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lone leap
grin and hate
しおりを挟む不思議な夢を見た。
自分がタイムスリップして、幕末に行っていた。
そこで盗賊に襲われ、有名な沖田総司に助けられ、またまた有名な土方歳三に出会った。
こんな夢、寝たら覚めると思っていた。
「………」
「……あ、おはよー」
あ、まだ夢だ。
「…ちょっと待って、夢じゃないから。寝ようとしないでよ」
起きてもまだ目の前には沖田総司がいた。
「…夢だったら良かったのに……」
「…どうして?僕は君と話がしたかったから、早く起きてほしかったよ?」
相変わらず笑顔。
「…答えれる範囲でなら答えるからその笑顔止めてよ。一番嫌いな顔だ。」
「…そう、じゃあ普通に話そうか」
沖田総司は笑顔を消した。
「…とりあえず、君が昨日土方さんに説明したのは本当?それとも嘘?」
生まれとかその他もろもろの話。
「…半分本当で半分嘘。」
話をしながら、渡された服に着替える。
あの服のままでは、隊士達の目に止まるし、女だとバレたら本格的に追い出されるらしい。
袴は部活で着ていたから、問題なく着替えることが出来る。
仕切りの向こう側から質問は続く。
「…なんであの場所で寝ていたの?」
「…私もわかんない。…気づいたらあの場所にいた。」
結局タイムスリップの原因は分からないままだ。
全て着替え、仕切りを外す。
「…じゃあ、最後の質問。君は、誰から暴力を受けていた?」
雫はその場に凍りついた。
そして腕を庇うようにして、総司の正面に座った。
「…あんた、何を見たの?」
キッと睨み付ける。
総司は雫が庇っている腕を指差して、
「…その腕の打撲。それ以外もあるよね?座るときに意識してるみたいだし…」
見ていないようでしっかりと見ている。
雫は服の袖をつかんで、腕を露にした。
その腕は所々青く染まっていた。
「あんたの予想は?」
「…昨日君が言った通り、父親による暴力。」
雫はフッと笑った。
「…まぁ、当たりかな」
「…それより私の待遇はどうなったの?昨日………あ、昨日はごめん。疲れて倒れたんだったよね?」
「…いやいいよ。君、軽いし、弱いし、少し抵抗されたくらいで脅威にもならないし」
「…なんか後半酷い言われようなんだけど…」
拗ねた顔をすると、総司はまた笑った。
そして雫の頭に手を乗っけた。
「…帰る家がないのは本当でしょ?さっきから時間を気にしてないし。だから僕から土方さんに口添えして、僕の小姓にしてもらったんだよ」
こ、小姓?
その単語は雫には聞き馴染みのないことだった。
その意味がマネージャーのようなものだと知ると、一瞬難色を示したが、それで家が保証されるならと引き受けた。
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