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第2章エクスプレス グランドプロローグ
サイドBプロローグ 道化師は嗤う/来訪者・参上
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そしてディアリオが大戸島に命じられて写しだしたのは有る模式図だ。そこには架空の複数の組織がカラフルな円で示されている。
「そもそも、ガサクは明確な実態を持たない組織です。例えば、この模式図に示したように複数の組織が存在したとします。これらを仮に組織A、組織B、組織Cとします」
そして、それらの組織が架空の国家を示す色地図の上に配置されている。
「当然、これらの組織はそれぞれが拠点とするエリアや国家や都市に根を張り、そこから大きく動くことはまずありません。自らが支配域とするエリアを堅持し、それを拡大するように動く。時には互いが互いを攻撃し合い、あるいは利害関係から一時的に協力しあうことも有る。しかしそれらは本来一時的な利害に端を発する者でしか無い――はずでした。だが――」
そこにさらに描かれたのは3つの組織の間にまるで糊か接着剤かスライムの様に入り込む異物だった。それは活発に動く3つの組織の間でクッションの役割を果たしつつ巧妙に密着しているかのように見えた。
「そこに新たに姿を合した存在こそが“ガサク”です。彼らはこの図に示す通り、組織と組織の間に立ち、衝突と潰し合いを防ぐ役割をします。さらには、過剰に組織と組織が結びつくことを防ぐことすらする。また、さらにはそれぞれの組織同士が協力しあう必要が生まれた場合、それらを仲立ちして、やがては恒久的な相互交流関係を生み出すことすらやってのける」
その時、近衛が感想を口にする。
「なんだか、反社会組織の互助会の様な感じがしてきますな」
近衛の言い得て妙な表現に大戸島は頷いた。
「その表現は決して間違ってはいないと思います」
だが近衛もただ頷くだけではない。彼なりの疑問を指摘した。
「しかし、これらが事実だったとして、単に利益供与や組織間交流の仲立ちだけで、先ほどのリストに挙げられた名だたる組織と関係を結ぶことが本当に可能なのですか? 特に宗教的な違いや、民族間抗争のよる対立や反目は乗り越えることは不可能に近い。よほどの利益と究極的な目的でも無い限りは」
「いい質問です。いやむしろ当然の疑問でしょう。だが、ガサクはそれをやってのけた。なぜなら彼らには極めて強力な取引材料となる物が存在しているからだ。それを求めて今や世界中の反社会組織や犯罪性集団がガサクとのコンタクトを取ろうと躍起になっている。ガサクと取引できるのであれば多少の対立感情は眼をつぶるべきと言わんばかりに」
「では、その取引材料とは一体何なのです?」
近衛の問いに大戸島は一瞬沈黙する。だが会議場に集まった人々全員に目配せすると、はっきりとこう告げたのだ。
「アンドロイドの安価で確実な開発製造技術です」
沈黙が訪れた。誰もその次の言葉が言えない。驚きと、呆然と、恐怖と、多大な不安とが、集まった人々の脳裏を一瞬にして支配したがためだ。
「無論、製造技術にとどまらず、改造強化ノウハウのレクチャーやアドバイス、さらにはアンドロイド開発を用いた現金獲得手法の後押しまでやってのける。恐ろしいほどの技術力と組織浸透力です」
あってはならない事実だった。起きてはならない事態だった。それは日本警察が特攻装警という形でアンドロイドを導入することに成功した時から、同じことが犯罪者や反社会組織の側に起こることを誰もが強く懸念していたからに他ならなかった。大戸島はさらに続けた。
「加えて、昨年に起きた有明事件の一件が、アンドロイドによるテロが大都市部でのテロ犯罪に大変有効だと世界中に知らしめてしまった。しかも、それを成功させるにはそれなりの戦闘能力を持つアンドロイドが必要だということもです」
大戸島の言葉に近衛が語る。
「確かに――、ディンキー・アンカーソンのマリオネットの存在がもたらしたインパクトは非常に大きかった。高レベルな戦闘能力を持ったアンドロイドやロボットの需要が増えるのは、当然の流れといえるだろうな。しかし、そういった存在がそう安々と手に入るとは限らない。現に、ディンキー・アンカーソンの場合、ディンキー自身が優れた技術者であったと言う側面も影響して――」
近衛は慎重に言葉を選びながら語り続けたが、ある事実に気づいて言葉を失う。そして、おのれの中に湧いてきた不安を形にして大戸島に問いかけた。
「ま、まさか――!」
近衛は思わず立ち上がる。
「ディンキーと同等の物を『奴ら』も提供できるとでも?」
近衛が叫べば、大戸島は静かに頷き返した。
「近衛警視正の仰るとおりです」
降りかかる絶望的な事実のその重さに誰もが気づいていながら、それに対抗するべき言葉も手段も容易には思いつかない。だた、重苦しくこう告げるしか無い。
「なん……だと?」
ようやくに言葉を漏らしたのは近衛だ。そして、エリオットも言葉を漏らす。
「1年半前の成田……」
エリオットはその脳裏に思い出していた。子供に偽装したテロアンドロイドを含む偽装襲撃事件――そのあまりに陰惨で残酷な事件は日本国内のみならず世界中に衝撃を与えている。そしてそれ以来、類する事件は今なお世界中で続いているのだ。
絶句するエリオットを脇に見ながらアトラスは思わず天井を仰いだ。
「そう言う事か――、そう言う連中が世界中の反社会組織のスキルアップのためにせっせと動き回っていたってわけか! なるほど、どうりでディンキー・アンカーソンみたいなのが単独でも世界中でテロ活動を継続できたわけだ! そういうことか!」
会議場が徐々にざわめいていく。公安が大戸島を通じて明かした事実はあまりにも重いものだったからだ。そして、大石が皆が感じている驚きと恐怖を明確に言い切る。
「そんな危険な奴らがディンキー・アンカーソンをきっかけとしてこの国に入り込んでいるというのか? この日本に!?」
大石が叫ぶように問いかければ、大戸島ははっきり頷いた。
「その通りです。彼らはすでにこの国の中へと足を踏み入れようとしている。彼らの蔓延を阻止するためにはもはや、公安がどうとか刑事警察がどうとか、そう言った低レベルな対立をしている段階ではないのです! ここにお集まりの皆様にはどうかそれをご承知いただきたい!」
今現在、この国の治安が置かれている状況を突きつけられるに至って、公安への対立意識を露わにしている者など居るはずがなかった。誰もが大戸島に頷いていた。そして、組織犯罪対策4課の霧旗が、蒼白な表情でその場に立ち上がりこう告げたのだ。
「大戸島課長、それに公安の皆さん。この件に関してアンタたちの持っている情報を全て開示しておほしい。俺達も持っている情報はすべてオープンにする。これはもうマリオネット・ディンキーと言う単独テロリストをどうこうと言うレベルの話じゃない。この国の治安を守るためには最優先で取り組まねばならない問題だ。ぐずぐずしていたら有明事件みたいなのが日本中で頻発しかねない!」
霧旗の言葉に誰もが頷いていた。そしてこの場に姿を現している公安の人間の総意として、大戸島はこう告げたのだ。
「無論です。霧旗警視。これは一つの節目です。市民生活の保護を目的とする刑事警察と、国体の護持を目的とする公安警察、それが初めて同じ目的で行動する事となるのです。それを成し得なければガサクの問題は解決できない」
その言葉が告げられた時、誰ともなく立ち上がりながら叫び始める。
「異議なし!」
「異議なし!」
そして、会議場に集った全員が立ち上がった時、彼らの意思は一つにまとった。会議場が強い意志で一つに結ばれた時。不意に甲高くよく通る音で、何者かが〝拍手〟を始めたのである。
「そもそも、ガサクは明確な実態を持たない組織です。例えば、この模式図に示したように複数の組織が存在したとします。これらを仮に組織A、組織B、組織Cとします」
そして、それらの組織が架空の国家を示す色地図の上に配置されている。
「当然、これらの組織はそれぞれが拠点とするエリアや国家や都市に根を張り、そこから大きく動くことはまずありません。自らが支配域とするエリアを堅持し、それを拡大するように動く。時には互いが互いを攻撃し合い、あるいは利害関係から一時的に協力しあうことも有る。しかしそれらは本来一時的な利害に端を発する者でしか無い――はずでした。だが――」
そこにさらに描かれたのは3つの組織の間にまるで糊か接着剤かスライムの様に入り込む異物だった。それは活発に動く3つの組織の間でクッションの役割を果たしつつ巧妙に密着しているかのように見えた。
「そこに新たに姿を合した存在こそが“ガサク”です。彼らはこの図に示す通り、組織と組織の間に立ち、衝突と潰し合いを防ぐ役割をします。さらには、過剰に組織と組織が結びつくことを防ぐことすらする。また、さらにはそれぞれの組織同士が協力しあう必要が生まれた場合、それらを仲立ちして、やがては恒久的な相互交流関係を生み出すことすらやってのける」
その時、近衛が感想を口にする。
「なんだか、反社会組織の互助会の様な感じがしてきますな」
近衛の言い得て妙な表現に大戸島は頷いた。
「その表現は決して間違ってはいないと思います」
だが近衛もただ頷くだけではない。彼なりの疑問を指摘した。
「しかし、これらが事実だったとして、単に利益供与や組織間交流の仲立ちだけで、先ほどのリストに挙げられた名だたる組織と関係を結ぶことが本当に可能なのですか? 特に宗教的な違いや、民族間抗争のよる対立や反目は乗り越えることは不可能に近い。よほどの利益と究極的な目的でも無い限りは」
「いい質問です。いやむしろ当然の疑問でしょう。だが、ガサクはそれをやってのけた。なぜなら彼らには極めて強力な取引材料となる物が存在しているからだ。それを求めて今や世界中の反社会組織や犯罪性集団がガサクとのコンタクトを取ろうと躍起になっている。ガサクと取引できるのであれば多少の対立感情は眼をつぶるべきと言わんばかりに」
「では、その取引材料とは一体何なのです?」
近衛の問いに大戸島は一瞬沈黙する。だが会議場に集まった人々全員に目配せすると、はっきりとこう告げたのだ。
「アンドロイドの安価で確実な開発製造技術です」
沈黙が訪れた。誰もその次の言葉が言えない。驚きと、呆然と、恐怖と、多大な不安とが、集まった人々の脳裏を一瞬にして支配したがためだ。
「無論、製造技術にとどまらず、改造強化ノウハウのレクチャーやアドバイス、さらにはアンドロイド開発を用いた現金獲得手法の後押しまでやってのける。恐ろしいほどの技術力と組織浸透力です」
あってはならない事実だった。起きてはならない事態だった。それは日本警察が特攻装警という形でアンドロイドを導入することに成功した時から、同じことが犯罪者や反社会組織の側に起こることを誰もが強く懸念していたからに他ならなかった。大戸島はさらに続けた。
「加えて、昨年に起きた有明事件の一件が、アンドロイドによるテロが大都市部でのテロ犯罪に大変有効だと世界中に知らしめてしまった。しかも、それを成功させるにはそれなりの戦闘能力を持つアンドロイドが必要だということもです」
大戸島の言葉に近衛が語る。
「確かに――、ディンキー・アンカーソンのマリオネットの存在がもたらしたインパクトは非常に大きかった。高レベルな戦闘能力を持ったアンドロイドやロボットの需要が増えるのは、当然の流れといえるだろうな。しかし、そういった存在がそう安々と手に入るとは限らない。現に、ディンキー・アンカーソンの場合、ディンキー自身が優れた技術者であったと言う側面も影響して――」
近衛は慎重に言葉を選びながら語り続けたが、ある事実に気づいて言葉を失う。そして、おのれの中に湧いてきた不安を形にして大戸島に問いかけた。
「ま、まさか――!」
近衛は思わず立ち上がる。
「ディンキーと同等の物を『奴ら』も提供できるとでも?」
近衛が叫べば、大戸島は静かに頷き返した。
「近衛警視正の仰るとおりです」
降りかかる絶望的な事実のその重さに誰もが気づいていながら、それに対抗するべき言葉も手段も容易には思いつかない。だた、重苦しくこう告げるしか無い。
「なん……だと?」
ようやくに言葉を漏らしたのは近衛だ。そして、エリオットも言葉を漏らす。
「1年半前の成田……」
エリオットはその脳裏に思い出していた。子供に偽装したテロアンドロイドを含む偽装襲撃事件――そのあまりに陰惨で残酷な事件は日本国内のみならず世界中に衝撃を与えている。そしてそれ以来、類する事件は今なお世界中で続いているのだ。
絶句するエリオットを脇に見ながらアトラスは思わず天井を仰いだ。
「そう言う事か――、そう言う連中が世界中の反社会組織のスキルアップのためにせっせと動き回っていたってわけか! なるほど、どうりでディンキー・アンカーソンみたいなのが単独でも世界中でテロ活動を継続できたわけだ! そういうことか!」
会議場が徐々にざわめいていく。公安が大戸島を通じて明かした事実はあまりにも重いものだったからだ。そして、大石が皆が感じている驚きと恐怖を明確に言い切る。
「そんな危険な奴らがディンキー・アンカーソンをきっかけとしてこの国に入り込んでいるというのか? この日本に!?」
大石が叫ぶように問いかければ、大戸島ははっきり頷いた。
「その通りです。彼らはすでにこの国の中へと足を踏み入れようとしている。彼らの蔓延を阻止するためにはもはや、公安がどうとか刑事警察がどうとか、そう言った低レベルな対立をしている段階ではないのです! ここにお集まりの皆様にはどうかそれをご承知いただきたい!」
今現在、この国の治安が置かれている状況を突きつけられるに至って、公安への対立意識を露わにしている者など居るはずがなかった。誰もが大戸島に頷いていた。そして、組織犯罪対策4課の霧旗が、蒼白な表情でその場に立ち上がりこう告げたのだ。
「大戸島課長、それに公安の皆さん。この件に関してアンタたちの持っている情報を全て開示しておほしい。俺達も持っている情報はすべてオープンにする。これはもうマリオネット・ディンキーと言う単独テロリストをどうこうと言うレベルの話じゃない。この国の治安を守るためには最優先で取り組まねばならない問題だ。ぐずぐずしていたら有明事件みたいなのが日本中で頻発しかねない!」
霧旗の言葉に誰もが頷いていた。そしてこの場に姿を現している公安の人間の総意として、大戸島はこう告げたのだ。
「無論です。霧旗警視。これは一つの節目です。市民生活の保護を目的とする刑事警察と、国体の護持を目的とする公安警察、それが初めて同じ目的で行動する事となるのです。それを成し得なければガサクの問題は解決できない」
その言葉が告げられた時、誰ともなく立ち上がりながら叫び始める。
「異議なし!」
「異議なし!」
そして、会議場に集った全員が立ち上がった時、彼らの意思は一つにまとった。会議場が強い意志で一つに結ばれた時。不意に甲高くよく通る音で、何者かが〝拍手〟を始めたのである。
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