3 / 10
第一章 ゲームスタート編
ケモナーの邂逅!
しおりを挟む
「おいでーっ! 怖くないよー」
できるだけ優しく声をかける。今までだったらばすぐに襲われてゲームオーバーだったが今は違う。なんたってスキルととっておきの物を手に入れたのだ。
「グルルル……」
いつぞやのやりとり、フロスが声をかけて狼が唸る。お互いに見合う。しばらくして痺れを切らした狼がフロスに襲いかかっていった。
「今だ! これでも食らえ!」
フロスはきびだんごを狼に食らわせる。瞬間、狼はぴたりと止まりフロスの足元へとゆっくりと向かって行って伏せをした。
「ふ……ふは……ふははははは!! 私は手に入れたんだ……手に入れたんだ!! モフモフを……!」
フロスが感激しているときびだんごを食べさせた狼が消えて、代わりに謎のアイテムが落ちる。
『アイテム【絆の指輪】を取得しました』
【絆の指輪】
テイムした魔物を指輪の中に仕舞う。HPがなくなった場合も自動的に魔物は仕舞われる。最大10体まで。
「よし! 出てきて!」
先程の狼が再び目の前に現れる。
「うーん……最大10体までか……慎重に選ばないとな」
フロスがそういうと、狼が少し悲しそうな顔をした。
「大丈夫大丈夫! お前は捨てないよ! と言うわけで……モフモフさせて?」
そう言うとフロスは返事を待たずに狼をモフりだした。
「ハア……ハア……た、たまらない……! この感触……! このモフモフ! まるで現実でモフモフしてるような……ハア……!!」
そこをちょうど一人の人間が通りかかった。そして彼がモフモフしている彼女を見て真っ先にしたのは……逃亡だった。後に彼はこう語る。
「恐ろしい……とんでもねえものを見ちまった……だが何故だ……幸せそうなあの笑顔を、そして気持ちよさそうな狼を見ていると『混ざりたい』って思っちまった。俺はもうダメかもしれねぇ……俺はもう……獣を殺せない……!」
ケモナー、それは伝染する……
◆
「さーて! 今日も新たなモフモフを探すぞー! おー!」
一人掛け声をやり今日もログインする。
「うーん……誰か誘おうかな……ま、いいか!後で考えとこ! それじゃ【召喚】ポチ!」
ポチとは昨日テイムした狼につけた名前だ。一世代前の名前だけどフロスはものすごく気に入っていた。
「それじゃポチ、モフモフさせて? あ、ついでに乗せて!」
するとポチは一声鳴いてフロスに背中を差し出した。
「よーし! それじゃしゅっぱーつ!」
フロスはポチの背中に乗り森を駆けていく。その手は常にポチをモフモフしていた。
「はぁー萌えるわぁー」
時折小声でこのようなことを呟きながら。
しばらく爽快に走っていると急に地面に穴が空いた。無論飛べるわけもないフロスとポチは穴に一直線。ただ幸いにもポチの上に乗っていたフロスはダメージを受けなかった。ただその代わり……ポチが瀕死になり指輪の中へと姿を消してしまった。
「ポチイイイイイイ!!」
ポチの姿が消えたのを見てフロスが叫ぶ。
「誰よ……こんな落とし穴作ったのは……絶対に許さないんだから!」
まともな魔法も覚えてない、レベル1なのでステータスも低い。それなのに彼女は薄暗い洞窟を一人歩く。全てはポチをこのような目に合わせたものへの復讐。彼女の心は復讐心で満たされていた。
洞窟には人っ子一人、魔物の一匹もおらず低ステータスのフロスでも順調に最奥に進めた、否、進めてしまった。そこにとてつもなく強大な死の権化が待っているとも知らずに。
できるだけ優しく声をかける。今までだったらばすぐに襲われてゲームオーバーだったが今は違う。なんたってスキルととっておきの物を手に入れたのだ。
「グルルル……」
いつぞやのやりとり、フロスが声をかけて狼が唸る。お互いに見合う。しばらくして痺れを切らした狼がフロスに襲いかかっていった。
「今だ! これでも食らえ!」
フロスはきびだんごを狼に食らわせる。瞬間、狼はぴたりと止まりフロスの足元へとゆっくりと向かって行って伏せをした。
「ふ……ふは……ふははははは!! 私は手に入れたんだ……手に入れたんだ!! モフモフを……!」
フロスが感激しているときびだんごを食べさせた狼が消えて、代わりに謎のアイテムが落ちる。
『アイテム【絆の指輪】を取得しました』
【絆の指輪】
テイムした魔物を指輪の中に仕舞う。HPがなくなった場合も自動的に魔物は仕舞われる。最大10体まで。
「よし! 出てきて!」
先程の狼が再び目の前に現れる。
「うーん……最大10体までか……慎重に選ばないとな」
フロスがそういうと、狼が少し悲しそうな顔をした。
「大丈夫大丈夫! お前は捨てないよ! と言うわけで……モフモフさせて?」
そう言うとフロスは返事を待たずに狼をモフりだした。
「ハア……ハア……た、たまらない……! この感触……! このモフモフ! まるで現実でモフモフしてるような……ハア……!!」
そこをちょうど一人の人間が通りかかった。そして彼がモフモフしている彼女を見て真っ先にしたのは……逃亡だった。後に彼はこう語る。
「恐ろしい……とんでもねえものを見ちまった……だが何故だ……幸せそうなあの笑顔を、そして気持ちよさそうな狼を見ていると『混ざりたい』って思っちまった。俺はもうダメかもしれねぇ……俺はもう……獣を殺せない……!」
ケモナー、それは伝染する……
◆
「さーて! 今日も新たなモフモフを探すぞー! おー!」
一人掛け声をやり今日もログインする。
「うーん……誰か誘おうかな……ま、いいか!後で考えとこ! それじゃ【召喚】ポチ!」
ポチとは昨日テイムした狼につけた名前だ。一世代前の名前だけどフロスはものすごく気に入っていた。
「それじゃポチ、モフモフさせて? あ、ついでに乗せて!」
するとポチは一声鳴いてフロスに背中を差し出した。
「よーし! それじゃしゅっぱーつ!」
フロスはポチの背中に乗り森を駆けていく。その手は常にポチをモフモフしていた。
「はぁー萌えるわぁー」
時折小声でこのようなことを呟きながら。
しばらく爽快に走っていると急に地面に穴が空いた。無論飛べるわけもないフロスとポチは穴に一直線。ただ幸いにもポチの上に乗っていたフロスはダメージを受けなかった。ただその代わり……ポチが瀕死になり指輪の中へと姿を消してしまった。
「ポチイイイイイイ!!」
ポチの姿が消えたのを見てフロスが叫ぶ。
「誰よ……こんな落とし穴作ったのは……絶対に許さないんだから!」
まともな魔法も覚えてない、レベル1なのでステータスも低い。それなのに彼女は薄暗い洞窟を一人歩く。全てはポチをこのような目に合わせたものへの復讐。彼女の心は復讐心で満たされていた。
洞窟には人っ子一人、魔物の一匹もおらず低ステータスのフロスでも順調に最奥に進めた、否、進めてしまった。そこにとてつもなく強大な死の権化が待っているとも知らずに。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
父(とと)さん 母(かか)さん 求めたし
佐倉 蘭
歴史・時代
★第10回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
ある日、丑丸(うしまる)の父親が流行病でこの世を去った。
貧乏裏店(長屋)暮らしゆえ、家守(大家)のツケでなんとか弔いを終えたと思いきや……
脱藩浪人だった父親が江戸に出てきてから知り合い夫婦(めおと)となった母親が、裏店の連中がなけなしの金を叩いて出し合った線香代(香典)をすべて持って夜逃げした。
齢八つにして丑丸はたった一人、無一文で残された——
※「今宵は遣らずの雨」 「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-
半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる