誰か気づいて

4話

前から寝付きが悪かったが、最近更に酷くなった。
会社からの帰り道でふらりと立ち寄った雑貨店にあった犬のぬいぐるみ。
そっと抱き締めてみれば、いい大きさで抱き心地はいいし値段もお手頃で、俺は即購入を決意した。青い目がクリクリしているから“あお”と命名したそれを小脇に抱えて、包んでもらえばよかったなんて思いながら電車に揺られて家に辿り着く。
電気を点けて部屋着に着替え、申し訳程度にスーツをハンガーにかけてからあおを抱えてベッドに倒れ込む。
ぽすん、と俺を受け入れたベッドは、独り暮らしを始めるときに寝心地を重視して買ったもので、４年経った今でもその寝心地を保ってくれている。
あおをぎゅうぎゅうと抱き締めて頭の部分に顔を埋めると、とたんに眠気が襲ってきた。
目覚まし、かけてない！！
ハッと身を起こす。
危ない、これで遅刻でもしたら上司にこれでもかというほど怒られるところだった。
目覚ましをセットして再びあおの頭に顔を埋めた俺は、3分もしないうちに寝てしまった。



あおのお陰で寝不足は治り、むしろ今までで一番顔色が良くなったと言っても過言ではない。
それはいいのだが、代わりにあおを抱きしめないと寝られなくなってしまった。