屋台の夜から暮らす猫

猫の侍

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家族の一員

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家に帰るとお父さんが
店の片付けをしていた。

「おかえり」

あれだけの大喧嘩をしたのに
優しい声で迎えてくれた。

「ただいま、あのね話があるの。この猫の事なんだけど…」

怪訝そうな顔で猫を覗いた。

「なんだいこの猫は?拾ってきたのかい?」

当然の反応だ。
娘がいきなり猫を持って帰ったら
どの親もそう聞く。

「猫じゃらしゲームの屋台で釣れたの… 運命の猫に出会うと猫じゃらしが切れないで猫が釣れるやつ」

少し申し訳なさそうに伝えた。

「あぁ、あのぼったくりで噂のゲームか。本当に釣れる人がいるとはね…」

「屋台のおじさんもここ何年かは誰も釣れてないって言ってたんだ」

「運命の猫って訳だね。飼うつもりかい?」

「そのつもりだけど… いいかな?」

「そんな小さい猫を野放しにする訳にもいかないな… 良いよ」

案外すんなりと事が運んだ。

「あとね、お父さん… さっきはごめんなさい…」

「いいんだ気にするな。父さんも悪かったよ。たまには遊びたいもんな。」

今夜からマリは家族の一員。

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