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龍星本山編
五話 龍星本山カチコミ日記 2日目 非日常編
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「お前ら馬鹿だねぇぇぇ。まんまとハマるなんて。」
後ろを振り返ると道着を着た白髪の少年が立っていた。
「気持ち悪い挙動しながら廊下を走っているバーサーカーに知能があるとは思ってなくてね。まんまと嵌められちゃったよ。」
野畑が少年を煽る。
「これをやったのも君かい?」
野畑がバラバラ死体に視線を向けながら質問をする。
「あぁ。コイツら俺に払えるほど金持ってなくてよ。任務料を踏み倒そうとしてたもんだからさぁ。ヤッちった(テヘペロ☆)。」
人を躊躇なく殺せるなんて、、、。
過激な表現が含まれるゲームやアニメが影響をもたらすのは本当だったのか、、、PTAは正しかっただと!?
「おっと自己紹介をしなくちゃな。俺の個体名は被検、、、
バンッ
いつのまにか部屋の奥へと移動していたフェデーレが発砲した。
「おいおい、人が話してる時に普通撃つかぁ?」
「自分の名前を明かすなんて、復讐を恐れていないのかい?随分と余裕そうじゃないか。」
「あたりまえだろ。だって
#誰もここから帰れないんだからなぁ____#」
そういうと少年はドアをバタンと閉め、部屋の中をまるで重力を感じていないが如く素早く跳び回る。
「ロビンフッド!僕がどうにか動きを止めるから最悪僕ごと撃ってくれ!」
野畑はそう叫ぶと跳び上がり空を殴った。
その時、タイミングよく拳の先に人影が入りこむ。
「やっぱりか。」
吹っ飛び壁に突き飛ばされる少年。しかし、空中で体制をたてなおし壁を蹴って野畑に突っ込む。
野畑も空中で少年の一撃を受け止める。
パァンパァン
フェデーレがスキを逃さず少年の背を撃つ。しかし、少年は気にする様子も無く。
再び壁を蹴って部屋を飛び回りながら小刀での攻撃を仕掛けてくる。
与えられているダメージは少年の方が多いはずなのに野畑の方が苦戦を強いられているように見える。
「ったくどうなってんだ。最近のガキは。」
「大丈夫。チャンスはいくらでも作ってみせるから僕を信じろ。」
野畑はそう言うと少年を真似して壁を蹴って真っ向から少年とぶつかり合う。
流石に純粋な力比べでは勝てないようで、またもや吹き飛ぶ少年。しかし、すぐ立て直し壁に着地するものの今度はフェデーレの射撃が襲う。
「ったく面倒なことしやがって。」
少年は標的を野畑からフェデーレに移したようで、フェデーレに向かい突撃するが野畑に防がれる。
ナイスコンビネーションだ。だが以前として少年は悠々としている。
それに比べて野畑達はダメージこそ少ないものの、何度も繰り返される攻撃の痛みや切り傷による出血により体力が奪われているのが目に見えて分かる。
このままではジリ貧でこちらが負けるだろう。
それを分かっているのか少年は無闇な突撃をやめ部屋を跳び回りながらすれ違いざまに斬るという攻撃だけを行うようになった。
「密室は俺の狩場(テリトリー)なのさ!ここの階に足を踏み入れた時点でお前らの死は決まってんだよ!クハハハ!」
「まずいなぁこっちは笑ってられないんだけどなぁ。クッ、、、。」
野畑も防戦一方であと15分もすれば立てなくなりそうな勢いだ。そうなれば、残された俺たち二人は瞬殺されるだろう。
どうにか密室という場所から引きずり出せないものだろうか。あぁ思いついた。密室の弱点を活かせばいいのか。
「ではポルクスさん、ロビンフッドさん。お元気で。」
「えっ?新人クンどうするつもりだい!?」
野畑達が戦っている間に乗じてドアを開きケースの中身を全てばら撒く。中はご存知の通り手榴弾。その内の二つを取り、一つだけピンを抜き部屋に投げ込む。
すぐにドアを閉めて猛ダッシュ。
「悪いね。ポルクスさん達には悪いけど、生きてたら謝るから許してねー!」
野畑side
いきなり40個ほどの手榴弾を投げ込まれドアを閉められた。
確かに耐久戦で勝ち目は薄いけどさぁ。そりゃ無いよー。
「何考えてんじゃあ!アイツゥゥゥ!?!?」
分かる。敵だけど君の意見は凄い分かる。
そしてピンが抜かれた手榴弾が爆発する。
連鎖的に次々と爆発する手榴弾。とりあえず、床をブチ抜いたら多少は爆風も避けれるかな?
「オラァアアア!!!!!!」バギッ
その直後、聞いたこともない炸裂音が響きわたり、抗争街の一角で大爆発が確認された。
卍原side
予想以上の爆発がおこってしまった。廊下に炎をまとった爆風が押し寄せてくる。
「まーじか。」
死に物狂いで廊下を走り、なんとか階段に転がり込む。皮膚の一部が焼け爛れているが助かったようだ。
階段の踊り場を見るとそこには自分の腕と足を回収して、暇そうにスマホをいじっている先輩がいた。
「あれ、先輩無事だったんですね。てっきり今頃、残った腕や足も切り落とされて凌辱されてるかと。」
「あの生物、制服ごと私の体を引き裂きました。アレに真っ向から戦っては勝てないでしょうし、爆破したのは懸命な判断です。つまり、、、ポルクスさん達は殺されたんですね?」
「いや?あの人達ならさっきまで生きてましたよ。」
「は?」
「では、生きていた彼らがいた中、あの大爆発を起こしたと?」
「はい。あっやべ、、今の忘れて下さい。」
ヤバい。味方を殺したとあっては減給されるかもしれない。証拠隠滅でカメラ室を破壊しようと、わざわざもう一つ手榴弾を持ってきたのに。
「…。まぁ私は無事なので問題ないですね。とりあえず、記録室を破壊しに行きましょう。監督責任を追求されるかもしれませんし。」
なんて、恐ろしい娘なんだ。仲間が死んだ理由を私欲のために消し去るなんて、人の行いじゃない!
ジジッジジッ
「あー、もしもし聞こえますか?こちら天照。現在、全体連絡網で通信しています。スッゴイ爆音聞こえたけど大丈夫?」
制服の襟に着いた通信機から檸檬さんの声が聞こえる。
「こちらアイアンメイデン。自分は片腕、片足損傷。同伴している新人の方は皮膚が焼けてる程度で問題ありませんが、脳に致命的なダメージを負っています。」
「あらま、それは大変。とりあえず負傷者は一時撤退してください。繰り返します、、、、。」
そして通信は切れた。
「こんな酷いダメージを負っていては私達は戦えませんし、車に戻りましょう。」
「先輩。俺の体をそこまで心配してくれるなんて!」
「私が心配しているのは貴方の顔面偏差値です。」
「ええ!?俺、顔は偏差値55は固いと思いますよ!」
こうして二人は撤退した。
野畑side
床を突き破って爆風をある程度遮ったとはいえ火力は凄まじかった。
「クッソー。右腕、動かないかぁ。足はかろうじて無事かな。」
轟音を立てて崩れる天井と共に落ちてくる歪な形の死体。
いや、死体ではない。
そこには人間より2倍ほど大きい蛇のような何かがいた。
動けない。これが蛇睨みってやつなのだろうか。
そして、何故かそいつも所々から出血している。この蛇は爆発の直前に飛び込んで来たのだろうか。でも何故?
おそらく、あの少年をなんらかの方法で助ける。もしくは口封じのために殺したかだろう。となると僕も殺されちゃわない?
だが、蛇は窓を突き破り外へと飛び出していった。
「助かった。みたいだねぇ。」
緊張が解け、体の力が一気に抜ける。そうだ、フェデーレは無事だろうか?逃げ出せていればいいが。
、、、繰り返します。負傷者は一時撤退してください。一時撤退してください。」
通信機からの連絡だ。ボスは死んでいたため結果的に任務は成功なんだが、
「どうしたものかなー。」
こうして野畑も少し休んだ後に撤退した。
「二人ともお疲れ様です!うわぁ、綺麗な断面!」
ラブドール一歩手前の先輩を抱えて車に戻ると檸檬さんが近づいてきた。
「痛いです。断面をなぞらないでください。」
「いやぁ、ごめんごめん!まるで人間版ボンレスハムなもんで。」
「その比喩は意味不明です。 チームαの方で負傷者は?」
「今回は出なかったよー。四階の崩落からも運良く逃げられたからねー。」
檸檬さんがニヤニヤしながらこっちを見てくる。もしかしてバレているのか?
「物的証拠が発見されない限り、俺を断罪することはできませんよ。」
「その返答からして絶対君が犯人でしょ、、、。」
「そういえば、残りの二人は何処へ?」
「須佐ノ男(スサノヲ)はポルクスさんを探しにいったよ。月詠(ツクヨミ)とユダはロビンさんの応急処置をしてます!」
ロビンフッドは確かフェデーレだったか。あの爆発から生き延びるなんてゴキブリを思わせる生命力だな。
まぁ様子を見に行ってみるか。
「素晴らしい度胸だ。仕事仲間ごと爆破するその根性は天才のソレだな。」
意識もあんのかよ。 フェデーレは車の後部座席を倒して荷台とくっ付けて造られた簡易治療室で寝かされていた。
「ありがとうございます。気に入っていただけたなら光栄です。」
笑顔で返す。良かった。あまり怒ってはいないようだ。
「フッ、、、。馬鹿と天才は紙一重とはまさにこのことだな。」
「あー。駄目ですよぉー。血圧が上がると傷口開いちゃいますよぉー。」
柊さんが慌てて駆けつけてフェデーレの処置を再開した。
檸檬さん、蜜柑さんと先輩の応急処置をしながら話していると、満身創痍の状態の野畑を背負ってベルガモットが拠点から出てきた。
「悪い!コイツもそこそこ重症だ!治療を頼む!」
「はーい!こっちまで持ってきてー!」
負傷者全員の処置が終わる頃には朝になっていた。
「なんとか終わったねー!さてさて皆さん!逃げますよー!」
全員が早々と車に乗っていく。
「なんでそんな急いでるんですか?」
「んーとですね。抗争後って色々、金目の物が落ちてたりするのでチンピラどもがウジャウジャ集まってくるんですよ。
だから早く逃げた方がいいんじゃないですか?」
そういえば、怪我人を乗せるために後部座席は使えなくなっている。全員分の座席は確保されているんだよな?
「あのー。俺の分の席も残ってますよね?」
「すいません!分かりません!」
そう言って檸檬さんは足早に車に乗り込み、そのまま二台とも颯爽とその場を去っていった。
その場にただ一人、残される執事服を着た非武装の少年。
そして集まってくるチンピラ集団。
「そういや俺、帰り道わかんねーや。」
こうして卍原卓郎の長すぎた2日間の新人研修は迷子で幕を閉じたのであった。
後ろを振り返ると道着を着た白髪の少年が立っていた。
「気持ち悪い挙動しながら廊下を走っているバーサーカーに知能があるとは思ってなくてね。まんまと嵌められちゃったよ。」
野畑が少年を煽る。
「これをやったのも君かい?」
野畑がバラバラ死体に視線を向けながら質問をする。
「あぁ。コイツら俺に払えるほど金持ってなくてよ。任務料を踏み倒そうとしてたもんだからさぁ。ヤッちった(テヘペロ☆)。」
人を躊躇なく殺せるなんて、、、。
過激な表現が含まれるゲームやアニメが影響をもたらすのは本当だったのか、、、PTAは正しかっただと!?
「おっと自己紹介をしなくちゃな。俺の個体名は被検、、、
バンッ
いつのまにか部屋の奥へと移動していたフェデーレが発砲した。
「おいおい、人が話してる時に普通撃つかぁ?」
「自分の名前を明かすなんて、復讐を恐れていないのかい?随分と余裕そうじゃないか。」
「あたりまえだろ。だって
#誰もここから帰れないんだからなぁ____#」
そういうと少年はドアをバタンと閉め、部屋の中をまるで重力を感じていないが如く素早く跳び回る。
「ロビンフッド!僕がどうにか動きを止めるから最悪僕ごと撃ってくれ!」
野畑はそう叫ぶと跳び上がり空を殴った。
その時、タイミングよく拳の先に人影が入りこむ。
「やっぱりか。」
吹っ飛び壁に突き飛ばされる少年。しかし、空中で体制をたてなおし壁を蹴って野畑に突っ込む。
野畑も空中で少年の一撃を受け止める。
パァンパァン
フェデーレがスキを逃さず少年の背を撃つ。しかし、少年は気にする様子も無く。
再び壁を蹴って部屋を飛び回りながら小刀での攻撃を仕掛けてくる。
与えられているダメージは少年の方が多いはずなのに野畑の方が苦戦を強いられているように見える。
「ったくどうなってんだ。最近のガキは。」
「大丈夫。チャンスはいくらでも作ってみせるから僕を信じろ。」
野畑はそう言うと少年を真似して壁を蹴って真っ向から少年とぶつかり合う。
流石に純粋な力比べでは勝てないようで、またもや吹き飛ぶ少年。しかし、すぐ立て直し壁に着地するものの今度はフェデーレの射撃が襲う。
「ったく面倒なことしやがって。」
少年は標的を野畑からフェデーレに移したようで、フェデーレに向かい突撃するが野畑に防がれる。
ナイスコンビネーションだ。だが以前として少年は悠々としている。
それに比べて野畑達はダメージこそ少ないものの、何度も繰り返される攻撃の痛みや切り傷による出血により体力が奪われているのが目に見えて分かる。
このままではジリ貧でこちらが負けるだろう。
それを分かっているのか少年は無闇な突撃をやめ部屋を跳び回りながらすれ違いざまに斬るという攻撃だけを行うようになった。
「密室は俺の狩場(テリトリー)なのさ!ここの階に足を踏み入れた時点でお前らの死は決まってんだよ!クハハハ!」
「まずいなぁこっちは笑ってられないんだけどなぁ。クッ、、、。」
野畑も防戦一方であと15分もすれば立てなくなりそうな勢いだ。そうなれば、残された俺たち二人は瞬殺されるだろう。
どうにか密室という場所から引きずり出せないものだろうか。あぁ思いついた。密室の弱点を活かせばいいのか。
「ではポルクスさん、ロビンフッドさん。お元気で。」
「えっ?新人クンどうするつもりだい!?」
野畑達が戦っている間に乗じてドアを開きケースの中身を全てばら撒く。中はご存知の通り手榴弾。その内の二つを取り、一つだけピンを抜き部屋に投げ込む。
すぐにドアを閉めて猛ダッシュ。
「悪いね。ポルクスさん達には悪いけど、生きてたら謝るから許してねー!」
野畑side
いきなり40個ほどの手榴弾を投げ込まれドアを閉められた。
確かに耐久戦で勝ち目は薄いけどさぁ。そりゃ無いよー。
「何考えてんじゃあ!アイツゥゥゥ!?!?」
分かる。敵だけど君の意見は凄い分かる。
そしてピンが抜かれた手榴弾が爆発する。
連鎖的に次々と爆発する手榴弾。とりあえず、床をブチ抜いたら多少は爆風も避けれるかな?
「オラァアアア!!!!!!」バギッ
その直後、聞いたこともない炸裂音が響きわたり、抗争街の一角で大爆発が確認された。
卍原side
予想以上の爆発がおこってしまった。廊下に炎をまとった爆風が押し寄せてくる。
「まーじか。」
死に物狂いで廊下を走り、なんとか階段に転がり込む。皮膚の一部が焼け爛れているが助かったようだ。
階段の踊り場を見るとそこには自分の腕と足を回収して、暇そうにスマホをいじっている先輩がいた。
「あれ、先輩無事だったんですね。てっきり今頃、残った腕や足も切り落とされて凌辱されてるかと。」
「あの生物、制服ごと私の体を引き裂きました。アレに真っ向から戦っては勝てないでしょうし、爆破したのは懸命な判断です。つまり、、、ポルクスさん達は殺されたんですね?」
「いや?あの人達ならさっきまで生きてましたよ。」
「は?」
「では、生きていた彼らがいた中、あの大爆発を起こしたと?」
「はい。あっやべ、、今の忘れて下さい。」
ヤバい。味方を殺したとあっては減給されるかもしれない。証拠隠滅でカメラ室を破壊しようと、わざわざもう一つ手榴弾を持ってきたのに。
「…。まぁ私は無事なので問題ないですね。とりあえず、記録室を破壊しに行きましょう。監督責任を追求されるかもしれませんし。」
なんて、恐ろしい娘なんだ。仲間が死んだ理由を私欲のために消し去るなんて、人の行いじゃない!
ジジッジジッ
「あー、もしもし聞こえますか?こちら天照。現在、全体連絡網で通信しています。スッゴイ爆音聞こえたけど大丈夫?」
制服の襟に着いた通信機から檸檬さんの声が聞こえる。
「こちらアイアンメイデン。自分は片腕、片足損傷。同伴している新人の方は皮膚が焼けてる程度で問題ありませんが、脳に致命的なダメージを負っています。」
「あらま、それは大変。とりあえず負傷者は一時撤退してください。繰り返します、、、、。」
そして通信は切れた。
「こんな酷いダメージを負っていては私達は戦えませんし、車に戻りましょう。」
「先輩。俺の体をそこまで心配してくれるなんて!」
「私が心配しているのは貴方の顔面偏差値です。」
「ええ!?俺、顔は偏差値55は固いと思いますよ!」
こうして二人は撤退した。
野畑side
床を突き破って爆風をある程度遮ったとはいえ火力は凄まじかった。
「クッソー。右腕、動かないかぁ。足はかろうじて無事かな。」
轟音を立てて崩れる天井と共に落ちてくる歪な形の死体。
いや、死体ではない。
そこには人間より2倍ほど大きい蛇のような何かがいた。
動けない。これが蛇睨みってやつなのだろうか。
そして、何故かそいつも所々から出血している。この蛇は爆発の直前に飛び込んで来たのだろうか。でも何故?
おそらく、あの少年をなんらかの方法で助ける。もしくは口封じのために殺したかだろう。となると僕も殺されちゃわない?
だが、蛇は窓を突き破り外へと飛び出していった。
「助かった。みたいだねぇ。」
緊張が解け、体の力が一気に抜ける。そうだ、フェデーレは無事だろうか?逃げ出せていればいいが。
、、、繰り返します。負傷者は一時撤退してください。一時撤退してください。」
通信機からの連絡だ。ボスは死んでいたため結果的に任務は成功なんだが、
「どうしたものかなー。」
こうして野畑も少し休んだ後に撤退した。
「二人ともお疲れ様です!うわぁ、綺麗な断面!」
ラブドール一歩手前の先輩を抱えて車に戻ると檸檬さんが近づいてきた。
「痛いです。断面をなぞらないでください。」
「いやぁ、ごめんごめん!まるで人間版ボンレスハムなもんで。」
「その比喩は意味不明です。 チームαの方で負傷者は?」
「今回は出なかったよー。四階の崩落からも運良く逃げられたからねー。」
檸檬さんがニヤニヤしながらこっちを見てくる。もしかしてバレているのか?
「物的証拠が発見されない限り、俺を断罪することはできませんよ。」
「その返答からして絶対君が犯人でしょ、、、。」
「そういえば、残りの二人は何処へ?」
「須佐ノ男(スサノヲ)はポルクスさんを探しにいったよ。月詠(ツクヨミ)とユダはロビンさんの応急処置をしてます!」
ロビンフッドは確かフェデーレだったか。あの爆発から生き延びるなんてゴキブリを思わせる生命力だな。
まぁ様子を見に行ってみるか。
「素晴らしい度胸だ。仕事仲間ごと爆破するその根性は天才のソレだな。」
意識もあんのかよ。 フェデーレは車の後部座席を倒して荷台とくっ付けて造られた簡易治療室で寝かされていた。
「ありがとうございます。気に入っていただけたなら光栄です。」
笑顔で返す。良かった。あまり怒ってはいないようだ。
「フッ、、、。馬鹿と天才は紙一重とはまさにこのことだな。」
「あー。駄目ですよぉー。血圧が上がると傷口開いちゃいますよぉー。」
柊さんが慌てて駆けつけてフェデーレの処置を再開した。
檸檬さん、蜜柑さんと先輩の応急処置をしながら話していると、満身創痍の状態の野畑を背負ってベルガモットが拠点から出てきた。
「悪い!コイツもそこそこ重症だ!治療を頼む!」
「はーい!こっちまで持ってきてー!」
負傷者全員の処置が終わる頃には朝になっていた。
「なんとか終わったねー!さてさて皆さん!逃げますよー!」
全員が早々と車に乗っていく。
「なんでそんな急いでるんですか?」
「んーとですね。抗争後って色々、金目の物が落ちてたりするのでチンピラどもがウジャウジャ集まってくるんですよ。
だから早く逃げた方がいいんじゃないですか?」
そういえば、怪我人を乗せるために後部座席は使えなくなっている。全員分の座席は確保されているんだよな?
「あのー。俺の分の席も残ってますよね?」
「すいません!分かりません!」
そう言って檸檬さんは足早に車に乗り込み、そのまま二台とも颯爽とその場を去っていった。
その場にただ一人、残される執事服を着た非武装の少年。
そして集まってくるチンピラ集団。
「そういや俺、帰り道わかんねーや。」
こうして卍原卓郎の長すぎた2日間の新人研修は迷子で幕を閉じたのであった。
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