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進撃
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インド人部隊がまた降伏してきた。
敵対心はやはり無いようだ。
日本語を話せるインド人を呼ぶ。
「彼らは降伏してきたのか?」
確認する。
呼んだインド人が降伏してきたインド兵にヒンドゥー語を喋る。
「はい。」
片言の日本語で話してくる。
「我々と共に戦うか聞いてくれ。」
再びヒンドゥー語同士の会話が始まる。
「インドを解放するのに協力したいと。」
良かった。
彼らも愛国心が強い。
降伏してきた部隊の中で我々に協力しない部隊より協力を申し出る部隊の方が多かっ
た。
また、住民も協力してくれる者が多い。
兵站を一部負担、中には敵部隊の配置を教えてくれた者もいた。
特に敵部隊の配置を教えてもらえるのはありがたかった。
伏兵は我々に大きな被害をもたらす可能性がある。
その危険を知れるのは非常にありがたい。
我々もそんな彼らの犠牲を減らすため次に攻撃する都市には爆撃機でビラを配ってい
るようだ。
実際に見ているかは分からないので、何とも言えないのだが。
まあ、見ていることを祈るしかない。
この戦いでは如何に住民の支持を得られるかが大切になるとのことである。
・・・と司令部は言っていた。
「山之内大佐殿。現地民から差し入れです。」
「ほぉ~これは?」
「カレー・・・だそうです。」
カレーは食べた事があるが、やはり違うな。
「うむ。とりあいず食してみるか。」
「毒見は済んでいます。美味いですよ。」
「では頂くとしよう。」
差し入れを口に入れる。
辛味のある味が口に広がる。
「美味い。・・・が、我々の知っているカレーでは無いな。違う良さがある。」
「まあ、そうですね。」
戦いが終わってからもう一度食べたい。
戦いの最中だというのにそんなことを思うのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
英軍陣地
我々は獲物を狙う。
勿論獲物は敵兵である。
ここ辺りは森で視界が通らない。
我らイギリス兵が日本の陸軍に負けてたまるか。
黄色人種の軍には負けない。
地の利は我々にある。
一応対戦車装備も何人か装備している。
ドイツの戦車には敵わないが、恐らく日本の戦車は貫通できる。
勿論近距離の話だが、この場所での戦いは近距離戦だろうから関係ない。
「さあ、来い日本軍。我々が死に場所を提供しよう。」
周囲で味方が笑う。
「ハハハ。そうだな。でも、黄色人種には勿体ない死に場所じゃないか?」
「そうかもしれないな。」
「うん?敵爆撃機か。」
敵爆撃機とその取り巻きが見える。
「おい!伏せろ。」
まあ、森の中の我々には気付かないだろう。
「・・・嘘だろ。」
何かの雨が降ってくる。
それはやがて我々に降る事がないはずで我々が恐れるものの形になっていく。
後ろから順に火が上がる。
明らかに我々を狙っている。
「どうして我々の場所が分かるのか・・・」
逃げ惑いながら考える。
我々の暗号がバレているのか?
いや、日本軍にそんな技術は無いだろう。
森を焼き尽くすつもりか?
いや、それにしては範囲が狭い。
結局分からない。
しかも、悪夢は終わらない。
爆弾とはまた違った凄まじい音が辺りに響く。
砲撃か!?
砲撃ということはここには間もなく敵軍が来る。
しかし、それは最悪だ。
今、我々は抵抗する事は出来ない。
「糞!」
もはや逃げるしかない。
死なない為には逃げるしかない。
何で奴らはあんな戦い方が出来るんだ。
海では奴らに敵わないが陸ではそんなことは無いと思っていた。
しかし、陸でも我々は勝てない。
奴らの死に場所だったはずのここは我々の死に場所だったのだ。
どうすればいいんだ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
元英軍陣地
彼らの情報は有用だった。
はっきりいって自分は彼らの情報をあまり信用していなかった。
しかし、上層部は彼らの情報を騙されたつもりで大急ぎで整備された飛行場から新型
の100式爆撃機で敵部隊がいるという場所に爆撃を加え、また、砲撃を加えて我々
に突撃命令を出した。
情報が間違いであれば装備の無駄であったのだが、幸い本当に敵兵がそこにはいたの
だ。
そこにいたのは爆撃と砲撃で半壊した敵部隊とその死体だった。
我々の仕事は逃げていく敵歩兵の背中を撃つことと降伏した部隊の管理だけだった。
そして、やはり降伏してきたのはインド人がほとんどで、イギリス人で降伏してきた
のは数万人の中で数十人であった。
しかし、この戦いで情報を信用しない、もしくはそもそも情報が得られなかったら、
ここは我々の死地となっていたかもしれない。
「情報を与えてくれたインド人には感謝だな。」
共に戦った古兵殿に話しかけられる。
「古兵殿。はい。これに感謝してインド人の対応は我々と同等に扱うべきでしょ
う。」
「そういやこの戦いが終わったらここを含めた占領地を一斉に独立させるという噂を
聞いているがどう思う?」
「その話本当ですかねぇ。まあ、今太平洋に敵艦隊はいないのでおかしくはないと思
いますけど。それに抵抗は減ると思います。」
「まあ、結局我々が防衛の為進駐するだろうから結局すぐに我々が本土に帰ることは
出来ないだろうなぁ。」
「そうですね。」
早く帰って家族に顔を見せたいのだが。
その気持ちは残念なことにすぐには叶わないだろう。
「はぁ。」
古兵殿に聞こえない大きさの溜息を吐くのだった。
敵対心はやはり無いようだ。
日本語を話せるインド人を呼ぶ。
「彼らは降伏してきたのか?」
確認する。
呼んだインド人が降伏してきたインド兵にヒンドゥー語を喋る。
「はい。」
片言の日本語で話してくる。
「我々と共に戦うか聞いてくれ。」
再びヒンドゥー語同士の会話が始まる。
「インドを解放するのに協力したいと。」
良かった。
彼らも愛国心が強い。
降伏してきた部隊の中で我々に協力しない部隊より協力を申し出る部隊の方が多かっ
た。
また、住民も協力してくれる者が多い。
兵站を一部負担、中には敵部隊の配置を教えてくれた者もいた。
特に敵部隊の配置を教えてもらえるのはありがたかった。
伏兵は我々に大きな被害をもたらす可能性がある。
その危険を知れるのは非常にありがたい。
我々もそんな彼らの犠牲を減らすため次に攻撃する都市には爆撃機でビラを配ってい
るようだ。
実際に見ているかは分からないので、何とも言えないのだが。
まあ、見ていることを祈るしかない。
この戦いでは如何に住民の支持を得られるかが大切になるとのことである。
・・・と司令部は言っていた。
「山之内大佐殿。現地民から差し入れです。」
「ほぉ~これは?」
「カレー・・・だそうです。」
カレーは食べた事があるが、やはり違うな。
「うむ。とりあいず食してみるか。」
「毒見は済んでいます。美味いですよ。」
「では頂くとしよう。」
差し入れを口に入れる。
辛味のある味が口に広がる。
「美味い。・・・が、我々の知っているカレーでは無いな。違う良さがある。」
「まあ、そうですね。」
戦いが終わってからもう一度食べたい。
戦いの最中だというのにそんなことを思うのだった。
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英軍陣地
我々は獲物を狙う。
勿論獲物は敵兵である。
ここ辺りは森で視界が通らない。
我らイギリス兵が日本の陸軍に負けてたまるか。
黄色人種の軍には負けない。
地の利は我々にある。
一応対戦車装備も何人か装備している。
ドイツの戦車には敵わないが、恐らく日本の戦車は貫通できる。
勿論近距離の話だが、この場所での戦いは近距離戦だろうから関係ない。
「さあ、来い日本軍。我々が死に場所を提供しよう。」
周囲で味方が笑う。
「ハハハ。そうだな。でも、黄色人種には勿体ない死に場所じゃないか?」
「そうかもしれないな。」
「うん?敵爆撃機か。」
敵爆撃機とその取り巻きが見える。
「おい!伏せろ。」
まあ、森の中の我々には気付かないだろう。
「・・・嘘だろ。」
何かの雨が降ってくる。
それはやがて我々に降る事がないはずで我々が恐れるものの形になっていく。
後ろから順に火が上がる。
明らかに我々を狙っている。
「どうして我々の場所が分かるのか・・・」
逃げ惑いながら考える。
我々の暗号がバレているのか?
いや、日本軍にそんな技術は無いだろう。
森を焼き尽くすつもりか?
いや、それにしては範囲が狭い。
結局分からない。
しかも、悪夢は終わらない。
爆弾とはまた違った凄まじい音が辺りに響く。
砲撃か!?
砲撃ということはここには間もなく敵軍が来る。
しかし、それは最悪だ。
今、我々は抵抗する事は出来ない。
「糞!」
もはや逃げるしかない。
死なない為には逃げるしかない。
何で奴らはあんな戦い方が出来るんだ。
海では奴らに敵わないが陸ではそんなことは無いと思っていた。
しかし、陸でも我々は勝てない。
奴らの死に場所だったはずのここは我々の死に場所だったのだ。
どうすればいいんだ・・・
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元英軍陣地
彼らの情報は有用だった。
はっきりいって自分は彼らの情報をあまり信用していなかった。
しかし、上層部は彼らの情報を騙されたつもりで大急ぎで整備された飛行場から新型
の100式爆撃機で敵部隊がいるという場所に爆撃を加え、また、砲撃を加えて我々
に突撃命令を出した。
情報が間違いであれば装備の無駄であったのだが、幸い本当に敵兵がそこにはいたの
だ。
そこにいたのは爆撃と砲撃で半壊した敵部隊とその死体だった。
我々の仕事は逃げていく敵歩兵の背中を撃つことと降伏した部隊の管理だけだった。
そして、やはり降伏してきたのはインド人がほとんどで、イギリス人で降伏してきた
のは数万人の中で数十人であった。
しかし、この戦いで情報を信用しない、もしくはそもそも情報が得られなかったら、
ここは我々の死地となっていたかもしれない。
「情報を与えてくれたインド人には感謝だな。」
共に戦った古兵殿に話しかけられる。
「古兵殿。はい。これに感謝してインド人の対応は我々と同等に扱うべきでしょ
う。」
「そういやこの戦いが終わったらここを含めた占領地を一斉に独立させるという噂を
聞いているがどう思う?」
「その話本当ですかねぇ。まあ、今太平洋に敵艦隊はいないのでおかしくはないと思
いますけど。それに抵抗は減ると思います。」
「まあ、結局我々が防衛の為進駐するだろうから結局すぐに我々が本土に帰ることは
出来ないだろうなぁ。」
「そうですね。」
早く帰って家族に顔を見せたいのだが。
その気持ちは残念なことにすぐには叶わないだろう。
「はぁ。」
古兵殿に聞こえない大きさの溜息を吐くのだった。
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