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lone leap
ibis and jade
しおりを挟む「……あの、土方さんにも謝りたいのだけど、案内してもらってもいい?」
「…土方さんにも?……うん、いいけど」
土方にだけでもタイムスリップのことを伝えるべきかまだ迷っている。
廊下に出てすぐに、総司は誰かと話していた。
「…うん、そうですよ。今日から僕の小姓になった雫……あれ?雫って名字は?」
総司と話していたのは、総司とあまり年齢の変わらないような無口な青年。
これまた美形男子。
この世界には美形しかいないのだろうかという錯覚さえ覚えてくる。
「暁月です。暁月雫と言います。これからよろしくお願いします」
丁寧にお辞儀をすると、相手も同じように返してくれた。
「…彼は斎藤一。一君って呼んでもいいよ」
「よろしく頼む」
真面目な人だというのが雫の感じた第一印象だった。
知り合いが大いにこしたことはないと、笑顔を向けた。
「…雫さ、あまり笑顔を見せるのダメだよ?」
「え?もしかしてバレそうですか?」
「…あ、いや、そういうわけじゃないけど…」
俺にだけ笑顔をむけてほしいから、なんて口が裂けても言えない。
そんな乙女心というか独占欲を隠した総司と、ようやく土方の部屋にたどり着く。
雫は振り返り、土方とは二人きりで話がしたいと告げる。
「…でも、昨日………」
「…あれはただの疲労です。ご心配なさらず」
きっぱり言い切る雫に、総司は諦めて、その顔を包む。
「…もし嫌になったら大声で叫ぶんだよ?あの鬼副長、何をするかわかんないから゛……いったー!」
中から拳骨が飛んできた。
「…聞こえてんだよ総司。いい加減にしねーともう一回するぞ!」
鬼到来。
総司は笑いながら逃げていった。
そんなこんなで静けさの戻った廊下に、土方から一言。
「…俺に用があったんじゃねーのか?」
この人、KYではありません。
しっかりしています。
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