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ally
king
しおりを挟む「…雫は、自分の意思じゃなく向こう側につくってこと?」
総司は激情を堪えて訊ねた。
自分も創られた存在とはいえ、未来の技術は人権というものを無視しすぎている。
というよりは創られた存在は、人ではないとする法律すらある。
だから彼らのような存在がこの世界で苦しむ。
奴隷のような扱いをされる。
「…赤目の子供は、主の血を取り入れることで主の傀儡となるんだ。だから次に会うときは敵になっていると覚悟したほうがいい」
*****
「何で、どうしてここにいるの?」
大声をあげる雫に、
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雫は瞳を大きく開く。
「うん、そうだよね。君は東雲達の味方になったんだよね。僕に断りなく」
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久坂は動けないでいる雫にグッと近づいて、顔の傷を見せた。
「君のせいで、僕は一族を継ぐ資格を失ったんだ。ねえ、それなのに何で君はのうのうと生きているの?」
久坂のプレッシャーに負けて、目をそらした。
「…ごめん、総司……」
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*****
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