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6.待宵屋敷へ
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一階を一通り見て回り、二人は階上への階段を登る。
「しっかし、相当な荒れ具合だなこりゃあ」
乙女は、二階の手すりから吹き抜けのホールになっている一階を見下ろしながら、あらためて呟いた。
「う~ん。もしかして西城寺さんが死んじゃってから何も手を入れてないってことなのかもなあ……」
「えっ? でもなんかあたしが来るまでにもこの建物使って何かしよう、みたいな話はあったんだろ?」
「ま、まあ、あるにはあったんですけどね……」
萩森は言葉尻を濁した。
「ほら、二階は確か調度品とかも残ってるって話ですよ。見てみましょう」
励ますような声で、萩森は乙女を促す。
待宵屋敷の二階は、寝具が配置された寝泊まりの出来る部屋が多かった。来客用なのか個人の部屋なのか判別はつかないが、どの部屋も設備に大差無いように見える。
萩森の言う通り、年代物のテーブルやタンスなどの調度品が設えてある部屋が多い。
「こりゃ大したもんだなあ。鑑定とかしてもらったら値の張る物もあるんじゃない?」
「あ、骨董屋さんに来てもらって、それなりに値段のついた物は、どこかに持って行ったみたいですよ」
萩森はにべもなく言った。
「ふうん、ちゃっかりしてんなぁ……」
鼻を鳴らして、嘆息しながら乙女は廊下の奥まったところにある部屋の扉を開ける。
「おっなんだあれ、宝箱みたいなのがあるぞ」
乙女が近づいていったそれは、文字通り戯画化された西洋の宝箱のような豪華な作りの箱だった。
「ああ、あれチェストっていう服とかを入れる箱らしいです。西洋の長持みたいなものですね」
萩森は資料らしきファイルを見ながら口を開く。
「へえー、長持って言葉久しぶりに聞いたな」
乙女は応じながら、チェストの上部をしきりにまさぐっている。
「開かねー……。鍵穴も見つかんないな」
「え? そうなんですか?」
「うん。中には何が入ってんの?」
「えーっと……なんでしょうね……こっちには書いてないです」
「うおっ。これ重いな」
持ち上げようとして、乙女はびっくりした声を出した。
「一人で持つのは難しそうですね。まあ邪魔なら片付けますよ」
「いや、いい。なんか雰囲気あんじゃん、これ」
ポンポン、と上をはたいた後、乙女は箱に腰掛けた。
「さて、どうしたもんかねえ……」
「しっかし、相当な荒れ具合だなこりゃあ」
乙女は、二階の手すりから吹き抜けのホールになっている一階を見下ろしながら、あらためて呟いた。
「う~ん。もしかして西城寺さんが死んじゃってから何も手を入れてないってことなのかもなあ……」
「えっ? でもなんかあたしが来るまでにもこの建物使って何かしよう、みたいな話はあったんだろ?」
「ま、まあ、あるにはあったんですけどね……」
萩森は言葉尻を濁した。
「ほら、二階は確か調度品とかも残ってるって話ですよ。見てみましょう」
励ますような声で、萩森は乙女を促す。
待宵屋敷の二階は、寝具が配置された寝泊まりの出来る部屋が多かった。来客用なのか個人の部屋なのか判別はつかないが、どの部屋も設備に大差無いように見える。
萩森の言う通り、年代物のテーブルやタンスなどの調度品が設えてある部屋が多い。
「こりゃ大したもんだなあ。鑑定とかしてもらったら値の張る物もあるんじゃない?」
「あ、骨董屋さんに来てもらって、それなりに値段のついた物は、どこかに持って行ったみたいですよ」
萩森はにべもなく言った。
「ふうん、ちゃっかりしてんなぁ……」
鼻を鳴らして、嘆息しながら乙女は廊下の奥まったところにある部屋の扉を開ける。
「おっなんだあれ、宝箱みたいなのがあるぞ」
乙女が近づいていったそれは、文字通り戯画化された西洋の宝箱のような豪華な作りの箱だった。
「ああ、あれチェストっていう服とかを入れる箱らしいです。西洋の長持みたいなものですね」
萩森は資料らしきファイルを見ながら口を開く。
「へえー、長持って言葉久しぶりに聞いたな」
乙女は応じながら、チェストの上部をしきりにまさぐっている。
「開かねー……。鍵穴も見つかんないな」
「え? そうなんですか?」
「うん。中には何が入ってんの?」
「えーっと……なんでしょうね……こっちには書いてないです」
「うおっ。これ重いな」
持ち上げようとして、乙女はびっくりした声を出した。
「一人で持つのは難しそうですね。まあ邪魔なら片付けますよ」
「いや、いい。なんか雰囲気あんじゃん、これ」
ポンポン、と上をはたいた後、乙女は箱に腰掛けた。
「さて、どうしたもんかねえ……」
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