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第2章エクスプレス サイドA①リトルモーニング
PartⅠ今井かなえの場合/暖かな機械
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今井槙子が出立したのは午前5時半ごろだ。その後、今井の娘である〝かなえ〟が目を覚ましたのは6時半ごろになる。その今井母子が暮らしている家を管理しているホームオートメーションの〝マリアン〟は非常に有能なメイドのような存在だった。姿こそ見えないが、母である槙子と娘のかなえの仲を巧みに取り持ち、二人の親子関係を充実させる一助となっていたのである。
その日もかなえを目覚めさせるのはマリアンの役目だった。
まだうす寒い3月初めの早朝の家の中を、快適な室温へと上昇させる。
【室内空調管理、室温、22度へ】
そして、かなえの部屋のカーテンを開け、覚醒を促すメンタル音楽を流す。鳥のさえずりをベースとしたアルファ波ミュージックだ。
【起床音楽スタート、お嬢様、コンディションモニタリング開始】
音楽を流し室温を管理しながら、かなえの体調をチェックしていく。〝顔色〟〝汗〟〝体温〟〝咳〟――、子供の体調は変わりやすい。前日に元気でも夜のうちに容体が代わることは珍しくない。今井親子がこの家に住み始めてから、マリアンはかなえの急病をすでに何回も見つけている。そのたびに適切な処置がほどこされるので、症状が軽いうちに回復へと向かわせることができた。それ故に槙子も安心して娘の様子を見守ることができるのである。
【かなえお嬢様、コンディション異常なし】
その日も異変がないことを確かめると次の手順へと映る。マリアンはかなえに声をかけた。
「お嬢様、朝ですよ」
かなえの自室にあるモニタリングシステムから声をかける。一度目の声掛けで起きないことはいつものことだ。覚醒音楽のボリュームを少し大きめに上げる。そして、体温が僅かに上昇しているのを確かめながらベッドの上半身側をゆっくりと起こしていく。
「ん――」
ベッドを少し起こされた事が刺激になったのか、かなえは一度寝返りを打ちながら声を出している。反応を確かめながら、マリアンは再度声をかけた。
「かなえお嬢様、ご起床の時間ですよ。起きてください」
だが、かなえもなれたものだ。ブランケットを引っ張り上げ潜ろうとしながら訴える。
「あと、5分――」
「だめですよ。起きてください」
「やだ」
マリアンの訴えを拒否してベッドの下半分へとさらに潜っていく。今日はいつになく抵抗が激しい。
「起きていただけないのでしたら、強硬手段を採ります」
マリアンは宣言すると空調をコントロールする。
【エアコン冷房作動開始、強風、温度18度】
途端に部屋の中が真冬並みに冷え始まる。
「お嬢様、最後通告です。起きてください」
語り口は優しかったが、手段は強引だった。それも当然、寝起きの悪いかなえに対する対処法を決定しているのは母親の槙子なのだ。マリアンからのレポートを見てどの程度までならやっていいのかはとうの昔に指定済みなのだ。
初めは毛布の中でこらえていたが、それもムダな抵抗である。
「きゃー! わかったー! 起きる! 起きるからエアコンストップ!」
「本当に起床なさいますか?」
以前にも起きると言って出てこなかったことあるのだろう。マリアンもなかなかに意地悪だ。
「起きる! 起きるってば! ちょっとたんまー! かぜひくー!」
「了解しました。冷房を停止し、室温を回復します」
「もう! だんだんやり方が過激になる!」
「お嬢様が素直に起きてくださればいいのです」
「そりゃそうだけど……」
かなえはブツクサと文句を言いながらも、室温が回復し始めたのを確かめてベッドから這い出してきた。そして、眠い目をこすりながら告げる。
「おはよう、マリアン」
「おはようございますお嬢様。ただいまお着替えをご用意いたします、少々お待ちを」
「あ、先にトイレに入る」
「了解です。ではその間にご用意いたします」
「うん、お願いー」
かなえは女児用のピンクのネグリジェのままベッドから降りると自室から出て行く。それと入れ替わりに彼女の部屋に入ってきたのは、小型のワゴン型の宅内用のセグメントロボットだ。大きさは高さが80センチ程、長さが60センチ、幅が40センチほどだ。内部の上半分が荷物運搬用のカーゴスペースで、機体の左右に合計4本のマニピュレーターアームがある。機体上面には視聴覚カメラが2機備わっていて、それが愛嬌のある顔の役目をしている。
ワゴン型のセグメントロボットはホームオートメーションシステムと連動しながら宅内を動きまわり、文字通りマリアンの手足となって実作業を行う役目を担っている。機体の隅っこに花柄のパステルタッチのシールが何枚も貼られているのはかなえの仕業である。
セグメントロボットはかなえの自室内を動き回るとクローゼットや引き出しから、かなえの着替えを一通り準備し始める。コーディネートに関してもこれも槙子が指定した基準に基づきマリアンが判断したものである。
一通り準備できると、セグメントロボットは上面の蓋を開けて中のカーゴスペースにそれらを仕舞っていく。そして、トイレの前に移動して中のかなえへと告げる。
「お嬢様、お着替えがご用意できました。一階のリビングでお待ちしております」
だが、マリアンはこの間にもかなえのコンディションのチェックを行っている。トイレでの排泄行為のモニタリングをする事でそこから病気の予兆を読み取ることが出来るためだ。特にかなえには軽いアレルギーがあり毎日のコンディションチェックは欠かせない。かなえを一人にしておいても大丈夫だと判断したのはこのマンションに装備されているホームオートメーションの優秀さがあればこそである。
【排泄物チェックOK、形態、色、臭気、潜血、その他、異変なし】
異常が無いことをチェックしていればトイレの中から声がする。
「わかったー」
「それではお先に失礼いたします」
そもそも、このマンションは一つ一つのコパートメントが2階建て仕様になっている。1階がリビング/キッチン/バスルーム/洗面があり、2階が今井親子のそれぞれの寝室が二部屋にゲストルームが一つある。
マリアンはかなえの返事をたしかめると、セグメントロボットを小型エレベーターへと誘導する。そして、先回りセグメントロボットを1階フロアへと移動させた。着替えを準備し終えれば次は朝食、そして学校の準備だ。
やることは沢山ある。AIであるマリアンは特攻装警たちほどの高い自我やメンタルを持っているとは言いがたいが、それでも自分なりの価値観や自我を持ち合わせていた。そして、家主である槙子から託されている一人の少女の世話をすることに、マリアンがやりがいを感じている可能性は誰にも否定出来ないのだ。そんなマリアンはかなえにとって、もう一人の家族なのである。
そして、トイレを終えたかなえは階下へと降りていく。広いリビングのキッチンの近くにはテーブルセットがあり、テレビセットと向かい合うように、二人がけのソファーが設置してある。そのソファーの上には、今日の着替えが丁寧に並べられている。マリアンが準備したのだ。
「お着替えが用意出来ています。お着替えなさっている間に朝食をご用意しますね。お飲み物はなにかリクエストはございますか?」
「あ、コーヒー牛乳がいい」
「承知しました」
「おねがいね」
言葉をかわしてかなえが移動すると、マリアンは朝食を作り始めた。定番のトーストとスクランブルエッグをメインにした物だ。その調理の音を耳にしながらかなえは洗面所へと向かった。洗顔、歯ブラシと身だしなみを整えていく。そして髪の毛の手入れへと映る。かなえは髪が長いのだが、それをいつもポニーテールに纏めている。洗面台の片隅にはお気に入りのシュシュがいくつかしまってあり、ブラシで髪を整えると手慣れた手つきでポニーテールに仕上げていく。
そして身だしなみを整え終えるとリビングへともどりソファーへと向かって着替えを始めた。
丸首の長袖シャツにジーンズ地のオーバーオール。それにピンク系の柄物のソックスを合わせてある。かなえはそれを誰の手も借りずに自ら着替えている。それは母親たる槙子の方針であり、全てをホームオートメーションに任せるのではなく、かなえ自身の手で出来ることは自らやらせようとしている為である。かなえが自らの身だしなみを全て整え終える頃にはマリアンは朝食を一通り作り終えていたのだ。
「お嬢様、できましたよ」
「うん、今行くー」
明るい弾むようなやり取りの中で、かなえはテーブルへと向かった。
その日もかなえを目覚めさせるのはマリアンの役目だった。
まだうす寒い3月初めの早朝の家の中を、快適な室温へと上昇させる。
【室内空調管理、室温、22度へ】
そして、かなえの部屋のカーテンを開け、覚醒を促すメンタル音楽を流す。鳥のさえずりをベースとしたアルファ波ミュージックだ。
【起床音楽スタート、お嬢様、コンディションモニタリング開始】
音楽を流し室温を管理しながら、かなえの体調をチェックしていく。〝顔色〟〝汗〟〝体温〟〝咳〟――、子供の体調は変わりやすい。前日に元気でも夜のうちに容体が代わることは珍しくない。今井親子がこの家に住み始めてから、マリアンはかなえの急病をすでに何回も見つけている。そのたびに適切な処置がほどこされるので、症状が軽いうちに回復へと向かわせることができた。それ故に槙子も安心して娘の様子を見守ることができるのである。
【かなえお嬢様、コンディション異常なし】
その日も異変がないことを確かめると次の手順へと映る。マリアンはかなえに声をかけた。
「お嬢様、朝ですよ」
かなえの自室にあるモニタリングシステムから声をかける。一度目の声掛けで起きないことはいつものことだ。覚醒音楽のボリュームを少し大きめに上げる。そして、体温が僅かに上昇しているのを確かめながらベッドの上半身側をゆっくりと起こしていく。
「ん――」
ベッドを少し起こされた事が刺激になったのか、かなえは一度寝返りを打ちながら声を出している。反応を確かめながら、マリアンは再度声をかけた。
「かなえお嬢様、ご起床の時間ですよ。起きてください」
だが、かなえもなれたものだ。ブランケットを引っ張り上げ潜ろうとしながら訴える。
「あと、5分――」
「だめですよ。起きてください」
「やだ」
マリアンの訴えを拒否してベッドの下半分へとさらに潜っていく。今日はいつになく抵抗が激しい。
「起きていただけないのでしたら、強硬手段を採ります」
マリアンは宣言すると空調をコントロールする。
【エアコン冷房作動開始、強風、温度18度】
途端に部屋の中が真冬並みに冷え始まる。
「お嬢様、最後通告です。起きてください」
語り口は優しかったが、手段は強引だった。それも当然、寝起きの悪いかなえに対する対処法を決定しているのは母親の槙子なのだ。マリアンからのレポートを見てどの程度までならやっていいのかはとうの昔に指定済みなのだ。
初めは毛布の中でこらえていたが、それもムダな抵抗である。
「きゃー! わかったー! 起きる! 起きるからエアコンストップ!」
「本当に起床なさいますか?」
以前にも起きると言って出てこなかったことあるのだろう。マリアンもなかなかに意地悪だ。
「起きる! 起きるってば! ちょっとたんまー! かぜひくー!」
「了解しました。冷房を停止し、室温を回復します」
「もう! だんだんやり方が過激になる!」
「お嬢様が素直に起きてくださればいいのです」
「そりゃそうだけど……」
かなえはブツクサと文句を言いながらも、室温が回復し始めたのを確かめてベッドから這い出してきた。そして、眠い目をこすりながら告げる。
「おはよう、マリアン」
「おはようございますお嬢様。ただいまお着替えをご用意いたします、少々お待ちを」
「あ、先にトイレに入る」
「了解です。ではその間にご用意いたします」
「うん、お願いー」
かなえは女児用のピンクのネグリジェのままベッドから降りると自室から出て行く。それと入れ替わりに彼女の部屋に入ってきたのは、小型のワゴン型の宅内用のセグメントロボットだ。大きさは高さが80センチ程、長さが60センチ、幅が40センチほどだ。内部の上半分が荷物運搬用のカーゴスペースで、機体の左右に合計4本のマニピュレーターアームがある。機体上面には視聴覚カメラが2機備わっていて、それが愛嬌のある顔の役目をしている。
ワゴン型のセグメントロボットはホームオートメーションシステムと連動しながら宅内を動きまわり、文字通りマリアンの手足となって実作業を行う役目を担っている。機体の隅っこに花柄のパステルタッチのシールが何枚も貼られているのはかなえの仕業である。
セグメントロボットはかなえの自室内を動き回るとクローゼットや引き出しから、かなえの着替えを一通り準備し始める。コーディネートに関してもこれも槙子が指定した基準に基づきマリアンが判断したものである。
一通り準備できると、セグメントロボットは上面の蓋を開けて中のカーゴスペースにそれらを仕舞っていく。そして、トイレの前に移動して中のかなえへと告げる。
「お嬢様、お着替えがご用意できました。一階のリビングでお待ちしております」
だが、マリアンはこの間にもかなえのコンディションのチェックを行っている。トイレでの排泄行為のモニタリングをする事でそこから病気の予兆を読み取ることが出来るためだ。特にかなえには軽いアレルギーがあり毎日のコンディションチェックは欠かせない。かなえを一人にしておいても大丈夫だと判断したのはこのマンションに装備されているホームオートメーションの優秀さがあればこそである。
【排泄物チェックOK、形態、色、臭気、潜血、その他、異変なし】
異常が無いことをチェックしていればトイレの中から声がする。
「わかったー」
「それではお先に失礼いたします」
そもそも、このマンションは一つ一つのコパートメントが2階建て仕様になっている。1階がリビング/キッチン/バスルーム/洗面があり、2階が今井親子のそれぞれの寝室が二部屋にゲストルームが一つある。
マリアンはかなえの返事をたしかめると、セグメントロボットを小型エレベーターへと誘導する。そして、先回りセグメントロボットを1階フロアへと移動させた。着替えを準備し終えれば次は朝食、そして学校の準備だ。
やることは沢山ある。AIであるマリアンは特攻装警たちほどの高い自我やメンタルを持っているとは言いがたいが、それでも自分なりの価値観や自我を持ち合わせていた。そして、家主である槙子から託されている一人の少女の世話をすることに、マリアンがやりがいを感じている可能性は誰にも否定出来ないのだ。そんなマリアンはかなえにとって、もう一人の家族なのである。
そして、トイレを終えたかなえは階下へと降りていく。広いリビングのキッチンの近くにはテーブルセットがあり、テレビセットと向かい合うように、二人がけのソファーが設置してある。そのソファーの上には、今日の着替えが丁寧に並べられている。マリアンが準備したのだ。
「お着替えが用意出来ています。お着替えなさっている間に朝食をご用意しますね。お飲み物はなにかリクエストはございますか?」
「あ、コーヒー牛乳がいい」
「承知しました」
「おねがいね」
言葉をかわしてかなえが移動すると、マリアンは朝食を作り始めた。定番のトーストとスクランブルエッグをメインにした物だ。その調理の音を耳にしながらかなえは洗面所へと向かった。洗顔、歯ブラシと身だしなみを整えていく。そして髪の毛の手入れへと映る。かなえは髪が長いのだが、それをいつもポニーテールに纏めている。洗面台の片隅にはお気に入りのシュシュがいくつかしまってあり、ブラシで髪を整えると手慣れた手つきでポニーテールに仕上げていく。
そして身だしなみを整え終えるとリビングへともどりソファーへと向かって着替えを始めた。
丸首の長袖シャツにジーンズ地のオーバーオール。それにピンク系の柄物のソックスを合わせてある。かなえはそれを誰の手も借りずに自ら着替えている。それは母親たる槙子の方針であり、全てをホームオートメーションに任せるのではなく、かなえ自身の手で出来ることは自らやらせようとしている為である。かなえが自らの身だしなみを全て整え終える頃にはマリアンは朝食を一通り作り終えていたのだ。
「お嬢様、できましたよ」
「うん、今行くー」
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