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プロローグ

回想

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目を覚ますと目に入るのは、ポカポカの日差しに、真っ白な天蓋。

セシルが心地の良い空間でふかふかなお布団に寝返りをしようとしてこつんと頭に当たったのは、惚れ惚れする程がっちりとした胸板。

「胸板…?」

均整の取れた逞しい体が隣にあることに驚愕し、恐る恐る顔をあげた。

「起きたか」

目の前にあるのは皇族ではなく神族ではないかと思い違いをする程の、あまりに綺麗に整った皇太子の顔があった。

寝起きの色香は攻撃力数倍増しで、思わずセシルが後退すれば、それも敵わずグイっと引き寄せられる

「ちょっ!」

「一晩開けたら途端につれないな」

楽しそうに笑うルイに、セシルは開いた口が塞がらない。

「なんで…?」

言いかけてようやく、気付いた。

そもそもそこはセシルのベッドではないことに。

セシルは自分が皇太子のベッドに侵入してしまっていることに青ざめる。

「どうした」

彼女の名前の刻印されたブレスレットを撫でながら、ルイは優しく微笑む。

ただでさえの状況に動揺しているのに、ルイの笑顔にセシルは余計心臓の早鳴りが止まらないことに嫌でも気付く。

頭は大パニックでも、1つ確実にわかることがあった。

婚約者のいる王位第一継承者を、キズものにしてしまったということ。

彼をぐっと押して、姿勢を正した。

(私にできることはこれしかない)

セシルはただただ陳謝した。

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