日は沈まず

ミリタリー好きの人

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復讐

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空母 赤城

蒼龍の恨みは我々が晴らす。

攻撃隊が各艦から発艦していく。

蒼龍は飛行甲板が傾いている為、発艦出来ないので離脱させた。

つまり攻撃は本艦、飛龍、龍驤で行う。

最初の戦闘機隊が発艦していく。

機が次々に上昇していく。

その数分後に艦攻隊が同じように発艦していく。

戦闘機隊は昨日の戦闘で稼働機が減っているが、それは相手も同じ為問題無いと思
われる。

きっと戦略目標を達成してくれるのだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

軍令部

再び慌ただしい雰囲気になる。

加賀が被弾した時の雰囲気と同じである。

誰もが暗い顔をしている。

自分も例外ではないのだが。

誰も喋っていない。

沈む気配はないようだが、稼働空母が再び減ったのは大きな痛手である。

また、報告では未帰還機がかなり出ているようである。

まだまだ空戦で負けている訳ではなかろうが、今までの数倍の被害が出ている。

投入された零戦32型も活躍していたものの、未帰還機もやはり出ているようだ。

幸い他の艦に損傷はない。

攻撃もウェーク島攻撃は戦力が減ったものの、実行されている。

きっと戦果を出せるだろう。

ミッドウェー島方面でも敵陸上機からの攻撃があったものの、こちらは被害0で既
に攻撃が終了し、島の基地機能を崩壊させた。

戦略的勝利は得られるだろう。

しかし、このまま戦いのごとに空母を沈められたら、工業力で劣る我々の敗北は決
まったようなものである。

では・・・それを防ぐにはどうすればいいのか。

やはり防空戦闘能力を強化するべきだろう。

我々の駆逐艦は対空戦闘能力が低い。

その為に秋月型駆逐艦を編成したのだが、それでも蒼龍への攻撃は防げなかった。

更に防空駆逐艦を増やすのか、それとも武装を増やすのか・・・

「長官、よろしいですか?」

「どうした?」

「防空の備えについて我々で少々考えたのですが・・・」

「うむ。どういう案だ?」

「は。艦隊防空用に戦闘機のみを搭載し、大量生産可能の空母をつくるというのを
 考えたのですが・・・」

「戦闘機だけの搭載であれば爆弾や魚雷などの搭載は必要ありません。それに我々
 には鹵獲した”あれ”があります。」

「もしかして射出機か?宝龍についていた。」

「そうです。あれを利用すれば・・・」

「短距離で離陸させられる。つまり飛行甲板が短く済むということか・・・

「・・・その通りです。」

「う~む、俺はいい案だと思うのだが・・・まあそれについて軍令部でとりあいず
 話してみるか・・・」

「ありがとうございます。」

そう言って離れていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・なるほど」

どうやら一定の理解を得られたようだ。

「それを建造出来るのか?」

「射出機を我々が使えれば出来るでしょう。」

「登場する戦闘機乗りは?」

「・・・今までの訓練人数をさらに増やすべきかと。」

「予算は?」

「・・・・・・」

「大量育成には大量の金もいる。それをどうにかしなければそれは出来ない。」

「しかし、これは我々の大きな戦力になります。」

「戦闘機乗りは今回の戦いでも減っています。その補充も考えれば、それに金を割
 く価値は充分にあるかと・・・」

「う~む」

何とかその後討論の果てに何とか理解を得ることが出来た。

航空戦力は機の性能だけでなく搭乗員の技量も重要である。

碌な訓練のしていない搭乗員は熟練搭乗員にとって動く的であるし、着艦に失敗す
る可能性も高い。

だからこれはどちらにしろ必要だったのだ。

最近被撃墜機も増えている。

その補充は今のうちは訓練を終了した者を補充しているため問題無いがその後の補
充の人員分はさらに育成しなければならないだろう。

「指導部には更に努力してもらわなければ・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ウェーク島

「終わった・・・のか?」

敵艦隊への攻撃で戦力の大半を喪失した我々にも容赦なく攻撃してきた。

飛行場は破壊され基地機能を喪失した。

もはや完全に破壊されたと言っていいだろう。

残った僅かな予備機も破壊された。

ミッドウェー島でも同様のことが起きているという。

恐らく我々の航空戦力を減らすのが目的であろう。

奴らはそれを成功させたのだ。

しかし、我々もやられっぱなしではないのだ。

敵空母への攻撃を成功させ、敵艦載機も今までよりは撃墜している。

といっても我々の未帰還機に比べられるものではないが。

目の前には火しかない。

我々はそれから逃げるしかない。

海の方に逃げて、それを持ってきたバケツで近くで燃えているところに海水をかけ
てみる。

残念ながらほぼ効果があるようには見えない。

「はぁ。」

いつも、もしも日本軍が攻撃してきたらこのバケツで火を消してやると息巻いてい
た。

しかし、全く火が止まる気配はない。

「せいぜい自分の力はこんなものか・・・っと」

そんなことを実感しながらもバケツで火を消そうと試みる。

うん?

「あれは何だ?」

水平線に点が見える。

まさか・・・

最悪の可能性が考えられる。

信じたくもない。

「どうか・・・夢であってくれ・・・」
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