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獣人国グエン
241.王城では
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「まさかゴブリンキング、オークキング、ハーピークィーンがすべて倒されるとはな。」
王都の外壁の向こうに王太子派の軍勢を見ながら呟いた。
王太子を人質に取れば自分が一番可愛い貴族達は王太子が人質に取られていることを言い訳に予想通り領地に引きこもりだんまりを決め込んだ。
強い非難の声を上げたブラウン公爵とアントレ侯爵に対して見せしめの意味も込めて帝国から譲り受けた魔物の軍勢を放ったまでは問題なかった。
ただそこからすべてが初めの予想とは余りにも違っていた。
初めの掛け違いはエンドの街に向かったハーピィークイーンが討伐されたことだろうか。
当初の作戦ではハーピークィーンは戦闘に参加せずにやられたハーピーを集めるだけで討伐される恐れは全くないはずだった。
ところが実際はどうだ、ハーピーが次々と討伐されることに我慢が出来なくなったハーピークィーンが前線に出て戦ってしまい姫将軍に打ち取られたらしい。
それでも少なくない打撃を姫将軍率いる第5騎士団に与えたので最低限の結果は残せた。
問題なのはフォルスの街に向かわせたゴブリンキングとオークキングだ。
フォルスの街に大したダメージを与えることができずにしかも急に現れたフォルスの英雄に従魔にされてしまったとのこと。
コックローチをほぼ一人だけで掃討した英雄がいることは知っていた。
だからグエン王国にいることが分かったこと時期に計画を実行したのにこのざまだ。
その上いつの間にか王太子にも脱獄されてしまい我々に好意的でない貴族が領土に閉じ篭っているいる理由が無くなってしまった。
ただ帝国もこのまま王弟が負ければ目的を達成できないと感じたのか新たにドラゴンとワイバーンの部隊を派遣してきた。
正直これは王弟にとってあまり嬉しいことではなかった。
なぜなら王弟がクーデターを起こしたのは帝国に従うことで技術を手に入れていつか再度独立するためなのだ。
そのためには国力を落とすわけにはいかない。
だから卑怯と言われても王太子を人質に取り国内での戦闘が大きくならないように最新の注意を払ってきた。
しかしブラウン公爵は小国が滅んでも可笑しくない魔物を見ても怯むどころか逆に討伐してしまったのだ。
いまさらドラゴンが出てきたところで諦めはしないだろう。
そうすれば少なくない犠牲が出て国力を大きく損なうことになる。
そうなれば帝国への発言力も弱まり独立への道も大きく遠のくだろう。
帝国が連れてきたドラゴンが城から飛び立った。
できればドラゴンに恐れを抱いて投降してくれればと淡い期待を王弟は抱く。
「な!」
そんな期待を余所にドラゴンが王太子軍に向けて先制のブレスを放った。
帝国はやはりノースエンドの国力を削ぎに来ている。
このブレス一撃でいったいどれほどの兵士が死んでしまうのか。
そしこの国にとって最善と思ってとはいえクーデターを起こし内戦状態にしたのは自分のなのだ。
この戦いにおいて兵士が死ぬのは
「へ?」
そこから目の前で起こった出来事は実際に目にしないと信じられないことだった。
今一番信頼しているレジル公爵が言っても自分の目で見なければ信じなかっただろう。
ドラゴンのブレスを防ぐだけでなく、ドラゴンにブレスそっくりの攻撃を放ったのだ。
それだけでも驚きなのにドラゴンとワイバーンを地に叩き落しワイバーンをあっという間に討伐してしまった。
ドラゴンもたった一人の子供?に圧倒されているのだ。
普通ドラゴンというものは一国の軍隊で対応するような魔物なのだ。
帝国が希望を持たせるためにやっている茶番と言われても納得してしまいそうだ。
しかし、そんなことはなく遂にドラゴンまでも倒されてしまった。
「レジル公爵、我々の負けだな。これ以上は無意味だ。」
「そうですな。」
「しかし、帝国に対抗できるならクーデターなどしなくてもよかったな。」
「仕方ありませんよ。まさかこのようなことになるとは夢にも思いませんでしたから。」
王弟もレジル公爵も負けたと言うのに嬉しそうに笑っている。
それもそうだ、これで帝国に隷属しなくとも国が保てると言う希望ができたのだから。
王都の外壁の向こうに王太子派の軍勢を見ながら呟いた。
王太子を人質に取れば自分が一番可愛い貴族達は王太子が人質に取られていることを言い訳に予想通り領地に引きこもりだんまりを決め込んだ。
強い非難の声を上げたブラウン公爵とアントレ侯爵に対して見せしめの意味も込めて帝国から譲り受けた魔物の軍勢を放ったまでは問題なかった。
ただそこからすべてが初めの予想とは余りにも違っていた。
初めの掛け違いはエンドの街に向かったハーピィークイーンが討伐されたことだろうか。
当初の作戦ではハーピークィーンは戦闘に参加せずにやられたハーピーを集めるだけで討伐される恐れは全くないはずだった。
ところが実際はどうだ、ハーピーが次々と討伐されることに我慢が出来なくなったハーピークィーンが前線に出て戦ってしまい姫将軍に打ち取られたらしい。
それでも少なくない打撃を姫将軍率いる第5騎士団に与えたので最低限の結果は残せた。
問題なのはフォルスの街に向かわせたゴブリンキングとオークキングだ。
フォルスの街に大したダメージを与えることができずにしかも急に現れたフォルスの英雄に従魔にされてしまったとのこと。
コックローチをほぼ一人だけで掃討した英雄がいることは知っていた。
だからグエン王国にいることが分かったこと時期に計画を実行したのにこのざまだ。
その上いつの間にか王太子にも脱獄されてしまい我々に好意的でない貴族が領土に閉じ篭っているいる理由が無くなってしまった。
ただ帝国もこのまま王弟が負ければ目的を達成できないと感じたのか新たにドラゴンとワイバーンの部隊を派遣してきた。
正直これは王弟にとってあまり嬉しいことではなかった。
なぜなら王弟がクーデターを起こしたのは帝国に従うことで技術を手に入れていつか再度独立するためなのだ。
そのためには国力を落とすわけにはいかない。
だから卑怯と言われても王太子を人質に取り国内での戦闘が大きくならないように最新の注意を払ってきた。
しかしブラウン公爵は小国が滅んでも可笑しくない魔物を見ても怯むどころか逆に討伐してしまったのだ。
いまさらドラゴンが出てきたところで諦めはしないだろう。
そうすれば少なくない犠牲が出て国力を大きく損なうことになる。
そうなれば帝国への発言力も弱まり独立への道も大きく遠のくだろう。
帝国が連れてきたドラゴンが城から飛び立った。
できればドラゴンに恐れを抱いて投降してくれればと淡い期待を王弟は抱く。
「な!」
そんな期待を余所にドラゴンが王太子軍に向けて先制のブレスを放った。
帝国はやはりノースエンドの国力を削ぎに来ている。
このブレス一撃でいったいどれほどの兵士が死んでしまうのか。
そしこの国にとって最善と思ってとはいえクーデターを起こし内戦状態にしたのは自分のなのだ。
この戦いにおいて兵士が死ぬのは
「へ?」
そこから目の前で起こった出来事は実際に目にしないと信じられないことだった。
今一番信頼しているレジル公爵が言っても自分の目で見なければ信じなかっただろう。
ドラゴンのブレスを防ぐだけでなく、ドラゴンにブレスそっくりの攻撃を放ったのだ。
それだけでも驚きなのにドラゴンとワイバーンを地に叩き落しワイバーンをあっという間に討伐してしまった。
ドラゴンもたった一人の子供?に圧倒されているのだ。
普通ドラゴンというものは一国の軍隊で対応するような魔物なのだ。
帝国が希望を持たせるためにやっている茶番と言われても納得してしまいそうだ。
しかし、そんなことはなく遂にドラゴンまでも倒されてしまった。
「レジル公爵、我々の負けだな。これ以上は無意味だ。」
「そうですな。」
「しかし、帝国に対抗できるならクーデターなどしなくてもよかったな。」
「仕方ありませんよ。まさかこのようなことになるとは夢にも思いませんでしたから。」
王弟もレジル公爵も負けたと言うのに嬉しそうに笑っている。
それもそうだ、これで帝国に隷属しなくとも国が保てると言う希望ができたのだから。
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