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第一話
1-7.追跡2
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令嬢の馬は愛おしそうに令嬢に鼻を摺り寄せていた。
令嬢は蒸気しながら、ルイやアレクに会えたことの夢見心地と解放されたことに安堵の表情を浮かべていた。
セシルは視界に入らないようにこっそりと木陰に身を隠し、ルイはその様子を後ろから見ていた。
令嬢にアレクが問いかける。
「今回のことについては、反王宮派が絡んでるんじゃないかと僕たちは思ってるんだけど、襲われたときのことだったり、何か気付いたことはある? 」
「すみません、あまり分からないんです。突然襲われて、乗っていた馬を奪われて」
令嬢は必死に記憶を辿るように言葉を紡ぐ。
「でも感じた違和感があって、私を誘拐して何かをしようという感じはなかったんです。
目的は果たしたのだから私を森に捨てようとか、でも顔を見られたからどうしようとか、そんな会話が聞こえていました」
令嬢の馬は2人が会話している間も令嬢とスキンシップを図り、しばらくして満足すると、今度はセシルの方にやってきた。
触っても平気かなとセシルが令嬢の方を恐る恐る見ると、アレクとの会話に夢中だったので馬の肩の部分を撫でてあげた。
男爵令嬢は少し弱っていたので、令嬢の馬は置いて、アレクが彼女を邸宅まで馬に乗せて送って行った。
「お役に立てずにすみません」
これといった情報がなく、残念そうな姿をセシルは疑問気にただ、見ていた。
(みんなは何の手がかりが欲しいかったのかな? )
アレクを送り出した後、大人しく撫でられていた令嬢の馬が不意にパクとセシルの手を甘噛みして、引っ張るように歩き出した。
「どうしたんだろう」
引っ張られるがままについていくと、導かれたのは丸太小屋の裏の庭だった。
「セシル? 」
気付いたルイとアドルフも後に続くと、馬は庭の一角に来て、長い蹄で一心不乱に土を掘り出し始めた。
「あそこ、何かあるんでしょうか」
アドルフが訝しげに呟く。
どんどん穴は掘り進められていき、その後ろには掻き出した土の山が盛り上がる。
あるところまで掘り終わると、満足そうに馬が3人をを見た。
「来てほしいみたいです」
セシルが近くに言って穴を覗き込むと、真ん中あたりにキラリと光るものが埋まっていて、拾い上げると小さな鍵だった。
そこには黒く渇いた血がついていて、ぞく、と寒気がするのをセシルは感じた。
(鍵からは馬と同じ気の流れを感じる。
何か説明できないけど、不安になる別の気配もある)
セシルは異様な鍵の気配に、なんとなく引っ掛かりを感じる。
「あの悪い人たちが埋めたものかな」
令嬢の馬に向き直って、首元を撫でる。
馬にに触れてもなぜか声を聞くことはできず、しかし瞳は訴えているような雰囲気をセシルは感じた。
そして、セシルに馬の半分に切り裂かれた肢体の様子が蘇り、感じていた違和感の正体を思い出す。
(そういえばあの時、この子のお腹の部分だけが恣意的に切り取られてなくなっていた)
そう思い出した後に、ハッと1つの考えに行きついて、話すべきか思い迷った。
変なことを言って、怖い目にあったり私に親切にしてくれた人に迷惑はかけたくないと、思う一方でルイがセシルに力を希少だと言い、なにかあれば保護してくれるとも言ったことを思い出す。
セシルは伝えるだけ伝えてみよう、そう決意して、腕をギュッと抱いた。
ルイはセシルが何かを話した気にそわそわしていることに気づき、黒馬のところへ誘導して帰ることを提案した。
セシルが黒馬のところに来ると、当たり前のようにルイに抱き上げられて、びっくりして行きと同じように暴れる。
「自分で乗れますから! 」
顔の熱さを感じながら必死に反論しても、ルイは面白そうに笑い、セシルがジタバタとしたことで横向きに座る形になった。
帰り道もまた彼の腕でしっかり支えられているセシルは乗り心地に安定感を感じる。
一方で行きとは違うのは、横向に座ったせいで見上げればルイの顔が視界に入るので、緊張が止まらない。
セシルが少し距離を置こうとして離れると、グッと抱き寄せられる。
「なんで離れるんだ? 」
綺麗な顔が至近距離に来ると、セシルパニックになり、両手でルイをぐいぐいと一生懸命に押す。
「だ、誰かに乗せてもらったのなんて今日が初めてなんです」
皇太子は、ふうんと心持ち楽しそうに言うと悪戯に笑った。
「感想は?」
「感想ですか? 」
(不快かと聞かれれば、違うと思う)
セシルは改めて考えて、そう思った。
「距離が近くて恥ずかしいけど、人の体温って気持ち良くて安心するなって気付きました」
飾ることなく正直なセシルに、ルイはまた珍しいものを見るように、綺麗な黄金色の瞳でじっと見つめる。
「皇太子さま? 」
「ルイでいい」
訂正されてセシルはさすがに皇太子にそんな失礼なことできないと思う気持ちがあった。
「さすがに、できないです」
「アレクと同じようにしてほしい」
心なしさ寂しそうな瞳に、セシルは根負けする。
「ルイ」
言葉に出してみて、やっぱり失礼なのではないかとセシルは怖くなった。
反応をそっと見上げて伺うと、ルイはとても優しい表情を浮かべていたので、セシルは安心した。
よくできた、というようにルイはセシルの頭を撫でる。
「頭を撫でるのは子どもとか動物にするんですよ」
セシルが不満を言うのも関わらず、ルイはまた楽しそうに笑った。
そんな2人を、特に機械のようであった主上の様子に、アルフレッドは信じられないというように驚愕の視線で見つめていた。
「それで、さっき何に気づいたか教えてもらえるか?」
セシルが呆気に取られているうちにルイは馬を走らせると、話を促す。
「あ、そうだった」とセシルは気を取り直して、先ほど感じた自分の考えを話出す。
「あの、今回の目的は令嬢ではなくて、さっきの鍵だったんじゃないかなと思ってるんです。
森で見つけた時、あの馬はすごく残酷に体を半分に切断されていて、お腹の部分がなかったんです。
聞いたわけではないけど、あの子から感じる気配と、見つかった小さな鍵の気配が全く同じもので。
もしかしたらあの子が鍵を守るために飲み込んだところを、悪い人たちが令嬢ごとさらった後に、馬のお腹から刃物を使った酷い方法で取り出したんじゃないかなと思って...」
ルイは静かに話しを聞来ながら「なるほど」と頷き、ポケットにある鍵を確かめる。
確かに妙な魔力をルイはセシルと同様に感じていた。
「ありがとう。今回は何も手がかりがないと思っていたけど、おかげで大きな収穫があった」
そう言われたセシルは役に立てたことに嬉しくなって、にこりとルイに笑顔を見せる。
「セシル、何か欲しいものはあるか? 」
セドリック家の前に着くと、ルイは唐突にセシルに尋ねた。
「今回の御礼の褒美として贈りたいんだ」
セシルは考える素振りを見せるが、何も思い浮かばなかったので「要らないです」とだけ答えるが、ルイは引き下がってくれない。
「セシルの欲しいものであればなんでもいい」
ルイの言うまで帰らないというような視線に負けて、一生懸命に考えた結果、1つだけあった。
「私が面倒を見ている馬たちが、有機栽培のにんじんが欲しいと言っていました」
想定外の答えにルイは、呆れた表情を浮かべる。
そして思い立ったように、
「これを」
ルイはブローチを外して、セシルの手の平に乗せた。
ブルーサファイアの大きな宝石がついていて、王家の紋章が入っている。
「こんなのもらえないです」
セシルは返そうとするが、ルイは受け取らずに踵を返す。
「セシルの青い目に合う」
そう言って、セシルはそのまま渡されてしまった。
結局受け取ってしまった青い宝石を、セシルは部屋に帰ってからもきれいだなと眺めなていると、昔の不可解な思い出が蘇った。
妖精たちに森で育ててもらっていた頃に、セシルの瞳の話になる度にいつもなぜか彼らは悲しそうな顔をしていた。
『おめめなくなっちゃった』
『おめめ取られちゃった』
口々に言っていて、何かの遊びかなと思ったけど、いまだに彼女はそれがどういう意味だったのか真相は分からなかった。
令嬢は蒸気しながら、ルイやアレクに会えたことの夢見心地と解放されたことに安堵の表情を浮かべていた。
セシルは視界に入らないようにこっそりと木陰に身を隠し、ルイはその様子を後ろから見ていた。
令嬢にアレクが問いかける。
「今回のことについては、反王宮派が絡んでるんじゃないかと僕たちは思ってるんだけど、襲われたときのことだったり、何か気付いたことはある? 」
「すみません、あまり分からないんです。突然襲われて、乗っていた馬を奪われて」
令嬢は必死に記憶を辿るように言葉を紡ぐ。
「でも感じた違和感があって、私を誘拐して何かをしようという感じはなかったんです。
目的は果たしたのだから私を森に捨てようとか、でも顔を見られたからどうしようとか、そんな会話が聞こえていました」
令嬢の馬は2人が会話している間も令嬢とスキンシップを図り、しばらくして満足すると、今度はセシルの方にやってきた。
触っても平気かなとセシルが令嬢の方を恐る恐る見ると、アレクとの会話に夢中だったので馬の肩の部分を撫でてあげた。
男爵令嬢は少し弱っていたので、令嬢の馬は置いて、アレクが彼女を邸宅まで馬に乗せて送って行った。
「お役に立てずにすみません」
これといった情報がなく、残念そうな姿をセシルは疑問気にただ、見ていた。
(みんなは何の手がかりが欲しいかったのかな? )
アレクを送り出した後、大人しく撫でられていた令嬢の馬が不意にパクとセシルの手を甘噛みして、引っ張るように歩き出した。
「どうしたんだろう」
引っ張られるがままについていくと、導かれたのは丸太小屋の裏の庭だった。
「セシル? 」
気付いたルイとアドルフも後に続くと、馬は庭の一角に来て、長い蹄で一心不乱に土を掘り出し始めた。
「あそこ、何かあるんでしょうか」
アドルフが訝しげに呟く。
どんどん穴は掘り進められていき、その後ろには掻き出した土の山が盛り上がる。
あるところまで掘り終わると、満足そうに馬が3人をを見た。
「来てほしいみたいです」
セシルが近くに言って穴を覗き込むと、真ん中あたりにキラリと光るものが埋まっていて、拾い上げると小さな鍵だった。
そこには黒く渇いた血がついていて、ぞく、と寒気がするのをセシルは感じた。
(鍵からは馬と同じ気の流れを感じる。
何か説明できないけど、不安になる別の気配もある)
セシルは異様な鍵の気配に、なんとなく引っ掛かりを感じる。
「あの悪い人たちが埋めたものかな」
令嬢の馬に向き直って、首元を撫でる。
馬にに触れてもなぜか声を聞くことはできず、しかし瞳は訴えているような雰囲気をセシルは感じた。
そして、セシルに馬の半分に切り裂かれた肢体の様子が蘇り、感じていた違和感の正体を思い出す。
(そういえばあの時、この子のお腹の部分だけが恣意的に切り取られてなくなっていた)
そう思い出した後に、ハッと1つの考えに行きついて、話すべきか思い迷った。
変なことを言って、怖い目にあったり私に親切にしてくれた人に迷惑はかけたくないと、思う一方でルイがセシルに力を希少だと言い、なにかあれば保護してくれるとも言ったことを思い出す。
セシルは伝えるだけ伝えてみよう、そう決意して、腕をギュッと抱いた。
ルイはセシルが何かを話した気にそわそわしていることに気づき、黒馬のところへ誘導して帰ることを提案した。
セシルが黒馬のところに来ると、当たり前のようにルイに抱き上げられて、びっくりして行きと同じように暴れる。
「自分で乗れますから! 」
顔の熱さを感じながら必死に反論しても、ルイは面白そうに笑い、セシルがジタバタとしたことで横向きに座る形になった。
帰り道もまた彼の腕でしっかり支えられているセシルは乗り心地に安定感を感じる。
一方で行きとは違うのは、横向に座ったせいで見上げればルイの顔が視界に入るので、緊張が止まらない。
セシルが少し距離を置こうとして離れると、グッと抱き寄せられる。
「なんで離れるんだ? 」
綺麗な顔が至近距離に来ると、セシルパニックになり、両手でルイをぐいぐいと一生懸命に押す。
「だ、誰かに乗せてもらったのなんて今日が初めてなんです」
皇太子は、ふうんと心持ち楽しそうに言うと悪戯に笑った。
「感想は?」
「感想ですか? 」
(不快かと聞かれれば、違うと思う)
セシルは改めて考えて、そう思った。
「距離が近くて恥ずかしいけど、人の体温って気持ち良くて安心するなって気付きました」
飾ることなく正直なセシルに、ルイはまた珍しいものを見るように、綺麗な黄金色の瞳でじっと見つめる。
「皇太子さま? 」
「ルイでいい」
訂正されてセシルはさすがに皇太子にそんな失礼なことできないと思う気持ちがあった。
「さすがに、できないです」
「アレクと同じようにしてほしい」
心なしさ寂しそうな瞳に、セシルは根負けする。
「ルイ」
言葉に出してみて、やっぱり失礼なのではないかとセシルは怖くなった。
反応をそっと見上げて伺うと、ルイはとても優しい表情を浮かべていたので、セシルは安心した。
よくできた、というようにルイはセシルの頭を撫でる。
「頭を撫でるのは子どもとか動物にするんですよ」
セシルが不満を言うのも関わらず、ルイはまた楽しそうに笑った。
そんな2人を、特に機械のようであった主上の様子に、アルフレッドは信じられないというように驚愕の視線で見つめていた。
「それで、さっき何に気づいたか教えてもらえるか?」
セシルが呆気に取られているうちにルイは馬を走らせると、話を促す。
「あ、そうだった」とセシルは気を取り直して、先ほど感じた自分の考えを話出す。
「あの、今回の目的は令嬢ではなくて、さっきの鍵だったんじゃないかなと思ってるんです。
森で見つけた時、あの馬はすごく残酷に体を半分に切断されていて、お腹の部分がなかったんです。
聞いたわけではないけど、あの子から感じる気配と、見つかった小さな鍵の気配が全く同じもので。
もしかしたらあの子が鍵を守るために飲み込んだところを、悪い人たちが令嬢ごとさらった後に、馬のお腹から刃物を使った酷い方法で取り出したんじゃないかなと思って...」
ルイは静かに話しを聞来ながら「なるほど」と頷き、ポケットにある鍵を確かめる。
確かに妙な魔力をルイはセシルと同様に感じていた。
「ありがとう。今回は何も手がかりがないと思っていたけど、おかげで大きな収穫があった」
そう言われたセシルは役に立てたことに嬉しくなって、にこりとルイに笑顔を見せる。
「セシル、何か欲しいものはあるか? 」
セドリック家の前に着くと、ルイは唐突にセシルに尋ねた。
「今回の御礼の褒美として贈りたいんだ」
セシルは考える素振りを見せるが、何も思い浮かばなかったので「要らないです」とだけ答えるが、ルイは引き下がってくれない。
「セシルの欲しいものであればなんでもいい」
ルイの言うまで帰らないというような視線に負けて、一生懸命に考えた結果、1つだけあった。
「私が面倒を見ている馬たちが、有機栽培のにんじんが欲しいと言っていました」
想定外の答えにルイは、呆れた表情を浮かべる。
そして思い立ったように、
「これを」
ルイはブローチを外して、セシルの手の平に乗せた。
ブルーサファイアの大きな宝石がついていて、王家の紋章が入っている。
「こんなのもらえないです」
セシルは返そうとするが、ルイは受け取らずに踵を返す。
「セシルの青い目に合う」
そう言って、セシルはそのまま渡されてしまった。
結局受け取ってしまった青い宝石を、セシルは部屋に帰ってからもきれいだなと眺めなていると、昔の不可解な思い出が蘇った。
妖精たちに森で育ててもらっていた頃に、セシルの瞳の話になる度にいつもなぜか彼らは悲しそうな顔をしていた。
『おめめなくなっちゃった』
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