屋台の夜から暮らす猫

猫の侍

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千里屋台で揃わぬものは無し

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夢を見ていた
太鼓のリズムにあわせて歌う子供たち。
歌詞は聴き取れないけど、きっと良い言葉を並べているんだろうな。

ドーン。ドーン。ドーン。

目が覚めた。
今夜は年に1度のお祭り。
花火の音で目が覚めた。
あの娘とあなたは
今頃とても良い感じなんだろうな…。 
初恋の男の子とのデートを
私は親友に譲っていた。
譲って後悔したのかなんなのか
この感情を表す言葉が見つからなくて
寝ていた。

神社の石段に続く通りには
一本糸通りという名前がある。
5キロに渡っての一直線の大通り。
お祭りの夜には通りの端から端まで
屋台が並ぶ。
有名な千里屋台。

「千里屋台で揃わぬものは無し。」

誰が言ったか分からないが昔から
この地域ではそう伝えられている。

焼きそばや唐揚げはもちろん
当たりの無いくじ
車や飛行機 臓器までも売っている
警察も何も言わない。

千里屋台は治外法権。
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