3 / 6
噂の怖いアニメ
3
しおりを挟む
『頭、痛い。』
翌朝出勤した苗山はそんなことをぼんやり考えながらデスクに向かっていた。
「おはよー。あれ、なんか顔色悪い?」
いつも通りお気楽な岡山は心配そうな顔で苗山を見た。
「あー…昨日飲みすぎたかも。」
「へえ、苗山にしては珍しいな。」
その日は本当に調子が出なかった。いつもの半分くらいの仕事効率でやっとだった。
『今日は早く帰って休もう。』
そう思った苗山は仕事もほどほどに帰路に着いた。
その途中で裟絵からのメッセージに気がつく。
「昨日のあれ、進んでる?」
昨日のあれ、とは何だったか。素直に苗山は聞き返した。
「えー、忘れたの?ラッキーの動画のやつ!」
ラッキーの動画。苗山はじんわりと気だるさの残る頭で思い出し始める。
そうだ、あの変なバーで見せられた変な動画の詳細を調べるんだっけ。
「まだ手つけられてない。明日やってみるよ」
面倒なことを言ってしまったと少し後悔しながら、苗山はきちんとあの動画のことを頭の片隅に仕舞ったのだった。
詳細を明かすとは言ったものの、何をすればいいのやら。どこにヒントがあるか。
映像そのもの、ストーリー、音楽…どこから当たればいいだろうか?
『音…あの不気味な不協和音…』
苗山はとりあえずもう一度あの映像を見直してみた。
相変わらず不気味なテイストの動画だが、苗山の見る目は真剣だ。
『この音楽、なんだか聞いたことがあるような。でもわからない、違和感がまだ残っている。』
苗山は何かわかるかも、と思いその動画を繰り返し再生してみたが何も変わらない。
ふと、動画サイトのメニュー画面を見るとさまざまなオプションがあることに気がつく。
画質設定、字幕設定、再生速度設定…その中で最後の一つに苗山は興味を持った。
『これ、速くしたり遅くしたりしたら…』
そう思い何種類かの速度を試す。
すると遅くしたときに不協和音の奥で何かが見えた。
『ん?このメロディ、微かにしか聞こえないがクラシックの…』
そして逆に速くしたときにはまた別の曲のメロディが微かに聞こえる。
『これはもしかすると色んな曲を混ぜてわざと不協和音にしているのか?』
苗山はその日の夜、聞こえた曲を辿ってわかる限りリスト化した。
そしてそれらの曲を見るとわかってきた。
『なるほど、これは多分、作られたものだ。紗枝とまたあのバーに行こう。』
翌朝出勤した苗山はそんなことをぼんやり考えながらデスクに向かっていた。
「おはよー。あれ、なんか顔色悪い?」
いつも通りお気楽な岡山は心配そうな顔で苗山を見た。
「あー…昨日飲みすぎたかも。」
「へえ、苗山にしては珍しいな。」
その日は本当に調子が出なかった。いつもの半分くらいの仕事効率でやっとだった。
『今日は早く帰って休もう。』
そう思った苗山は仕事もほどほどに帰路に着いた。
その途中で裟絵からのメッセージに気がつく。
「昨日のあれ、進んでる?」
昨日のあれ、とは何だったか。素直に苗山は聞き返した。
「えー、忘れたの?ラッキーの動画のやつ!」
ラッキーの動画。苗山はじんわりと気だるさの残る頭で思い出し始める。
そうだ、あの変なバーで見せられた変な動画の詳細を調べるんだっけ。
「まだ手つけられてない。明日やってみるよ」
面倒なことを言ってしまったと少し後悔しながら、苗山はきちんとあの動画のことを頭の片隅に仕舞ったのだった。
詳細を明かすとは言ったものの、何をすればいいのやら。どこにヒントがあるか。
映像そのもの、ストーリー、音楽…どこから当たればいいだろうか?
『音…あの不気味な不協和音…』
苗山はとりあえずもう一度あの映像を見直してみた。
相変わらず不気味なテイストの動画だが、苗山の見る目は真剣だ。
『この音楽、なんだか聞いたことがあるような。でもわからない、違和感がまだ残っている。』
苗山は何かわかるかも、と思いその動画を繰り返し再生してみたが何も変わらない。
ふと、動画サイトのメニュー画面を見るとさまざまなオプションがあることに気がつく。
画質設定、字幕設定、再生速度設定…その中で最後の一つに苗山は興味を持った。
『これ、速くしたり遅くしたりしたら…』
そう思い何種類かの速度を試す。
すると遅くしたときに不協和音の奥で何かが見えた。
『ん?このメロディ、微かにしか聞こえないがクラシックの…』
そして逆に速くしたときにはまた別の曲のメロディが微かに聞こえる。
『これはもしかすると色んな曲を混ぜてわざと不協和音にしているのか?』
苗山はその日の夜、聞こえた曲を辿ってわかる限りリスト化した。
そしてそれらの曲を見るとわかってきた。
『なるほど、これは多分、作られたものだ。紗枝とまたあのバーに行こう。』
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

九龍城寨図書館と見習い司書の事件簿~忘れられたページと願いの言葉~
長谷川ひぐま
ミステリー
「あらゆる本が集まる」と言われる無許可の図書館都市、『九龍城寨図書館』。
ここには、お酒の本だけを集めた図書バーや、宗教的な禁書のみを扱う六畳一間のアパート、届かなかった手紙だけを収集している秘密の巨大書庫……など、普通では考えられないような図書館が一万六千館以上も乱立し、常識では想像もつかない蔵書で満ち溢れている。
そんな図書館都市で、ひょんなことから『見習い司書』として働くことになった主人公の『リリカ』は、驚異的な記憶力と推理力を持つ先輩司書の『ナナイ』と共に、様々な利用者の思い出が詰まった本や資料を図書調査(レファレンス)していくことになる。
「数十年前のラブレターへの返事を見つけたいの」、「一説の文章しかわからない作者不明の小説を探したいんだ」、「数十年前に書いた新人賞への応募原稿を取り戻したいんです」……等々、奇妙で難解な依頼を解決するため、リリカとナナイは広大な図書館都市を奔走する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる