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話は新撰組の屯所へと戻る。
雫の献身的な介護の元、沖田総司こと藤原惣司は怪我から数日で回復していた。
「…それで、私に会わせたい人って誰なの?」
そして今日は二人でとある神社へと続く階段を登っていた。
総司がどうしても会わせたい人がいると言うのだ。
何度聞いても内緒としか言わないので仕方なくついてきたが、やっぱり気になるものは気になるのだ。
「…会えばわかると思うよ。彼も会いたいって言ってたし」
彼、ということは男なのだとわかる。
「…会いたいっては言ってないよ」
不服そうな少年は姿を現す。
「…うわ、銀髪少年だ」
「…その言い方止めてくれない?結構気にしてることだし」
「…あ、ごめんなさい」
失言をすぐに訂正し、雫はじっと少年を見ていた。
「…彼は東雲。僕のサポートをしてくれてるんだよ」
「……どうも」
東雲は淡白に挨拶だけをして、残りの階段をささっと登っていった。
それを見て総司も
「…ここじゃ話できないし、上まで登るよ。大丈夫?疲れてない?」
「…私は平気だよ。それより総司のほうが大丈夫なの?怪我してたんだし」
「…僕は大丈夫だよ。鍛え方が違うし?」
「…そういう態度嫌い」
冗談を言い合いながら、二人は神社にたどり着いた。
小さな神社。
東雲少年はその本殿の階段に腰かけて待っていた。
「…じゃあ、僕らの仕事について軽く説明するね」
未来では実力主義社会になってきたよね、と総司は前置きをした。
過去を変えて未来を変えようという考えの人間が現れ始めた。
自分達の都合のいいように変えようという利己的な考えに同調する者と、それに対抗するものが現れる。
そして、利己的な変革者達は急速に動き始めた。
「…出遅れた歴史保護派は実際に沖田総司を殺されてしまった。彼は新撰組でトップを争うほどの剣客になる予定だった。…そんな彼を欠いた新撰組は、どうなるかわかるよね?」
最強の剣客を失った新撰組は恐らく衰えるだろう。
いや、最初からそういう人材がいなければ、そもそも新撰組が表だって活動していた可能性も怪しくなる。それほど沖田総司という人間はこの時代に深く関わっているのだ。
「…それで僕らが派遣された。惣司は総司として動き、変革者を探す。僕はサポートしつつ歴史とのズレを報告。総司同様に変革者を探していた」
雫は、改めて目の前にいる二人の重要性について考えていた。
雫の献身的な介護の元、沖田総司こと藤原惣司は怪我から数日で回復していた。
「…それで、私に会わせたい人って誰なの?」
そして今日は二人でとある神社へと続く階段を登っていた。
総司がどうしても会わせたい人がいると言うのだ。
何度聞いても内緒としか言わないので仕方なくついてきたが、やっぱり気になるものは気になるのだ。
「…会えばわかると思うよ。彼も会いたいって言ってたし」
彼、ということは男なのだとわかる。
「…会いたいっては言ってないよ」
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「…うわ、銀髪少年だ」
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「……どうも」
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「…ここじゃ話できないし、上まで登るよ。大丈夫?疲れてない?」
「…私は平気だよ。それより総司のほうが大丈夫なの?怪我してたんだし」
「…僕は大丈夫だよ。鍛え方が違うし?」
「…そういう態度嫌い」
冗談を言い合いながら、二人は神社にたどり着いた。
小さな神社。
東雲少年はその本殿の階段に腰かけて待っていた。
「…じゃあ、僕らの仕事について軽く説明するね」
未来では実力主義社会になってきたよね、と総司は前置きをした。
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自分達の都合のいいように変えようという利己的な考えに同調する者と、それに対抗するものが現れる。
そして、利己的な変革者達は急速に動き始めた。
「…出遅れた歴史保護派は実際に沖田総司を殺されてしまった。彼は新撰組でトップを争うほどの剣客になる予定だった。…そんな彼を欠いた新撰組は、どうなるかわかるよね?」
最強の剣客を失った新撰組は恐らく衰えるだろう。
いや、最初からそういう人材がいなければ、そもそも新撰組が表だって活動していた可能性も怪しくなる。それほど沖田総司という人間はこの時代に深く関わっているのだ。
「…それで僕らが派遣された。惣司は総司として動き、変革者を探す。僕はサポートしつつ歴史とのズレを報告。総司同様に変革者を探していた」
雫は、改めて目の前にいる二人の重要性について考えていた。
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