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第一話
しおりを挟む「はぁ。」
自分は・・・まぁ単なる学生の一人だ。
今日も学校へ向かう。
怠い。
ただただ怠い。
ザーザー降りの雨が降っているこの天候のせいで余計だ。
近くに落ちる雷鳴が耳を劈く。
同じような日々をただただ繰り返す。
そんな日々に飽きが来ている。
僅かな生きている意味はPCでのネットサーフィンとゲームのみ。
まぁそれがなんだかんだ楽しいので生き続けているんだが。
「よお。」
「おぉ。」
共通の趣味を持った友人だ。
「酷い天候だな。」
「ああ。雷もかなり近くに落ちてるみたいだ。耳が壊れそうだ。」
「大丈夫だよな?」
「まぁ大丈夫だろ雷が直撃する可能性は100万分の1みた・・・」
その時雷は自分たちの直上だった。
瞬間。
体が10mほど吹き飛ぶ。
「は!?」
なんでこんな非現実的なことが突然起こるのだろうか。
もう生きられないだろう。
何故か知らないが何となくわかる。
それを考えたと同時にだんだんと意識が奈落に落ちていくのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
だが、何故か分からないが意識は回復した。
しかも、覚めたというより、もともと覚めているような・・・
自分でも何を言っているのかわからない。
・・・ここは何処だ?
少なくとも自分の知っている場所ではない。
「・・・な!?」
インターネットでしか見たことのない顔を見たらそうなるだろう。
「杉・・・山・・・元帥・・・!?」
なぜか少し挙動がおかしいように感じたが、気のせいだろう。
なんで大東亜戦争時の参謀総長がここに?
「え?」
大声を出してしまったせいだろうか、向こうに気づかれた。
「永・・・野元帥!?」
何処にいるのかと目を泳がせるが、それらしい人物は見当たらない。
・・・だが自分は気づいた。
自分は写真で見覚えのある服を着ていることに。
そして、あちらも自身が着ている服を見てかなり戸惑っている。
・・・そういえばあの位置関係からしてあいつも雷の餌食になったはずだな。
いや・・・まさかな。
信じたくない。
だが、なぜかそれは自分の中にストンと落ちてしまう。
「・・・えっと永野元帥ですよね?」
「え・・・え?」
それは明らかに自分のことを指していた。
やはり・・・そうなのか?
そして相手の言い方も明らかに不自然だ。
陸軍の人物じゃないような気が感じられる。
「えっと杉山・・・元帥ですか?」
「え・・・え?」
先ほどの自分のような反応を相手もする。
確信した。
先ほどの自分の馬鹿げた話が今起きていると。
「少しあそこで話しませんか?」
すぐそこにあった喫茶店を指さす。
「・・・はい。」
知っている相手との他人行儀は嫌になる。
その後。
自分達が2人で仲良く雷に打たれ、意識だけがとんだことが分かるのに大した時間は
かけなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・はぁ。どうするんだこれ。」
いきなりまわりの風景は古くなり、この感じからして大戦前であることは確実だ。
というか自分達が大戦前の人物なのだからそうに違いない。
「決まってるだろ。今までの知識を生かして大日本帝国を敗戦から救う。」
「やっぱそうだよな!」
そう。
自分達の共通の趣味はミリタリー関連。
なぜここに来たのかはわからないが、少なくとも一般人よりそこだけは知識があると
自負している。
選択肢は一つしかないだろう。
歴史を変える。
それが良いのか悪いのかわからないが、やるしかない。
「・・・で、戦略はどうするよ?」
慶が尋ねてくる。
「おいおい・・・まだ戦争するとは一言も言ってないぞ。」
「戦争は回避出来ないんじゃないか?」
「いや・・・まだそう決まった訳じゃない。絶対回避出来る訳じゃないが・・・」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・なるほどな。」
「まぁ戦争をすることだけが敗戦から救うことじゃないからな。まぁ・・・出来たら
の話だが。」
・・・そこで気づいた。
「・・・っていうか今何年か分かっていなくね?」
「・・・そうだな。」
「図書館に行くか。」
「ああ。」
なぜか永野元帥(年がわからない為本当に元帥なのか分からないが)の記憶も存在す
る為道に苦労することはない。
聞いてみると慶にも杉山元帥の記憶があるという。
理解がすすめばすすむほど、なぜこんなことが起こっているのか分からなくなる。
「どうした?」
「いや・・・少しな。」
「今は一刻も早く行動するべきだ。時間は有限だ。」
「ああ。」
この行動が正しいのかは今はやはり分からない。
・・・だが自分達はこの判断が正しいと信じて、本来無い筈の道を造り、その道を進
んでいく。
自分が出来るのはそれだけだ。
いくら戦争をゲームで再現してやったって本物とそれは違う。
その本物をやりたいなんて狂人は存在しない筈だ。
自分も例外ではない。
「絶対に戦争は・・・回避する。」
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