婚約破棄で絶望しましたが、私は愛し愛される人に出会えて幸せです

腹鳴ちゃん

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記憶

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やっぱり聞いたことのない話だ。
でもこれ どこかで……

警鐘を鳴らすように頭がガンガンする

「子供に読み聞かせするには残酷なお話ね」

内容が内容だけに読み聞かせられる子どもたちを想像して心配になった。

「たしかに、でもこれは一種の教育として必要なことなんだ。」

教育とは?

「どういうこと?」

「つまりね、これは同じ悲劇を繰り返さないための教訓で、結婚する人や家族には愛情表現をたっぷりして悲しませないことを幼いころから教えられるんだ」 

というか、このお話はなんなの…? 私に関係あるの?
さっきから頭痛が収まらない。
私は頭に手をあてながら、話を聞く。

「ちょっテレーサちゃん、大丈夫?!」
ハウンドさんがあせったようにこちらをみる。

「大丈夫だから。お話聞かせて?
さっき実話だって言ったけれど、その国は今どうなっているの?」
魔女という非現実的な話が気になった。

「ほんと? 気分悪くなったらすぐ言ってね?
僕もよく分からないんだけど、その国は魔女の件で崩壊しそうになってたところをここシュタウヘンベルクが制圧したらしい。だから、今はもうないんじゃないかな」

なるほど、吸収されたのかー
そうか、ハウンドさんそれで私に可愛いや好きをたくさんくれるんだ。
にしても、そんなことが。信じていた人に裏切られることほどつらいものはないだろうな…

「辛かったわ。」

「え?」
ハウンドさんが目を丸くする。

ん? 私今自分のことみたいに話した?
なぜか分からないが胸の奥がズキンと痛んだ。

「いや、そのご令嬢の話よ。私だったら絶対嫌だなーと思って」

へへっとごまかすように笑う

「ふふ、そうだね。
そういえば、この国の皇太子様が光の巫女を捜しているらしいよ」

「光の巫女?」

なんでも、神託が下ったらしい。
年月が経つにつれて、魔法を使える人が昔と比べて激減しているのだが、その中でももっとも珍しい光属性の魔力を持った巫女が現れたと。
光属性の魔力を持つ者は千年に一人現れるか現れないかで、今回の神託で王家は躍起になって捜しているのだとか。

まあ、私には無縁な話だし、それよりも何でも丁寧に説明してくれるハウンドさんのことを愛しく感じた。

ーーーー


ドンッドンッ  ドンッ

乱暴に戸を叩く音が聞こえた。
私たちは今日お家デートをしている真っ最中だった。

「なんだろう…」
今にも蹴破られそうな様子に不安になる。

「僕が出てくるよ」

「分かった。気をつけてね。」

やはり心配だったので、こっそり玄関の様子を見る。


ガチャッ
「どなたで「ここに若い女性はいないか」」
入ってきたのは王家のシンボルマークの服を着た騎士だった。

びっくりして出てきた私と、その騎士とばっちり目が合った。

「お前か。皇太子の命令だ。一緒に来てもらう。」
いやいや、人の家にずかずか入っといて礼儀のかけらもないな。
皇太子がなんだ。あまりにも失礼な態度に腹が立ち、すぐに断ろうとした。

「テレーサちゃんに何をするおつもりですか。」
私を庇うようにして立つハウンドさん

「邪魔だ、平民無勢が。」

そして


躊躇なく騎士がハウンドさんに向かって


その念入りに手入れされているであろう剣を





ふりかざした










その瞬間全ての動作がスローモーションのように見えた

なに、するの


わたしの だいじなひとに


どさっと倒れたハウンドさんを慌てて抱きかかえる


噴き出す血で頭が真っ白になる


やめて やめて


ハウンドさんをたすけて





《思い出して》




《思い出して、あなたの本来の力を》



「はぁ、はぁっ はぁっ。テレーサちゃん」
ハウンドさんが苦しそうにこっちを見る

「僕はもうだめかもしれない…
最期に……愛してるよ」





だれかがきた。でもそんなことはどうでもいい。
「おい! なにをしているんだ!」

許さない

「この者が抵抗したので仕方なく…」

「だからと言って切る必要はないだろ!!」

「も、申し訳ありません!」



うるさい




「助けてハウンドさんを」


「ハウンドさんを助けたい」


そう願った瞬間、

からだが熱くなり、何かが私の周りを照らした。

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