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印度上陸
しおりを挟む漆黒の夜空に無数の星が瞬いている。
ほぼ満月に近い形の月に照らされ一人の男の姿が浮かび上がる。
「いい夜だ」
いくら夏真っ盛りとはいえ、日が沈んでから大分時間の経った今は不快な湿度と気温に悩まされることは無く、心地良い風が頬を撫でる。
男が立っているのは、とある街を一望出来る丘の上、その中でも一際目立つ大木のてっぺんだ。
男の姿は革ジャンにジーンズで包まれているがその筋肉質な身体を隠しきれていない。
大木の根本には十数匹からなる狼の群れの姿があった。
「この街に……奴らが……。――――野郎共!!」
短い髪をツンツンに逆立てた男は、獲物を狙う獣の様な獰猛な笑みを浮かべる。
「狩りの時間だ」
男の声に答えるように、獣の群れが遠吠えを上げる。
…………満月の夜は近い。
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