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獣人国グエン

204.奥方様?

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みんな家の中に避難して王都内はもっと閑散としているかと思ったけどそんなことは全くなかった。

確かに通常に比べれば人通りは少ないのだろうけれど店は普通に開いているしお客も買い物をしている。

「全く緊急事態って感じがしないな。」

「グエン王都には王国一の騎士団、獣王騎士団がいるからな、魔物の群れくらいでは王都の民はアタフタせん。」

自国の騎士団に誇りを持っているのかエルが自慢げに話してくれた。

俺のイメージでは王都とは安全な場所にあってこういった不足の緊急事態には弱いのではと思っていたがグエン王国の王都は違ったようだ。

獣王騎士団の実力を俺は知らないけどエルの自身満々の顔を見るに心配するようなことはないかな。

今は緊急事態だから王様にエルを妻に迎えることを報告するのは落ち着いてからだな。

王様の中では俺はすでにエルの婿にされているからなんとなく釈然としないけど娘さんを嫁にもらうんだからその辺はきちんとしないといけないよな。

「ソラ、一緒に王城に来てくれ!」

「いや、今は緊急事態だろ?グオン王への報告は落ち着てからするよ。」

「え?お父様に報告?」

「へ?」

「何を言っているの?ソラも詳しい情報を聞きたいんじゃないの?」

「そ、そうだね。一緒に行くよ。」

エルを妻に迎えるのをどうやってグオン王に報告すべきか考えてたけどエルは違うことが考えてたらしい。

当たり前か。

「何を考えてたのか分かるらないけど、今はこの状況を確認しに行きましょ。」

「そうだね。」

はぁ、すぐには無理だけど、もっと頼りになる夫になろう。

エルとルシアと共に城へと向かって急いだ。





「お帰りなさいませ、姫様、婿殿、奥方様。」

キッチリ訓練されているようでビシっとまっすぐ立って挨拶して来た城門前の門番兵までもが俺を婿殿と言ってくる。

しかし、俺は婿殿なのに奥方様ってなんで様なの?

良いんだけど、良いんだけどね

もう王都中に俺のことがエルの婿として話が広まっているのかも知れない。

いいんだけど、いいんだけど・・・・。

イヤ気にしたらいけない。

すべては俺がどうするかで周りがどうこうではない。

「みなさん、会議室にお集まりです。」

俺たちがなぜ城に来たのか察したのか門番兵が情報をくれた。

「ありがと、さっそく行ってみるわ。」

お礼を述べたエルに続いて俺とエリナも門番兵にお礼を言って城門をくぐった。

自分が生まれてから今まで住んでいた場所だから当たり前なのかもしれないがこれだけ広い城を迷いなくエルは進んでいく。

さすがに街の住人と違って城の中では兵士が慌ただしく動き回っている。

大量の魔物が現れたのなら軍事行動が行われるだろうからその為の軍の編成や物資の準備などを行っているのだろうか?

そんな中一人の犬耳のメイドさんが小走りで近づいてきた。

アキハバラなるところに生息していると聞くミニスカメイドではなく黒のワンピースに白いエプロンの一般的?なメイドさんだ。

「姫様、婿殿、奥方殿。おかえりなさいませ。大地の迷宮に行かれていると聞いて心配しておりました。」

「心配してくれてありがとう。見てのとおり私たちは無事よ。」

婿殿はもう諦めたけど『お帰りなさいませ』ってもう王城の住人として認識されてるのね。

グオン王よ、外堀を埋めすぎでしょ。

さすがにちょっと思うところがでてきますよ。

エルとの結婚は望むところだけどグオン王と身内になるのはちょっと怖くなってきたな。

「ソラ、心配しなくてもお父様は身内に無茶はしないわ。」

俺の心情を察したエルがフォローしてくれるが不安しかない。

「ああ、正直かなり驚いているけど。大丈夫だと思うよ。」

自分の心情だけど全く自身を持てません。

大丈夫だよな・・・。
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