オカルト調査員 苗山隆

戸山紫煙

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噂の怖いアニメ

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『頭、痛い。』
翌朝出勤した苗山はそんなことをぼんやり考えながらデスクに向かっていた。
「おはよー。あれ、なんか顔色悪い?」
いつも通りお気楽な岡山は心配そうな顔で苗山を見た。
「あー…昨日飲みすぎたかも。」
「へえ、苗山にしては珍しいな。」
その日は本当に調子が出なかった。いつもの半分くらいの仕事効率でやっとだった。
『今日は早く帰って休もう。』
そう思った苗山は仕事もほどほどに帰路に着いた。
その途中で裟絵からのメッセージに気がつく。
「昨日のあれ、進んでる?」
昨日のあれ、とは何だったか。素直に苗山は聞き返した。
「えー、忘れたの?ラッキーの動画のやつ!」
ラッキーの動画。苗山はじんわりと気だるさの残る頭で思い出し始める。
そうだ、あの変なバーで見せられた変な動画の詳細を調べるんだっけ。
「まだ手つけられてない。明日やってみるよ」
面倒なことを言ってしまったと少し後悔しながら、苗山はきちんとあの動画のことを頭の片隅に仕舞ったのだった。

詳細を明かすとは言ったものの、何をすればいいのやら。どこにヒントがあるか。
映像そのもの、ストーリー、音楽…どこから当たればいいだろうか?
『音…あの不気味な不協和音…』
苗山はとりあえずもう一度あの映像を見直してみた。
相変わらず不気味なテイストの動画だが、苗山の見る目は真剣だ。
『この音楽、なんだか聞いたことがあるような。でもわからない、違和感がまだ残っている。』
苗山は何かわかるかも、と思いその動画を繰り返し再生してみたが何も変わらない。
ふと、動画サイトのメニュー画面を見るとさまざまなオプションがあることに気がつく。
画質設定、字幕設定、再生速度設定…その中で最後の一つに苗山は興味を持った。
『これ、速くしたり遅くしたりしたら…』
そう思い何種類かの速度を試す。
すると遅くしたときに不協和音の奥で何かが見えた。
『ん?このメロディ、微かにしか聞こえないがクラシックの…』
そして逆に速くしたときにはまた別の曲のメロディが微かに聞こえる。
『これはもしかすると色んな曲を混ぜてわざと不協和音にしているのか?』
苗山はその日の夜、聞こえた曲を辿ってわかる限りリスト化した。
そしてそれらの曲を見るとわかってきた。
『なるほど、これは多分、作られたものだ。紗枝とまたあのバーに行こう。』
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