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龍星本山編
九話 キーラ 対 杏 デュエルスタンバイ
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〈8話の続きです。〉
スーツ姿の清嶺地先輩と柊さんが向かいあう。
「では、二人とも用意はいいですかー?」
頷く二人。
「行きますよー。レディ、ファイトッ!!」
掛け声とともに清嶺地先輩が大きく後ろに跳び下がり柊との間合いを取る。
それに対し、柊はその場から動かず棒立ちで左右にブランブラン揺れながら笑っている。
その仕草に多少警戒したのか先輩もその場でポンポン跳びながら柊のことを見ている。
側から見たら、この二人大変に不可解である。特に柊がキモい。これ、小さい子が見たら下手したら泣くぞ?
そのとき清嶺地が唐突に動き出した。
跳躍からの着陸とともに柊へと突撃する。
柊は避けようとせずにその場に留まる。
柊は防御の必要性を説いていたし、あえて受け止めようとしているだろう。ということは柊には先輩を受け止める自信があるということか!?
しかし、清嶺地の体は柊の真横を通りすぎ、
ドンッ
体を急回転させて地面に着地、その勢いを活かして背後からの重い一撃。
となるはずだった。
柊の体が半身ほど捻られ、清嶺地の体が空中に投げ出される。
「ッカッ!!!」
その隙を逃さず、柊が肘を上から突き落とし先輩を床に叩き落とす。
どういうことだ、先輩の発勁は確かに柊に当たったはず。けれども柊はダメージを負ったようには見えない。
「痛いですかぁ?ほらぁまともに受け身も取れないからぁ、モロに受けちゃったんですよぉ。」
清嶺地は床に倒れこんだまま動かない。
「あれぇ、今のでトンじゃったんですかぁ?」
おーいと声をかけながら柊が清嶺地の体をゲシゲシと蹴るものの一向に起きる気配がない。
「あれま、ちょっとやりすぎちゃいましたかねぇー。」
そう言って柊が身を屈めた瞬間
鬼のような形相をして清嶺地が跳び上がり、柊の頭を掴む。
「ほへぇ?」
そのまま全体重をかけて頭を地面にたたきつけようとする。
が、しかし、柊はわざと体を倒して足を宙に浮かす。
それにより上半身を先に地面に落とし無理やり受け身をとる。
「すっげー」
こういうのを動画投稿したら収益化できないだろうか。
この前のくら寿司の動画は再生数は爆上がりしたのだが広告をつける前に削除されてしまったのだ。
と、ふざけたことを考えていたら戦況に進展があったようで、受け身をとる柊の上にいたはずの清嶺地が組み伏せられていた。
「もぉ、諦めたらどぉですかぁ?」
清嶺地の耳元で柊が呟く。
けれども清嶺地は一向に表情を崩さない。
次の瞬間、清嶺地は清嶺地を押さえている柊の腕を掴み、握る。
「ちょっ、へぇ?」
メキメキィと音を立てながら握り潰されそうになる腕。
「あガァッ!?」
突然の激痛につい手を離してしまう。
開放された先輩は先程よりも速いスピードでバウンドを始め、柊の周りを囲うように跳び回る。
柊も即座に立ち上がるが腕を相当痛めたようで本当の棒立ち状態である。
先輩の一方的な攻撃が始まる。
「うわぁ容赦ねぇなぁ。」
おそらく先程の先輩の攻撃は位置が割れていたからこそ対応されてしまった。
もちろん、普通の人間があの速度に対応できるかは疑わしいが、先輩は位置を推測させないために全方位からの攻撃に切り替えたのだろう。
大きいのを入れるのではなく、すれ違いざまに衝撃を与え続けることで耐久勝ちするつもりなのだ。
そんな光景が2分ほど繰り広げられる。
けれども柊は倒れる様子がない。それどころか、先輩の方が疲弊している。
ついに先輩は床に膝をついてしまう。
「はっはぁ、ようやく終わりましたかぁ。よくもまぁ散々してくれましたねぇ。」
「まだ、ハァ、終わって、ハァ、ない。」
近づいた柊に下からサマーソルトを喰らわす先輩。
しかし、躱されてしまう。
最後の一撃を躱された先輩は床に落ちて今度こそ本当に動かなくなった。
「しゅーりょー。勝者、柊さん。」
「ふぅ。殺しちゃいけないっていうのは、不便ですねぇ。」
しれっと恐ろしいことを聞いてしまったが、戦闘服を着た人間を生身で倒すという快挙を成し遂げた化け物だからなぁ。
何より柊は自分から攻撃することはなかった。本気でやり合ってたら1分経たずに終わっていたかもしれない。
「んー。このまま、稽古の続きをしてもいいんですけどぉ。ちょっと疲れちゃったのでぇ、また明日でいいですかぁ?」
「え、えぇ。別に僕は構わないですけど、明日続きをしてもらっても大丈夫なんですか?」
柊はポカンとした表情をすると笑い出し、こう言った。
「アハハぁ、これくらいなら寝れば治りますよぉ。」
寝れば治るってアンタは人造人間か何かですか。
そのまま、柊さんは運動場を出て行った。
さて、俺も帰りますか。って、
「先輩放置じゃねーか!?」
あの眼帯女、ヤッたらヤリっぱなしかよ。
そしてヤリすてされた先輩をどうにか担いで帰る俺であった。
合同演習会開始まで後6日。
スーツ姿の清嶺地先輩と柊さんが向かいあう。
「では、二人とも用意はいいですかー?」
頷く二人。
「行きますよー。レディ、ファイトッ!!」
掛け声とともに清嶺地先輩が大きく後ろに跳び下がり柊との間合いを取る。
それに対し、柊はその場から動かず棒立ちで左右にブランブラン揺れながら笑っている。
その仕草に多少警戒したのか先輩もその場でポンポン跳びながら柊のことを見ている。
側から見たら、この二人大変に不可解である。特に柊がキモい。これ、小さい子が見たら下手したら泣くぞ?
そのとき清嶺地が唐突に動き出した。
跳躍からの着陸とともに柊へと突撃する。
柊は避けようとせずにその場に留まる。
柊は防御の必要性を説いていたし、あえて受け止めようとしているだろう。ということは柊には先輩を受け止める自信があるということか!?
しかし、清嶺地の体は柊の真横を通りすぎ、
ドンッ
体を急回転させて地面に着地、その勢いを活かして背後からの重い一撃。
となるはずだった。
柊の体が半身ほど捻られ、清嶺地の体が空中に投げ出される。
「ッカッ!!!」
その隙を逃さず、柊が肘を上から突き落とし先輩を床に叩き落とす。
どういうことだ、先輩の発勁は確かに柊に当たったはず。けれども柊はダメージを負ったようには見えない。
「痛いですかぁ?ほらぁまともに受け身も取れないからぁ、モロに受けちゃったんですよぉ。」
清嶺地は床に倒れこんだまま動かない。
「あれぇ、今のでトンじゃったんですかぁ?」
おーいと声をかけながら柊が清嶺地の体をゲシゲシと蹴るものの一向に起きる気配がない。
「あれま、ちょっとやりすぎちゃいましたかねぇー。」
そう言って柊が身を屈めた瞬間
鬼のような形相をして清嶺地が跳び上がり、柊の頭を掴む。
「ほへぇ?」
そのまま全体重をかけて頭を地面にたたきつけようとする。
が、しかし、柊はわざと体を倒して足を宙に浮かす。
それにより上半身を先に地面に落とし無理やり受け身をとる。
「すっげー」
こういうのを動画投稿したら収益化できないだろうか。
この前のくら寿司の動画は再生数は爆上がりしたのだが広告をつける前に削除されてしまったのだ。
と、ふざけたことを考えていたら戦況に進展があったようで、受け身をとる柊の上にいたはずの清嶺地が組み伏せられていた。
「もぉ、諦めたらどぉですかぁ?」
清嶺地の耳元で柊が呟く。
けれども清嶺地は一向に表情を崩さない。
次の瞬間、清嶺地は清嶺地を押さえている柊の腕を掴み、握る。
「ちょっ、へぇ?」
メキメキィと音を立てながら握り潰されそうになる腕。
「あガァッ!?」
突然の激痛につい手を離してしまう。
開放された先輩は先程よりも速いスピードでバウンドを始め、柊の周りを囲うように跳び回る。
柊も即座に立ち上がるが腕を相当痛めたようで本当の棒立ち状態である。
先輩の一方的な攻撃が始まる。
「うわぁ容赦ねぇなぁ。」
おそらく先程の先輩の攻撃は位置が割れていたからこそ対応されてしまった。
もちろん、普通の人間があの速度に対応できるかは疑わしいが、先輩は位置を推測させないために全方位からの攻撃に切り替えたのだろう。
大きいのを入れるのではなく、すれ違いざまに衝撃を与え続けることで耐久勝ちするつもりなのだ。
そんな光景が2分ほど繰り広げられる。
けれども柊は倒れる様子がない。それどころか、先輩の方が疲弊している。
ついに先輩は床に膝をついてしまう。
「はっはぁ、ようやく終わりましたかぁ。よくもまぁ散々してくれましたねぇ。」
「まだ、ハァ、終わって、ハァ、ない。」
近づいた柊に下からサマーソルトを喰らわす先輩。
しかし、躱されてしまう。
最後の一撃を躱された先輩は床に落ちて今度こそ本当に動かなくなった。
「しゅーりょー。勝者、柊さん。」
「ふぅ。殺しちゃいけないっていうのは、不便ですねぇ。」
しれっと恐ろしいことを聞いてしまったが、戦闘服を着た人間を生身で倒すという快挙を成し遂げた化け物だからなぁ。
何より柊は自分から攻撃することはなかった。本気でやり合ってたら1分経たずに終わっていたかもしれない。
「んー。このまま、稽古の続きをしてもいいんですけどぉ。ちょっと疲れちゃったのでぇ、また明日でいいですかぁ?」
「え、えぇ。別に僕は構わないですけど、明日続きをしてもらっても大丈夫なんですか?」
柊はポカンとした表情をすると笑い出し、こう言った。
「アハハぁ、これくらいなら寝れば治りますよぉ。」
寝れば治るってアンタは人造人間か何かですか。
そのまま、柊さんは運動場を出て行った。
さて、俺も帰りますか。って、
「先輩放置じゃねーか!?」
あの眼帯女、ヤッたらヤリっぱなしかよ。
そしてヤリすてされた先輩をどうにか担いで帰る俺であった。
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