されているものではなく、警視庁が必要に応じて現場投入する非常用の望遠カメラドローンによるものである。洋上から数百メートルほどの距離を置いてグラウザーの姿を捉えているのである。
「これは?」
「グラウザーの現在映像ですよ」
「もしや? ディアリオか!」
大久保が問いかければ聞き慣れたディアリオの声が通信回線から届いてくる。
〔はい! 海上保安庁から緊急用の監視ドローンを1基拝借しました。東京アバディーンにあまり接近すると管理権限をハッキングされるのでこの辺がギリギリです〕
〔いや、望遠映像でも大助かりだ。このまま監視継続頼む!〕
〔了解です!〕
大久保がディアリオと言葉をかわしているその傍らで、G班研究室に駆け込んでくる人影が一つあった。長身の老齢の人物。その胸には第2科警研研究員主幹の肩書があった。
「大久保!」
その部屋に飛び込んできたのは呉川である。
「呉川さん?」
「新谷から連絡があってな。大急ぎで戻ってきたんだ。状況はどうなってる?」
大久保のすぐ背後に立つと多数並んだモニター・ディスプレイに映し出されるデータや映像に目を通して行く。
「はい、つい今しがたからディアリオの協力でグラウザーの現在映像を見ることができるようになりました。戦闘プログラムの自動起動の遠隔操作支援も成功、グラウザーの頭脳状況や自我意識をこちらからの支援で誘導することで、音声キーワードや幾つかの条件付けをリンクさせることに成功。これでいつでも自動装着プロセスに纏わる問題もクリアです」
自信ありげに満足そうに語る大久保には、成功への確信のほどが垣間見えていた。それを聞き、呉川も納得の表情で頷いていた。
「そうか! ついに成功したか!」
「はい、皮肉ですが、抜き差しならない状況を抱えた実戦に向かい合うことで、2次武装装着の必要性と戦闘プログラムであるBOシステム起動への強い動機が得られました。
それに加えて戦闘プログラムの起動トリガーをアイツの認識次第でいつでも起動可能な状態にまで引き上げることに成功しました。これでアイツの判断でいつでもBOシステムを作動させることができるようになります」
「よし! 最大の問題がまた一つ解決したな」
「はい、あとは――2次武装の自動装着プロセスが問題なく完了することを祈るのみです」
「うむ」
呉川も大久保の言葉にはっきりと頷いている。大久保は傍らの部下に問いかけた。
「懸案だった、人工脊椎システムと中枢頭脳部接続系統の余裕率はどうなってる?」
「余裕率は137%から落ちていません。負荷率も107%と安定します。このまま問題ないでしょう」
「よし、そのままモニタリングを継続してくれ」
「了解」
二人の会話に呉川が問いかける。
「余裕率? なにかあったのか?」
「どうやらグラウザーのやつ、ベルトコーネに相当強く頭部を打撃されたようです。自動回復は成功していますが、頭脳と脊髄の接続系統制御に若干の〝傷〟が残ってしまっているんです。バックアップ系統が問題なく作動しているんで今のところは問題ありませんが――」
「そいつぁまずいな――、この後の戦闘で問題が起きないといいが。脱出困難になる前に現状離脱と回収の方法を講じておこう。新谷に連絡して武装警官部隊の支援を取り付けさせよう」
「そうですね。私もそれがいいと思います」
「よし、そっちは任せろ」
「はい」
「――っと、なんだ? センチュリーも居るのか?」
「そのようですね」
モニター越しにセンチュリーの姿も映し出されている。だが、その時の彼の姿に呉川は驚きの声を上げたのだ。
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「たしか今夜のアイツの任務は潜入調査だったはずです。現地の人間に偽装するためでしょう」
「だからと言ってそんな状態でベルトコーネとやりあうなんぞ――いったい何考えてるんだ! 大久保ここは任せた、新谷に連絡してくるぞ」
「はい!」
センチュリーを手塩にかけて作り上げたのは呉川である。それ故にセンチュリーには日頃から何かと心を砕いてきた。それだけにモニター越しに見せられた綱渡りの状況に呉川も心穏やかというわけには行かないのだ。
足早にG班の部屋から出ると廊下でスマートフォンで新谷所長へと連絡を始める。大久保もその気配を感じながら、なおも中継映像とディスプレイされる各種データを注視し続けていた。いよいよグラウザーの変身プロセスが始まるのである。
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