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龍星本山編

白マフィア運動会 part8

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「ところで、アンタ名前なんて言うのよ?」

「俺の名前?聞いてどうすんの?」

「なんて呼べばいいか分からないから聞いてんでしょうが。」

(うーん、こっちで言うとこの名前ってコードネームの方だよな。申請もそっちで出してるし。)

「アルハゼン田中。」

「、、、は?」

「だからアルハゼン田中。」

「何そのふざけ散らかした名前。誰が決めたわけ?まさか自分で決めたとか言わないわよね?」

「なわけあるか。くじ引きで決まった。てかお前の名前だって人のこと言えないだろ。」

「どこがよ?アイドルらしい完璧な名前じゃない。」

「お前、40代とかそこらの人?」

「う、うっさいわね!」

「おっとぉ、前方に大規模集団、出現! どうする!?」

「構わないわ。轢き殺しなさい。」

「ラジャー!」

緑色の挽肉があちらこちらに撒き散らされる。

「段々と出現頻度が多くなってきたな。これ、もうそろそろ親玉とご対面できるんじゃないか?」

「いい? 殺しちゃだめだからね、しっかり取るもん取ってから殺すのよ?」

「ん?あれって。」

黒いフードを被った少年がしゃがんで地面に何かを埋めている。

「ねぇ~そこの君ー!ちょっとこっち向いてくれなーい?」

雲母星が卓郎への態度とあからさまに違うテンションで声をかける。

(あぁ、アイドルモード的なスイッチが入ったわけね。切り替え早いな。)

「・・・」

そのフードの人物は一度こちらに目を向け一通り見終えると、一目散に逃走した。

「アレ捕獲するわよ。」

「ラジャ、そんじゃ出発進行。」

必死に逃げるフード姿の少年。

「大人しく投降しなさーい。今ならフレアちゃんとの握手券もつけてあげるわよー。」

「ほらほら、さっさと走んねーと轢いちまうぞー。」

そして緑色の液体まみれのステージに乗りながら後ろから脅しをかけ続けるDQN二人組。

光景はまさに世紀末である。

「ふぃぃ はぁ、はぁ。」

しかしそれも長くは続かないだろう少年の息は絶え絶えであり、いつ足が止まってもおかしくなさそうな様子だ。

「余裕ね。」

「だな。この際、親玉がアレじゃなかったとしてもアイツの内臓とか売って金に変えちまうとかどうだ?」

必死に逃げる少年に反して、この男は自分に矛先を向けないことに必死であった。

すると突然、少年は立ち止まり此方の方を向く。

「あら、もう降参ってことでいい?」

「黙れ女。」

これまで一言も発しなかった少年が初めて口を開く。

「ねぇボクー?そんな口を聞けるような状況にいないの分かってるかなー?」

「それはこっちのセリフだ。」

少年はスマホを取り出し何かを打ち込む。

「Order  : Restraint 」

そう少年が呟いた瞬間。周りの木々に絡みついていた蔦が急成長を始めステージに絡みついてくる。

「ちょっと、どうなってんの? 」

「嘘だろ、エンジンすらかけられねーんだけど。」

あっというまにステージ全体は蔦に絡め取られてしまう。

「時間だ。目覚めな。」

すると少年の足元から見慣れた緑色の生物が姿を表す。

「やっぱりそうだったか。」

「請求先けってー。」

「ん?コイツを見ても驚かないとは、既に交戦後だったのか。」

エイリアンどもがステージに向かって突撃してくる。

「これはマズイぜぇ。」

「アレはアンタに任せたわよ。私はあの不審者をとっ捕まえてくるから。」

「無理。俺アイツらに勝てない。」

「はぁ!?」

「だからお前みたいな頭の悪い女と一緒に行動してたんだよ! あぁ、なんで共鳴せし恋の暴走戦車マッハスピードでぶっちぎる想いは失恋の涙をも溶岩に変えるぜベイベーだけパクってコイツ捨ててこなかったんだろ。」

「今聞きづけならないことが聞こえたんですけどー?」

「黙れ産廃野郎。」

互いの胸ぐらを掴み合っていがみ合う二人。

彼らは物事には優先事項という概念があることを知らないのだろうか。

「コイツは“プラント男“って言ってな。オレの研究による産物だ。
スゴイだろ?こういう風に種を埋めて待っていれば兵隊が生えてくる。それもよっぽど人間なんかよりも強い奴らがな。

そしてコイツらの最も優秀な点は電波を通じて指示ができるということだ。つまりオレの思うがままってこと。」

コイツもコイツで一人でドヤっていた。

「「あ?なんか言ったかぁ!?」」

「聞けよ!?」

「てか、プラント男ってコイツ植物なのか?」

「あぁ。」

「そんで種植えたら生えてくんの?」

「そうだが?それがどうした?」

「それまるっきり“サ○バイマン“じゃん。」

何も言えなくなるフードの少年。無言でスマホを弄り出す。
そして、、

「Order :  KILL」

その指示が出された直後、プラント男達がステージに飛びかかってくる。

「馬鹿が!大体、あからさまな逃走に対して罠の可能性があることも考慮できない奴らにオレの研究は理解できまい!」

しかし、それは爆音とともに吹き飛ばされる。

「雲母星、お前、、、。結構当たんじゃねぇか、、、。」

雲母星はいつのまにかマイクを取り臨戦体制を取っていた。
彼女のおかげでステージへの上陸は防げたようだ。

「音程とか音量とか調節すればある程度の操作はできるのよ。
そんなことより、アルハゼン田中、協力しなさい。」

「お願いだからアルハゼンだけにしてください。結構マジな感じで。
なんだ?」

「アンタじゃプラント男?っての倒せないんでしょ?そして私はステージ上の相手には何もできない。アンタも気づいてるでしょ?インパクトスピーカーには抜け道が存在する。
だから、そこを死ぬ気で守りなさい。」

「いや待て。結局俺が危険に晒されることに変わりなくないか?」

「うっさいわね。二人仲良く惨殺されるのと大怪我で済むかもしれないの、どっちが良いかなんて一目瞭然でしょ?」

「俺、ボコられる前提で話進めないで!?」

「早く決めろや、ボケ!」

「わーったよ、守りますよ。守りゃいいんでしょ、、、。」

そう言ってステージ上から飛び降り、挑発するかのように堂々と立つ卓郎。


「マジで攻撃面は任せたぞ。」

「任された。」

次々と辺りの地面から生えて突撃してくるプラント男達を躱し、投げ、時に攻撃を受け、ステージへの道を守る卓郎。

その後ろでは少しでも負担を減らすために精一杯歌い続ける雲母星。


(マジで柊さんの訓練受けてなかったらヤバかったかもな、、。)

ずっと柊からイジメ抜かれていた卓郎は見様見真似ではあるが投げ技の一つくらいは使えるようになっていた。

投げられたプラント男どもは次々と雲母星のインパクトスピーカーの餌食となっていく。

しばらくするとプラント男の出現が止む。

「チッ、もっと手元に残しとくべきだったか。」

「おーおー?もう品切れですかぁ? そんじゃこっからは永遠に俺のターン!」

「そんなボロボロの状態でオレに勝てるとでも?」

フード少年が構える。

卓郎が近づき顔めがけてストレートパンチを放つ。

しかし、少年はそれを受け止める。

少年の動きが止まる。

「い、痛てぇ、、、。」

プルプルと震え出す少年。

「「え。」」

彼はそのまま膝をつき、まるで致命傷を負ったかのようなか細い声で降伏宣言をし始める。

「オレの負けだ、、。いいぜ今回は見逃してやるよ。さっさと行け、オレは棄権する。絶対勝てよ。」

「「・・・」」

「何が絶対勝てよだぁ?テメェのせいで俺は死にかけてんだぜ?お前も死ぬ覚悟できてんだよなぁ?」

「ねぇ、ボクぅ?ボクのおうちはお金持ちかなぁ?とりあえず1ヶ月以内に300万ちょい用意できるかなぁ?」

「は?は?待ってくれ、いったいどういうことだ?なんで300万? そんな金あるわけないだろ!?」

困惑する少年。まぁそれも仕方ない。彼は何があったか把握していないし、把握していたとしても彼に罪はないのだから。

「いやぁ、どうします雲母星さぁん。このガキ、シラを切るみたいですぜぇ。」

「これは内臓ルートかしらねぇ。アルハゼン?アンタ、知り合いに人身売買のプロとかいない?」

「調べておくわ。」

「ちょっと待て!オレは確かにお前らを追い詰めたかもしれない!だけど、だけど正当防衛だろ!
オレはただ叫んでたアホを狩ろうと思ってコイツらを放っただけなんだ!その過程でアンタらの邪魔をしたのは謝る。
でもこの出来事の発端はソイツにある!」

「んなことは関係ねぇだろうがよぉ?てか、その叫んでた奴がどいつかお前は分かってんのかよ?この場に今すぐ連れてこれんのか?
あぁ?」←その叫んでた奴

「そ、それは、出来ない、、。」

「ならしっかり落とし前つけねぇとなぁ?ねえ雲母星さん?」←ライトを壊した張本人

「えぇ、じゃあまずこの契約書に名前書いてもらえる?」

ニコォと笑い、手書きの契約書を少年に渡す雲母星。メモ用紙いっぱいに数え切れないほどに内容が詰め込まれている。抜け目のなさはピカイチだろう。

その時、木々が騒めき何かが上から落ちてくる。

「何!?」

「んだこりゃ?人か?」

落ちてきたのはボロボロになったクノイチ。

「あぁ、コイツ俺知ってるわ。ラブホの名前みたいな名前したキャバクラの刺客だ。」

そう、今落ちてきたこの少女は現在ハピネスクラブと野畑を賭けて争っているティアラNY所属の“影走 葵“である。

「何よそれ?アンタ、脳内整理能力死んでるんじゃないの?」

突如、影走が大声で叫ぶ。

「逃げろ!今すぐに!奴が来る!そして命令だ。私を助けろ!」

あまりの気迫に固まる一同。

しかし、その警告の意味をすぐさまに知ることとなる。

「みぃつけたぁ。」

空から黒髪の男が降ってくる。

「はっはっは、4匹に増えてやがる。」

その男は異様な雰囲気を出していた。真っ赤なレインコート姿というのもそうだが手に持っている巨大なナタがそれを引き立たせている原因であろう。

「これは、、。」

「あ、、、。」

場が固まる。

「えぇ?ノーリアクション?ガッカリだぜ。最近は街灯も増えちゃって通り魔とかも都市伝説になってるもんなぁ。しょうがねぇか。」

「「・・・」」

「ちょっ、ガチで知らない感じ?昔は俺の顔から名前まで全国放送されてたってのになぁ。雨垂 蓮 アマダレ レンって言っても分からないよねー。」

ピッ

「Order  : Restraint  the highest」

蔦が雨垂と名乗る男に絡みつく。

「おぉ!?」



フード少年の掛け声により全員が走り出す。

「走れ!足を止めるな!」

「誰が止めるかよ!ってなんでお前そいつ連れてきてんだよ!」

「だって、この子置いてく訳にはいかないじゃない!ってか持ちなさいよ男ども!」

「はぁはぁ、オレは、肉体派じゃないんだ、、。誰か、おぶって、、。」

「じゃあなフードくん。」

「オレの指先一つでお前らのこの先が決まるんだぞ、、。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ったくしゃーねーな!」

「うるさい、喋ってないで走れ。」

「流石にもうそろそろ止まっていいんじゃないの?」

「俺もそうして欲しい!さすがに人をおぶって走り続けられるほどっ、タフじゃねぇ!」

「まだダメだ。もっと遠くへ、奴は桁違いだ。」

「荷物の分際で指示すんなや!コスプレっ娘が!」

「ああああ!共鳴せし恋の暴走戦車マッハスピードでぶっちぎる想いは失恋の涙をも溶岩に変えるぜベイベー置いて来ちゃったじゃない!?最悪よぉ!えぇ、壊されてたらどうしよう?滅茶苦茶気になる!」

「それよりも今は逃げること優先。」

「るっさいわ!インキャ植物オタク!」

「インキャっ、、。オレはい、いんきゃじゃない!?」

仲良く?おしゃべりしながら走り、逃げるバカ4人。特に卓郎は何も学習していなかったようだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あーあー逃げられちったなぁ。よっと!」

蔦が一瞬にしてバラバラになる。

「あいつらはバカかぁ?声がここまで届いてんじゃねぇか。ハッ さぁてバラシに行きますかっ。」




続く














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