1 / 15
プロローグ
回想
しおりを挟む
目を覚ますと目に入るのは、ポカポカの日差しに、真っ白な天蓋。
セシルが心地の良い空間でふかふかなお布団に寝返りをしようとしてこつんと頭に当たったのは、惚れ惚れする程がっちりとした胸板。
「胸板…?」
均整の取れた逞しい体が隣にあることに驚愕し、恐る恐る顔をあげた。
「起きたか」
目の前にあるのは皇族ではなく神族ではないかと思い違いをする程の、あまりに綺麗に整った皇太子の顔があった。
寝起きの色香は攻撃力数倍増しで、思わずセシルが後退すれば、それも敵わずグイっと引き寄せられる
「ちょっ!」
「一晩開けたら途端につれないな」
楽しそうに笑うルイに、セシルは開いた口が塞がらない。
「なんで…?」
言いかけてようやく、気付いた。
そもそもそこはセシルのベッドではないことに。
セシルは自分が皇太子のベッドに侵入してしまっていることに青ざめる。
「どうした」
彼女の名前の刻印されたブレスレットを撫でながら、ルイは優しく微笑む。
ただでさえの状況に動揺しているのに、ルイの笑顔にセシルは余計心臓の早鳴りが止まらないことに嫌でも気付く。
頭は大パニックでも、1つ確実にわかることがあった。
婚約者のいる王位第一継承者を、キズものにしてしまったということ。
彼をぐっと押して、姿勢を正した。
(私にできることはこれしかない)
セシルはただただ陳謝した。
セシルが心地の良い空間でふかふかなお布団に寝返りをしようとしてこつんと頭に当たったのは、惚れ惚れする程がっちりとした胸板。
「胸板…?」
均整の取れた逞しい体が隣にあることに驚愕し、恐る恐る顔をあげた。
「起きたか」
目の前にあるのは皇族ではなく神族ではないかと思い違いをする程の、あまりに綺麗に整った皇太子の顔があった。
寝起きの色香は攻撃力数倍増しで、思わずセシルが後退すれば、それも敵わずグイっと引き寄せられる
「ちょっ!」
「一晩開けたら途端につれないな」
楽しそうに笑うルイに、セシルは開いた口が塞がらない。
「なんで…?」
言いかけてようやく、気付いた。
そもそもそこはセシルのベッドではないことに。
セシルは自分が皇太子のベッドに侵入してしまっていることに青ざめる。
「どうした」
彼女の名前の刻印されたブレスレットを撫でながら、ルイは優しく微笑む。
ただでさえの状況に動揺しているのに、ルイの笑顔にセシルは余計心臓の早鳴りが止まらないことに嫌でも気付く。
頭は大パニックでも、1つ確実にわかることがあった。
婚約者のいる王位第一継承者を、キズものにしてしまったということ。
彼をぐっと押して、姿勢を正した。
(私にできることはこれしかない)
セシルはただただ陳謝した。
0
お気に入りに追加
4,214
あなたにおすすめの小説
実は私が国を守っていたと知ってましたか? 知らない? それなら終わりです
サイコちゃん
恋愛
ノアは平民のため、地位の高い聖女候補達にいじめられていた。しかしノアは自分自身が聖女であることをすでに知っており、この国の運命は彼女の手に握られていた。ある時、ノアは聖女候補達が王子と関係を持っている場面を見てしまい、悲惨な暴行を受けそうになる。しかもその場にいた王子は見て見ぬ振りをした。その瞬間、ノアは国を捨てる決断をする――
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる