6 / 6
奇妙な心霊写真?
2
しおりを挟む
『さて、どうしようかな。』
自宅に帰った苗山はパソコンの前で悩んでいた。
画像の真偽を暴くなど、そう簡単なことではない。
『まずは…画像検索、か?』
そう言って元の画像を検索エンジンにかける。
『ホラー系のまとめが多いな…古いのだと20年くらい前か…』
苗山は元の不思議な画像がかなり前から存在することに感心する。どうやら重田が言っていた、テレビで取り上げられた時期よりも前にあったようだ。
ヒットしたサイトを片っ端から閲覧し、前後のレスや、コメントを漁って見る。すると気になるものが見つかった。
「これ、コラじゃん。元のやつは看護婦さん普通だよね。」
これだ、と苗山は見つけた。しかしそれに対する返信はなく、そこに元画像はないようだ。
かれこれ10サイトは見ただろうか、苗山も疲れてきて、改めて画像をぼんやりと眺める。
『んー、もしこれが普通の看護師さんだったら、すごい地味な写真だなあ。』
確かに、重田に言われたからわかったものの、怖いポイントとされている女性の顔はかなりうっすらしか見えず、ぱっと見ではわからない。
『これって、窓の反射なんじゃ…』
ふと思い、苗山は自室の窓をスマホで撮ってみる。
昼の光が白く飛んで、それ以外は見たままの写真が写った。
『んー…っぽいよなぁ…』
そうして椅子にもたれて苗山はノートパソコンを閉じた。
翌日、再び裟絵に誘われてO'CULTで飲んだ。
「どうですか、“調査”は。」
重田はグラスを磨きながら苗山に問いかける。
「うーん、前回みたいにサクッとはいかないですね…」
苗山はカウンターの向こうのウイスキーの陳列を眺めながらため息をついた。紗枝も心配そうに苗山を見る。
「まあ、出どころ不明の写真ですしね。」
重田が次のグラスに手を伸ばそうとしたとき、手を止めた。
「あ、そういえば、新メニュー考えたんですよ。試してもらえます?」
紗枝は少し嬉しそうにはい、と答えた。紗枝は食べるのが好きだが、それにしては痩せ型だ。
重田はカウンターの奥へ行き、準備をし始めた。
「ねえ、その画像、私もよく見るけど…正直あんま怖くないよねー。」
紗枝は苗山に話しかけた。苗山はそれでもまだぼんやりとしていた。
「んー、まあ、怖いってポイントは正直気のせいっていうか…」
「えー、幽霊じゃないって言うのー!」
紗枝は少し不服そうに頬を膨らませる。
「お待たせしました、小籠包。」
重田は新メニューを苗山たちのカウンターに乗せる。湯気のたった熱そうな出来立ての小籠包のようだ。
「ちょっと胡麻が少なくて、ごめんね、気持ち程度。」
パラパラと小籠包の上には数えられる程度の胡麻が撒かれている。
「わあ!おいしそー!絶対ウケますよ!これ!」
紗枝は目をキラキラさせながら重田に話す。そして箸を近づけてから手を止める。
「ね、なんかこれ顔みたい。可愛い!」
箸で差した小籠包の上には三角形を描くように胡麻が乗っていた。
「顔…確かに。」
苗山はその小籠包を見つめながら少し思いふける。
「…そっか…」
小さく呟くとその小籠包をひょいとつまみ上げて口に放り込んだ。
「あ、苗山さん。熱いですよ。」
「はふっ、ら、らいひょうふでふ…」
苗山は熱い小籠包を食べながらふと思い浮かんだことを噛み締めた。
自宅に帰った苗山はパソコンの前で悩んでいた。
画像の真偽を暴くなど、そう簡単なことではない。
『まずは…画像検索、か?』
そう言って元の画像を検索エンジンにかける。
『ホラー系のまとめが多いな…古いのだと20年くらい前か…』
苗山は元の不思議な画像がかなり前から存在することに感心する。どうやら重田が言っていた、テレビで取り上げられた時期よりも前にあったようだ。
ヒットしたサイトを片っ端から閲覧し、前後のレスや、コメントを漁って見る。すると気になるものが見つかった。
「これ、コラじゃん。元のやつは看護婦さん普通だよね。」
これだ、と苗山は見つけた。しかしそれに対する返信はなく、そこに元画像はないようだ。
かれこれ10サイトは見ただろうか、苗山も疲れてきて、改めて画像をぼんやりと眺める。
『んー、もしこれが普通の看護師さんだったら、すごい地味な写真だなあ。』
確かに、重田に言われたからわかったものの、怖いポイントとされている女性の顔はかなりうっすらしか見えず、ぱっと見ではわからない。
『これって、窓の反射なんじゃ…』
ふと思い、苗山は自室の窓をスマホで撮ってみる。
昼の光が白く飛んで、それ以外は見たままの写真が写った。
『んー…っぽいよなぁ…』
そうして椅子にもたれて苗山はノートパソコンを閉じた。
翌日、再び裟絵に誘われてO'CULTで飲んだ。
「どうですか、“調査”は。」
重田はグラスを磨きながら苗山に問いかける。
「うーん、前回みたいにサクッとはいかないですね…」
苗山はカウンターの向こうのウイスキーの陳列を眺めながらため息をついた。紗枝も心配そうに苗山を見る。
「まあ、出どころ不明の写真ですしね。」
重田が次のグラスに手を伸ばそうとしたとき、手を止めた。
「あ、そういえば、新メニュー考えたんですよ。試してもらえます?」
紗枝は少し嬉しそうにはい、と答えた。紗枝は食べるのが好きだが、それにしては痩せ型だ。
重田はカウンターの奥へ行き、準備をし始めた。
「ねえ、その画像、私もよく見るけど…正直あんま怖くないよねー。」
紗枝は苗山に話しかけた。苗山はそれでもまだぼんやりとしていた。
「んー、まあ、怖いってポイントは正直気のせいっていうか…」
「えー、幽霊じゃないって言うのー!」
紗枝は少し不服そうに頬を膨らませる。
「お待たせしました、小籠包。」
重田は新メニューを苗山たちのカウンターに乗せる。湯気のたった熱そうな出来立ての小籠包のようだ。
「ちょっと胡麻が少なくて、ごめんね、気持ち程度。」
パラパラと小籠包の上には数えられる程度の胡麻が撒かれている。
「わあ!おいしそー!絶対ウケますよ!これ!」
紗枝は目をキラキラさせながら重田に話す。そして箸を近づけてから手を止める。
「ね、なんかこれ顔みたい。可愛い!」
箸で差した小籠包の上には三角形を描くように胡麻が乗っていた。
「顔…確かに。」
苗山はその小籠包を見つめながら少し思いふける。
「…そっか…」
小さく呟くとその小籠包をひょいとつまみ上げて口に放り込んだ。
「あ、苗山さん。熱いですよ。」
「はふっ、ら、らいひょうふでふ…」
苗山は熱い小籠包を食べながらふと思い浮かんだことを噛み締めた。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

九龍城寨図書館と見習い司書の事件簿~忘れられたページと願いの言葉~
長谷川ひぐま
ミステリー
「あらゆる本が集まる」と言われる無許可の図書館都市、『九龍城寨図書館』。
ここには、お酒の本だけを集めた図書バーや、宗教的な禁書のみを扱う六畳一間のアパート、届かなかった手紙だけを収集している秘密の巨大書庫……など、普通では考えられないような図書館が一万六千館以上も乱立し、常識では想像もつかない蔵書で満ち溢れている。
そんな図書館都市で、ひょんなことから『見習い司書』として働くことになった主人公の『リリカ』は、驚異的な記憶力と推理力を持つ先輩司書の『ナナイ』と共に、様々な利用者の思い出が詰まった本や資料を図書調査(レファレンス)していくことになる。
「数十年前のラブレターへの返事を見つけたいの」、「一説の文章しかわからない作者不明の小説を探したいんだ」、「数十年前に書いた新人賞への応募原稿を取り戻したいんです」……等々、奇妙で難解な依頼を解決するため、リリカとナナイは広大な図書館都市を奔走する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる