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幕間4:脱出行
幕間4-2:脱出行/永慶とエイト
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そんな会話を交わしている俺達の隣では、柳澤ってやつとエイトのおっさんが言葉をかわしていた。
湖のある方をむいて並んで立っている。その会話は落ち着いたもので、これからの手順について詰めているようだ。
柳澤が言う。
「それで、榊原のやつには交渉が成立したから具体的な引き継ぎの話し合いに移りたい――と伝えれば良いんですね?」
「あぁ、場所の指定とかは早急に段取りする。その上で場所と日時を明確にして伝えるんだ。曖昧な話だとすぐに疑ってかかるからなアイツは」
「――簡単には飛びつかないって事ですか?」
「そう言うこった。強欲の榊原の肩書は伊達じゃねえよ」
「面倒ですね」
「全くだ」
柳澤がため息をつけば、エイトもため息をついていた。
「だが――」
エイトは左の手のひらを開いて、右の拳を握りしめて両手を打ち付け合う。甲高い小気味よい音が響いた。
「今度こそ、ぶっ潰す。そのためにはうちのトップも連れて行く。流石にそこまでやれば礼二の野郎も本物だと信じるだろうさ」
「では――」
柳澤がメガネをフレームを右手の指先でそっと直しながら答えた。
「こちらもできるだけ格式高く対応します。前任者が同行すると言う事でうちの天龍のオヤジさんにも同席させる――と言う事で」
「上等だ。それで行こう」
二人がそんなふうにやり取りをしているときだった。
俺とエイトのおっさんの脳裏に飛び込んできた通信音声があった。
〔エイト、フォー――、聞こえるか?〕
そのとても落ち着いたバリトンの声はオレたちのリーダーである〝マルチアイのワン〟の物だった。俺は肉声を抑えながらネットに向けて即座に答える。
〔どうした? ワン?〕
〔何があった?〕
エイトのおっさんも答える。それに対してワンが明確に答えた。
〔――警察が接近している。すぐに脱出しろ〕
〔どこだ? 愛知県警か?〕
俺の問にワンが答える。
〔愛知県警と警視庁の合同だ。厳密には――〕
その言葉にエイトが自らの読みを重ねる。
〔――警視庁暴対4課、それと〝片目〟の野郎だな?〕
〔そのとおりだ、エイト〕
ワンは俺たちに言い含めるようにしっかりと告げた。
〔アンドロイド警察官・特攻装警のアトラスが同行している。間違いなく――エイト、お前対策だ〕
〔だろうな、やっこさんならそれくらいの読みは効かせているはずだからな〕
〔すぐに脱出しろ、健闘を祈るぞ〕
〔あぁ〕
ワンはオレたちとやり取りを終えると回線を切った。その段階から俺たちのさらなる死闘が始まることになるのだ。
湖のある方をむいて並んで立っている。その会話は落ち着いたもので、これからの手順について詰めているようだ。
柳澤が言う。
「それで、榊原のやつには交渉が成立したから具体的な引き継ぎの話し合いに移りたい――と伝えれば良いんですね?」
「あぁ、場所の指定とかは早急に段取りする。その上で場所と日時を明確にして伝えるんだ。曖昧な話だとすぐに疑ってかかるからなアイツは」
「――簡単には飛びつかないって事ですか?」
「そう言うこった。強欲の榊原の肩書は伊達じゃねえよ」
「面倒ですね」
「全くだ」
柳澤がため息をつけば、エイトもため息をついていた。
「だが――」
エイトは左の手のひらを開いて、右の拳を握りしめて両手を打ち付け合う。甲高い小気味よい音が響いた。
「今度こそ、ぶっ潰す。そのためにはうちのトップも連れて行く。流石にそこまでやれば礼二の野郎も本物だと信じるだろうさ」
「では――」
柳澤がメガネをフレームを右手の指先でそっと直しながら答えた。
「こちらもできるだけ格式高く対応します。前任者が同行すると言う事でうちの天龍のオヤジさんにも同席させる――と言う事で」
「上等だ。それで行こう」
二人がそんなふうにやり取りをしているときだった。
俺とエイトのおっさんの脳裏に飛び込んできた通信音声があった。
〔エイト、フォー――、聞こえるか?〕
そのとても落ち着いたバリトンの声はオレたちのリーダーである〝マルチアイのワン〟の物だった。俺は肉声を抑えながらネットに向けて即座に答える。
〔どうした? ワン?〕
〔何があった?〕
エイトのおっさんも答える。それに対してワンが明確に答えた。
〔――警察が接近している。すぐに脱出しろ〕
〔どこだ? 愛知県警か?〕
俺の問にワンが答える。
〔愛知県警と警視庁の合同だ。厳密には――〕
その言葉にエイトが自らの読みを重ねる。
〔――警視庁暴対4課、それと〝片目〟の野郎だな?〕
〔そのとおりだ、エイト〕
ワンは俺たちに言い含めるようにしっかりと告げた。
〔アンドロイド警察官・特攻装警のアトラスが同行している。間違いなく――エイト、お前対策だ〕
〔だろうな、やっこさんならそれくらいの読みは効かせているはずだからな〕
〔すぐに脱出しろ、健闘を祈るぞ〕
〔あぁ〕
ワンはオレたちとやり取りを終えると回線を切った。その段階から俺たちのさらなる死闘が始まることになるのだ。
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