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ようこそ川崎へ
三話 カマトロさんと7人の仲間達
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パァンッ
銃撃音と共に紙吹雪が舞う。そして俺の血も飛び散る。
え?俺の血?やばい視界がボヤけていく。
「うわぁっ」「あれま」「おい、誰だよ実弾込めた奴!?」
「どうせ杏でしょ?」
「この人を撃つのではないのですかー?」
「だからコイツには持たせない方がいいって言ったのによぉ。」
「言ってなかったでしょ、一言も。」
周りがガヤガヤうるさい。コイツら責任のなすり付け合いしてないか?ここで人が死にそうになってますよー
あぁ、ダメだ。意識が薄れていく。
ガクンッ
「やべ、とりあえず、内海先生呼びますか。」
「「そーだな」」「そーですねー」
なにか生温いものが体を包んでいる。あれ、撃たれたんだっけ俺。こんなんばっかだなぁ。
意識がはっきりしないなか目を開けると
「!?」
目に液体のようなものが流れ込んで来た。慌てて目を閉じる。
いったいどうなっている。こういう時こそ落ち着こう。
一瞬だが人口的な光が確認できたため、誰かに意図的に沈められているのだろう。
そして、俺が意識を失った理由は出血によるもの。その状態で液体の中に入れられても今生きているということは呼吸は可能と考えられる。
冴えた俺のIQ10000の頭脳から導き出された答えは、、、
よし暴れよう。
ガンガン ゴンゴン
「ちょっと、なになに? え!? 落ち着きなさい。今出すから。」
バシャーン
体が外に投げ出される。
「おはよう。二日連続で搬送されて生きてた患者は貴方が初めてよ。」
見覚えのある幼女が微笑みながら顔を覗き込んでくる。
「何よその呆けた顔。あぁ、そういえば自己紹介がまだだったわね。」
「私の名前は内海エリ(うちみ えり)。 ここの顧問医師を請け負っている者よ。 」
「俺は卍原って言うんだけど、君みたいなロリッ子がお医者さんなのかい?」
「ロリ?なるほど。私、こう見えても三十路のシングルマザーなんだけど。」
「マジで?」
「ほら。」
内海が頭の先っぽだけ写った免許証を見せて来た。
衝撃の事実だ。そりゃ、やけに声がセクシーなわけだ。でもどうやって試験に受かったのか非常に気になる。
「それは失礼。ところでここはどこなんすか?」
そこは全体的に暗く、液体が入った巨大なカプセルが並んだ異常な空間だった。
おそらく先ほどまで俺が入っていたのはこの内の一つなのだろう。
「ここは治療室よ。貴方が寝ていた患者部屋の地下。任務で負った傷はこのカプセルにぶち込んで修復するわ。撃たれたとか、腕が千切れたくらいなら治せるから安心して無茶して頂戴。
でも、頭部や臓器みたいなデリケートな部分は私も手を加えなきゃいけないから、そこんとこ配慮して怪我しなさい。」
まるで、某アニメの敵集団のような治療法じゃないか。そういや俺のバイト、マフィアだったわ。なら仕方ない。
「善処します。」
「ほら、早くあいつらの所に戻ったら?そこのエレベーターから上に上がれるから。」
「先生は行かないんですか?」
「私は赤城社長に頼まれた仕事があるから今回はパスで。」
そう言って内海はどこかに行ってしまった。時計を見てみると撃たれた時から40分ほどしか経っていない。
この機械はとんでもなく優秀なのだろう。
店内に戻ると綺麗に掃除されており、銃撃犯どもは未だ言い争いを続けていた。
その姿を眺めていると図体のでかい黒人男性が俺に気付く。
「お前ら、新人が戻って来たぞ。」
奴らは慌てて一列に並び、今度はクラッカーを持っている。
「「卍原君!入社おめでとう!」」
クラッカーの音が鳴り響く。
まったくおめでたくない。
「とりあえず座れや坊主。」
先程の黒人男性に指示されるままソファーに座ると、続けて男が話しかけてくる。
「さっきは大変だったな。俺の名前はフェデーレ・カルファーニャ。フェデーレって呼んでくれ。ここではスナイパーを担当している。
よろしくな。」
デカい図体に似合わずスナイパーとは意外である。拷問係とかだと思っていた。
「拷問とかはしないんですか?」
おっと口が滑ってしまった。
「しねぇよ。だってあれ可哀想じゃん。」
「フェデーレは見た目に似合わず常識人なのです!それにイタリア人だし。」
「見た目が怖くて悪かったな。あとイタリア関係ないだろ。」
いきなり、三つ子の一人が話に割り込んでくる。てかイタリア人なんすね。
「そしてアタシは天田三姉妹の鎌使いにして長女、天田檸檬(あまだ れもん)!。」
「そして私は天田三姉妹の拳銃使いにしてキル数トップの次女、天田蜜柑(あまだ みかん)、、、。」
「最後に俺こそは天田三兄弟の盾役にしてタンクの三男、天田ベルガモット (あまだ べるがもっと)。」
天田家長女の後ろから顔がそっくりの二人が飛び出てくる。最後の奴は男なのか?それにしてはやけに胸部が、、、
「アタシ達はここの諜報部隊ってところなのです!」
「ちなみに一卵性だからベルガモットは女、、、。」
やはりオレッ娘か。姉二人とは胸の大きさが違うようだが、三つ子でも成長には個人差があるようだ。
「テメェどこ見てんじゃおい。」
「あの胸ぐら掴むのやめて貰えませんか服が伸びるので、、、」チラッチラッ
「見てんじゃねぇよボケッ」
殴られた
「本当に愚かですね。貴方は。」
この感情を失ったような棒読みボイスは、、、後ろを振り返るとそこにはいつぞやのメイドの姿があった。
「お前はゴリラ娘一号じゃないか。久しぶりだな。」
ちなみに二号は赤城である。
「何ですかその不名誉なあだ名は。気に入りました、採用です。」
気に入っちゃうんだ。表情と声に反して意外にノリがいいぞ、この娘。
「私の名前は清嶺地キーラ(せいれいじ きーら)。ロシアと日本人のハーフです。年齢は18 、身長は158cm、体重は57kg、
血液型はAB、蟹座です。メインウェポンはギロチンです。この中では貴方の次に新入りです。これまでの鬱憤を全てぶつけるので覚悟しておいてください。
何か質問は?」
無駄に個人情報を曝け出してくるなこの娘は。不穏なワードがいくつか聞こえたが気にしないようにしよう。
「質問です。スリーサイズは?」
「上から87 、58、85です。」
即答とは、おまけに着痩せするタイプなんですね。一生付いていきます先輩。
ベルガモットから熱い?視線を感じるが嫉妬だろうか。可愛さ余って殺意100倍ってやつに違いない。
「次は私ですねぇ。」
やけにフワフワした雰囲気な迷彩服の女性が隣に座る。
「私の名前は柊杏(ひいらぎ あんず)ですぅ。さっきはついつい撃ち殺そうとしてしまってすみませんねぇ。」
さっき俺を打った真犯人はこの人らしい。
「何で迷彩服着てるんですか?眼帯といいコスプレですか?」
「こすぷれ?これは私たち監視員の制服なんですよぉ~。」
なんと、この人が国からの監視員だったのか。ついつい人を撃つ人間を採用する日本の未来は大丈夫だろうか。
「これから仲良くしましょうねぇ。」
「いやです。」
殺されかけた人と仲良くできるほど俺の心は広くないのだ。
「さて、皆のことは知ってもらえたかい?」
野畑が笑って訪ねてくる。この中だと野畑は比較的まともに見える。ムカつくから今度もう一度爆撃してやろう。
「本当はあと二人ほど紹介したい人がいるんだけど、今日は生憎不在でね。」
「もうお腹いっぱいなんで十分です。」
「そんなこと言わないでくれよ。せっかく出前も頼んだのに。」
そうして並べられたのはピザやハンバーガー、寿司などのご馳走。思えばお腹もペコペコだ。
「今回は久しぶりの新入りのために高級寿司にしましたー。なんと、あのカマトロもあるよー。」
野畑が声高らかに言う。
カマトロだとっ?!あの一匹のマグロから二つしか取れないという超希少部位じゃないか。
沈黙が走る。皆、カマトロを凝視している。そんな中でも落ち着いてビールを飲んでいるフェデーレさん流石っす。
「では皆さん!手を合わせてください、いただきます!」
そして今、野畑によって試合開始のゴングが鳴らされた。
「「いただきま
ガンガラガッシャーン
突如突っ込んで来た大型トラックが店の半分を消しとばす。衝撃により吹っ飛ぶカマトロ。トラックの近くまで飛んでいき地面に落ちた。
なんてことだ、、カマトロが地面に落ちてしまった。
「「「諦めてたまるかァァー」」」 「遅いっ」 「くそっ」
トラックそっちのけでカマトロに向かい走り出す天田三姉妹と清嶺地先輩。しまった出遅れた。後から俺も追いかける。
その時、ライフルのような銃を持った男二人がトラックから降りてくる。そしてそいつは足元のカマトロに気づかず、、、
グチャッ
「「ギャアアアアアアァァーーーー」」
その瞬間、男たちから血しぶきをあげて倒れる。
「Maori spazzatura(死ねゴミカス)」
銃撃音のした方向を見ると拳銃を向けているフェデーレがいた。やっぱりフェデーレさんもカマトロ食いたかったんですね。
一気に店内のテンションが下がった。
「ううぅ、、カマトロー」 「私としたことが不覚っ」 「あの皆、店のことも少しは気にしてあげない?」
あちらこちらから泣き声や後悔の言葉が聞こえる。
「コイツら龍星本山のところのモンだな。」
「僕たちがボコした奴らの敵討ちってところだね。」
フェデーレと野畑はこんな危機的状況にも関わらずトラックと男達の死体を調べている。
10分ほど経った後、野畑が声を上げた。
「みんなー!コイツらの拠点わかったよー!ボスにも許可取ったし攻めにいこっかー!」
それぞれが黙々と準備を始めだす。
「今から突撃するけど、新人クンは今回はここに残ろうか。」
野畑が言う。
それは願ってもない話だが、
「何言ってるんですか?俺に手榴弾をよこしてくれませんかねぇえええ?!」
カマトロという仲間を殺された以上、俺も黙っていられるわけがない。
「良い答えだ。でも今回は見学にしようか。とりあえずこれに着替えたまえ。」
そういいながらRX01-3とケースを渡す野畑。
「5分ください。」
着替え終わり、店の入り口に戻るとトラックはペチャンコに押しつぶされて、撤去されていた。
そして、2台ミニバンが待機していた。
「おい、坊主!お前はこっちだ。」
そのうち一台の窓が開き、フェデーレが声をかけてきた。
「了解。」
ミニバンに乗り込むと清嶺地先輩と助手席に座る野畑がいた。
「遅いですよ。着替えは30秒で終わらしなさい。」
これが清嶺地先輩なりの嫌がらせかなのだろうか。
そしてミニバンは出発した。
その頃、事務室では、、、
「大変なことになっているようね、社長。」
「入る時にノックくらいしてくれませんか内海先生?」
「それは、ごめんなさいね。ほら貴方に頼まれていた彼の検査結果が出たわよ。」
内海が赤城に書類の束を手渡す。
「彼の特出能力は無しってどういうことですか?どんな人間でも得意不得意くらいはあるでしょう?」
「その答えは次のページを見なさい。」
赤城がページをめくる。
「全部同じ数値!?」
「ええ、気味が悪いほどに筋力も五感もピッタリ同じ数値。全て平均より少し上になっているわ。
どんなに万能と言われる人でも数値にバラつきがでる。なぜなら、生まれつきの基礎能力を予測し平均と比べて数値化するのがこの検査だから。」
その通りだそんなことが可能なのはロボットくらいだろう。生きとし生ける全ての生物は種を残すために僅かでも個体差をつける。
それに反する彼は研究機関にでも売り飛ばせば相当な値段になるだろう。
いや、そんなことよりもバトラースーツがどんな影響を与えるか分からない。これまで全基礎値が均一な人間が着た試しがないからだ。
全能力が上がるのか、それともただの重いスーツになるのか想像もつかない。
「それに他にもおかしな点が。」
「続けてください。」
「彼を2回ほど再生装置入れさせてもらったけど回復速度が異常ね。いくら最新機種だとしても40分で銃痕を消せるまで再生するなんて前代未聞よ。それに彼、野畑との研修で容赦なく手榴弾投げたんでしょ?まっとうな思考回路してないわよ。」
確かに今回も暴力団の拠点に乗り込むというのに交戦する気満々で向かっているらしい。生存本能が欠落している可能性がある。
果たしてそんな高校生がいるだろうか。
「まぁ、機械のミスなんてことが万が一、あるかもしれないけど卍原卓郎はしっかり監視しておきなさい。お疲れ様。」
「わかりました。先生もお疲れさまでした。」
最悪だ。こんな不確定要素を取り込んでしまったなんて。
「運悪く死んできてくれないかなぁー」
続く
銃撃音と共に紙吹雪が舞う。そして俺の血も飛び散る。
え?俺の血?やばい視界がボヤけていく。
「うわぁっ」「あれま」「おい、誰だよ実弾込めた奴!?」
「どうせ杏でしょ?」
「この人を撃つのではないのですかー?」
「だからコイツには持たせない方がいいって言ったのによぉ。」
「言ってなかったでしょ、一言も。」
周りがガヤガヤうるさい。コイツら責任のなすり付け合いしてないか?ここで人が死にそうになってますよー
あぁ、ダメだ。意識が薄れていく。
ガクンッ
「やべ、とりあえず、内海先生呼びますか。」
「「そーだな」」「そーですねー」
なにか生温いものが体を包んでいる。あれ、撃たれたんだっけ俺。こんなんばっかだなぁ。
意識がはっきりしないなか目を開けると
「!?」
目に液体のようなものが流れ込んで来た。慌てて目を閉じる。
いったいどうなっている。こういう時こそ落ち着こう。
一瞬だが人口的な光が確認できたため、誰かに意図的に沈められているのだろう。
そして、俺が意識を失った理由は出血によるもの。その状態で液体の中に入れられても今生きているということは呼吸は可能と考えられる。
冴えた俺のIQ10000の頭脳から導き出された答えは、、、
よし暴れよう。
ガンガン ゴンゴン
「ちょっと、なになに? え!? 落ち着きなさい。今出すから。」
バシャーン
体が外に投げ出される。
「おはよう。二日連続で搬送されて生きてた患者は貴方が初めてよ。」
見覚えのある幼女が微笑みながら顔を覗き込んでくる。
「何よその呆けた顔。あぁ、そういえば自己紹介がまだだったわね。」
「私の名前は内海エリ(うちみ えり)。 ここの顧問医師を請け負っている者よ。 」
「俺は卍原って言うんだけど、君みたいなロリッ子がお医者さんなのかい?」
「ロリ?なるほど。私、こう見えても三十路のシングルマザーなんだけど。」
「マジで?」
「ほら。」
内海が頭の先っぽだけ写った免許証を見せて来た。
衝撃の事実だ。そりゃ、やけに声がセクシーなわけだ。でもどうやって試験に受かったのか非常に気になる。
「それは失礼。ところでここはどこなんすか?」
そこは全体的に暗く、液体が入った巨大なカプセルが並んだ異常な空間だった。
おそらく先ほどまで俺が入っていたのはこの内の一つなのだろう。
「ここは治療室よ。貴方が寝ていた患者部屋の地下。任務で負った傷はこのカプセルにぶち込んで修復するわ。撃たれたとか、腕が千切れたくらいなら治せるから安心して無茶して頂戴。
でも、頭部や臓器みたいなデリケートな部分は私も手を加えなきゃいけないから、そこんとこ配慮して怪我しなさい。」
まるで、某アニメの敵集団のような治療法じゃないか。そういや俺のバイト、マフィアだったわ。なら仕方ない。
「善処します。」
「ほら、早くあいつらの所に戻ったら?そこのエレベーターから上に上がれるから。」
「先生は行かないんですか?」
「私は赤城社長に頼まれた仕事があるから今回はパスで。」
そう言って内海はどこかに行ってしまった。時計を見てみると撃たれた時から40分ほどしか経っていない。
この機械はとんでもなく優秀なのだろう。
店内に戻ると綺麗に掃除されており、銃撃犯どもは未だ言い争いを続けていた。
その姿を眺めていると図体のでかい黒人男性が俺に気付く。
「お前ら、新人が戻って来たぞ。」
奴らは慌てて一列に並び、今度はクラッカーを持っている。
「「卍原君!入社おめでとう!」」
クラッカーの音が鳴り響く。
まったくおめでたくない。
「とりあえず座れや坊主。」
先程の黒人男性に指示されるままソファーに座ると、続けて男が話しかけてくる。
「さっきは大変だったな。俺の名前はフェデーレ・カルファーニャ。フェデーレって呼んでくれ。ここではスナイパーを担当している。
よろしくな。」
デカい図体に似合わずスナイパーとは意外である。拷問係とかだと思っていた。
「拷問とかはしないんですか?」
おっと口が滑ってしまった。
「しねぇよ。だってあれ可哀想じゃん。」
「フェデーレは見た目に似合わず常識人なのです!それにイタリア人だし。」
「見た目が怖くて悪かったな。あとイタリア関係ないだろ。」
いきなり、三つ子の一人が話に割り込んでくる。てかイタリア人なんすね。
「そしてアタシは天田三姉妹の鎌使いにして長女、天田檸檬(あまだ れもん)!。」
「そして私は天田三姉妹の拳銃使いにしてキル数トップの次女、天田蜜柑(あまだ みかん)、、、。」
「最後に俺こそは天田三兄弟の盾役にしてタンクの三男、天田ベルガモット (あまだ べるがもっと)。」
天田家長女の後ろから顔がそっくりの二人が飛び出てくる。最後の奴は男なのか?それにしてはやけに胸部が、、、
「アタシ達はここの諜報部隊ってところなのです!」
「ちなみに一卵性だからベルガモットは女、、、。」
やはりオレッ娘か。姉二人とは胸の大きさが違うようだが、三つ子でも成長には個人差があるようだ。
「テメェどこ見てんじゃおい。」
「あの胸ぐら掴むのやめて貰えませんか服が伸びるので、、、」チラッチラッ
「見てんじゃねぇよボケッ」
殴られた
「本当に愚かですね。貴方は。」
この感情を失ったような棒読みボイスは、、、後ろを振り返るとそこにはいつぞやのメイドの姿があった。
「お前はゴリラ娘一号じゃないか。久しぶりだな。」
ちなみに二号は赤城である。
「何ですかその不名誉なあだ名は。気に入りました、採用です。」
気に入っちゃうんだ。表情と声に反して意外にノリがいいぞ、この娘。
「私の名前は清嶺地キーラ(せいれいじ きーら)。ロシアと日本人のハーフです。年齢は18 、身長は158cm、体重は57kg、
血液型はAB、蟹座です。メインウェポンはギロチンです。この中では貴方の次に新入りです。これまでの鬱憤を全てぶつけるので覚悟しておいてください。
何か質問は?」
無駄に個人情報を曝け出してくるなこの娘は。不穏なワードがいくつか聞こえたが気にしないようにしよう。
「質問です。スリーサイズは?」
「上から87 、58、85です。」
即答とは、おまけに着痩せするタイプなんですね。一生付いていきます先輩。
ベルガモットから熱い?視線を感じるが嫉妬だろうか。可愛さ余って殺意100倍ってやつに違いない。
「次は私ですねぇ。」
やけにフワフワした雰囲気な迷彩服の女性が隣に座る。
「私の名前は柊杏(ひいらぎ あんず)ですぅ。さっきはついつい撃ち殺そうとしてしまってすみませんねぇ。」
さっき俺を打った真犯人はこの人らしい。
「何で迷彩服着てるんですか?眼帯といいコスプレですか?」
「こすぷれ?これは私たち監視員の制服なんですよぉ~。」
なんと、この人が国からの監視員だったのか。ついつい人を撃つ人間を採用する日本の未来は大丈夫だろうか。
「これから仲良くしましょうねぇ。」
「いやです。」
殺されかけた人と仲良くできるほど俺の心は広くないのだ。
「さて、皆のことは知ってもらえたかい?」
野畑が笑って訪ねてくる。この中だと野畑は比較的まともに見える。ムカつくから今度もう一度爆撃してやろう。
「本当はあと二人ほど紹介したい人がいるんだけど、今日は生憎不在でね。」
「もうお腹いっぱいなんで十分です。」
「そんなこと言わないでくれよ。せっかく出前も頼んだのに。」
そうして並べられたのはピザやハンバーガー、寿司などのご馳走。思えばお腹もペコペコだ。
「今回は久しぶりの新入りのために高級寿司にしましたー。なんと、あのカマトロもあるよー。」
野畑が声高らかに言う。
カマトロだとっ?!あの一匹のマグロから二つしか取れないという超希少部位じゃないか。
沈黙が走る。皆、カマトロを凝視している。そんな中でも落ち着いてビールを飲んでいるフェデーレさん流石っす。
「では皆さん!手を合わせてください、いただきます!」
そして今、野畑によって試合開始のゴングが鳴らされた。
「「いただきま
ガンガラガッシャーン
突如突っ込んで来た大型トラックが店の半分を消しとばす。衝撃により吹っ飛ぶカマトロ。トラックの近くまで飛んでいき地面に落ちた。
なんてことだ、、カマトロが地面に落ちてしまった。
「「「諦めてたまるかァァー」」」 「遅いっ」 「くそっ」
トラックそっちのけでカマトロに向かい走り出す天田三姉妹と清嶺地先輩。しまった出遅れた。後から俺も追いかける。
その時、ライフルのような銃を持った男二人がトラックから降りてくる。そしてそいつは足元のカマトロに気づかず、、、
グチャッ
「「ギャアアアアアアァァーーーー」」
その瞬間、男たちから血しぶきをあげて倒れる。
「Maori spazzatura(死ねゴミカス)」
銃撃音のした方向を見ると拳銃を向けているフェデーレがいた。やっぱりフェデーレさんもカマトロ食いたかったんですね。
一気に店内のテンションが下がった。
「ううぅ、、カマトロー」 「私としたことが不覚っ」 「あの皆、店のことも少しは気にしてあげない?」
あちらこちらから泣き声や後悔の言葉が聞こえる。
「コイツら龍星本山のところのモンだな。」
「僕たちがボコした奴らの敵討ちってところだね。」
フェデーレと野畑はこんな危機的状況にも関わらずトラックと男達の死体を調べている。
10分ほど経った後、野畑が声を上げた。
「みんなー!コイツらの拠点わかったよー!ボスにも許可取ったし攻めにいこっかー!」
それぞれが黙々と準備を始めだす。
「今から突撃するけど、新人クンは今回はここに残ろうか。」
野畑が言う。
それは願ってもない話だが、
「何言ってるんですか?俺に手榴弾をよこしてくれませんかねぇえええ?!」
カマトロという仲間を殺された以上、俺も黙っていられるわけがない。
「良い答えだ。でも今回は見学にしようか。とりあえずこれに着替えたまえ。」
そういいながらRX01-3とケースを渡す野畑。
「5分ください。」
着替え終わり、店の入り口に戻るとトラックはペチャンコに押しつぶされて、撤去されていた。
そして、2台ミニバンが待機していた。
「おい、坊主!お前はこっちだ。」
そのうち一台の窓が開き、フェデーレが声をかけてきた。
「了解。」
ミニバンに乗り込むと清嶺地先輩と助手席に座る野畑がいた。
「遅いですよ。着替えは30秒で終わらしなさい。」
これが清嶺地先輩なりの嫌がらせかなのだろうか。
そしてミニバンは出発した。
その頃、事務室では、、、
「大変なことになっているようね、社長。」
「入る時にノックくらいしてくれませんか内海先生?」
「それは、ごめんなさいね。ほら貴方に頼まれていた彼の検査結果が出たわよ。」
内海が赤城に書類の束を手渡す。
「彼の特出能力は無しってどういうことですか?どんな人間でも得意不得意くらいはあるでしょう?」
「その答えは次のページを見なさい。」
赤城がページをめくる。
「全部同じ数値!?」
「ええ、気味が悪いほどに筋力も五感もピッタリ同じ数値。全て平均より少し上になっているわ。
どんなに万能と言われる人でも数値にバラつきがでる。なぜなら、生まれつきの基礎能力を予測し平均と比べて数値化するのがこの検査だから。」
その通りだそんなことが可能なのはロボットくらいだろう。生きとし生ける全ての生物は種を残すために僅かでも個体差をつける。
それに反する彼は研究機関にでも売り飛ばせば相当な値段になるだろう。
いや、そんなことよりもバトラースーツがどんな影響を与えるか分からない。これまで全基礎値が均一な人間が着た試しがないからだ。
全能力が上がるのか、それともただの重いスーツになるのか想像もつかない。
「それに他にもおかしな点が。」
「続けてください。」
「彼を2回ほど再生装置入れさせてもらったけど回復速度が異常ね。いくら最新機種だとしても40分で銃痕を消せるまで再生するなんて前代未聞よ。それに彼、野畑との研修で容赦なく手榴弾投げたんでしょ?まっとうな思考回路してないわよ。」
確かに今回も暴力団の拠点に乗り込むというのに交戦する気満々で向かっているらしい。生存本能が欠落している可能性がある。
果たしてそんな高校生がいるだろうか。
「まぁ、機械のミスなんてことが万が一、あるかもしれないけど卍原卓郎はしっかり監視しておきなさい。お疲れ様。」
「わかりました。先生もお疲れさまでした。」
最悪だ。こんな不確定要素を取り込んでしまったなんて。
「運悪く死んできてくれないかなぁー」
続く
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