婚約破棄で絶望しましたが、私は愛し愛される人に出会えて幸せです

腹鳴ちゃん

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認識、すなわち逃亡

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なに、この光。

光はハウンドさんのところに向かっていき、私はハウンドさんの傷口が塞がっていくのが分かった。


まだ体がぽかぽかする。予想外な出来事に動けずにいると、先ほど家に侵入してきたであろう人物が視界に入った。


待って

見てはだめ


見ては…


何故か警戒心が見てはいけないと言っているような気がしたが、思わずしっかり見てしまった。



あなたは……!!



憎悪がこみ上げる

ここから逃げなくては


私はまだぐったりとしているハウンドさんを巧みな風魔法で浮かせ、呼び止められたが無視して走った。


自身にも、浮上したハウンドさんにも風魔法をさらにかけ、走る速度を最大限まで上昇させた。


走れ

走れ

絶対に捕まりますもんか


私は無我夢中で走る中、この世界に来る前の精霊様とのやりとりを思い出した。


"困ったことがあったら、精霊の森においで......"

確かにそう聞いた。

あてもなく森の中を走っていたが、なんだか精霊様に導かれているような気がしていた。

(このまま走れば大丈夫。そんな気がするわ)


それから30分ほど走っただろうか、濃い霧に覆われているところを見つけた。
(おそらくあそこが入り口ね。風魔法で無駄に体力を消費せずにすんで、良かったわ。)


さすがに精霊の森には招かれざる者は入れない。

追っ手を心配する必要がなくなったことに安心した私はとりあえず、濃い霧の中に少し広くなったような場所を見つけた。

そこで、だんだん回復してきていたハウンドさんとしばらく休憩することにした。


休憩するつもりが寝てしまっていた私は、目の前に佇む男がいることに気がついた。



ーーーー

一方その頃、取り残されたもの達がいた。


「オクタヴィアン様、」
側近はあえてそう呼んだ。

「っっ。その名で呼ぶな。今はリオネルだ。」

「失礼致しました。しかし、よろしかったのですか?」

「ああ、良いんだ。」
皇太子は苦しそうに笑う。

「左様ですか。では、御命令は取り消しに?」

「そうだな。そうするよ。私は大きな過ちをしてしまった。光の巫女があの方だと分かってしまったのに追うことなどできない。」

「かしこまりました。」

(君の魔力は相変わらず高潔で美しいな。
君に会えてよかった。でも僕が君を幸せにする資格なんてない。
愛していたよ、フロリアーヌ。)

そう心の中で告げ、去っていった男は、寂しそうであって満足しているように見えた。
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